幻想郷と博麗霊夢2
霊夢に言われるがまま、足を洗い先ほど寝ていた部屋に入る。霊夢は部屋に敷いてあった布団を退かしながら臣に言った。
霊夢 そこにあるちゃぶ台とお茶請けを用意しておいてね
臣 ・・・・・・はい
霊夢 ちょっとなによ?その嫌そうな返事は!あんたは客とかじゃないんだからきびきび動きなさい!
たく。と一言言うと霊夢は台所の方にお茶をとりに行った。臣は部屋の隅にあった座布団を2枚用意し、少し考えていた。
臣 (何で俺はこんなに使われてんだ?まるでパシりじゃん・・・)
霊夢 はい、お茶よ
臣 あ、ありがとう
霊夢 早速だけど、あんたは今から私のところで働いて貰うから
臣 ・・・!?
臣は思わずむせた。臣の困惑した顔を見て霊夢はことの顛末を話始める。
霊夢 いい?あなたは私が助けてあげたのは解るわね?で、あんたがこの世界の人間なら住んでる所に帰してそれでよかったの。
霊夢 でもあんたは外の世界から来た。そうなるとどこかに放っておく訳にはいかない。放っておいたらまた妖怪に襲われて今度こそ死ぬわ。
霊夢 だから私がとりあえず面倒を見てあげる。私の面倒になる以上、その見かえりとして私のもとで働いて貰う。どう?理解できた?
臣 理解は出来た、でも・・・
霊夢 あら、不満?
臣 不満も何も、俺は今すぐにもとの世界に帰りたいんだ!
霊夢 随分とわがままね・・・
霊夢は少しため息をはくと、お茶を飲みながら話を続けた。
霊夢 良いわ、じゃあ今のあなたの置かれている状況について話しましょうか。
霊夢 あなたは幻想入りしたの、幻想入りについては何となく解るかしら?
臣 ・・・自分の世界からこの幻想郷に連れて来られて
、それで・・・
霊夢 そう、幻想入りしたって事は簡単に言えば生け贄にされたって事よ。幻想郷には、人間だけでなく妖怪や妖精、他にもいろんな奴がいる。
霊夢 妖怪と言ってもいろんな奴がいる。人間を好むもの、嫌うもの。でも、共通してるのは本能ってやつよ。
霊夢 妖怪には人間を襲う本能がある。でも、幻想郷の人間を襲っていたらそこじゃ暮らしていけないでしょ?
霊夢 だから幻想入りさせてそいつらを食らう。これで良いということになったの。
霊夢 幻想入りした奴が何人居るかは私も把握してないわ。あなたみたいに助けられた人も居るけど・・・そうでない奴は・・・
臣 死ぬ・・・いったい君は何者なんだ?
霊夢 さっきも言ったでしょ?私はこの神社の巫女。そして、この幻想郷の管理者1人でもある。
臣 幻想郷の管理者?それなら、帰る方法を知ってるんじゃないのか?
霊夢 管理者と言っても全て行ってる訳ではないの。だいたい、私があんたを幻想入りさせた訳じゃない。
臣 じゃあ誰なんだよ!幻想入りなんてのをしてる奴は!
霊夢 それは、もう1人の管理者ね。
臣 じゃあそいつに頼めば、もとの世界に返してくれるんだな?もっと言えば、幻想入りを止めさせる事も!
霊夢 多分無理よ。だってそいつ妖怪だもの。
臣 妖怪・・・
霊夢 半分そいつのための制度と言っても良いわね・・・あ!私は人間だからね!
臣 ・・・・・・
そこまで聞くと臣は少し冷めたお茶を飲んだ。
臣 君は、幻想郷の管理者なんだろ?何故、俺を助けてくれた?
霊夢 簡単に言えば、幻想入りの反対派なのよ。私も人間だしね・・・それと、私の仕事は主に異変を解決するって事だからね
臣 異変?この世界ではそんなものがあるのか?
霊夢 ええそうよ。月が異常に紅かったり、春が来なかったり、そういった変化を調査し、解決するのが私の仕事。今回の異変は幻想入りについて。
臣 異変か・・・大変そうだな
霊夢 嫌、あんたもするのよ?異変解決。私の助手なんだから
臣 俺もか!?無理だよそんなの!
霊夢 普通の人間ならね、でもあんたは違う。あの状況で生き残ったんだから。
臣 俺は何もしてないぞ?ただ運が良かったとしか・・・
霊夢 ところがしたのよ臣。多分あんたには能力があるのよ!
臣 能力?何の事だ?俺は今までそんなもの使ったことないぞ?
霊夢 でも私は見たの!あんたが力を使う所を!あの時、殺される寸前にあんたは力を使った。「私の能力を!!」
臣 え?
臣には訳がわからなかった。能力なんてのは聞いたことも無かった。そして霊夢が急に大声を出したことでさらに戸惑った。