幻想郷と博麗霊夢
風の音が聞こえる。
ことことと何かの炊ける音が聞こえる。
微かに差し込んだ日の光が目にあたり、臣は目を覚ました。
臣 ここは?どこだ?俺は確か幻想入りしてあの女の子に・・・
あたりを見渡すと、知らない部屋に寝ていた。あまり広い部屋では無かったが、臣は嫌いでは無かった。そして不意に思い出したかのように自分の腹部に手を当てた。
臣 腹の傷がない。それに折れた足もなんともない・・・どうなっているんだ?
またしても知らない場所で起きて戸惑う臣。しかしあの時とは違う状況だった。
臣 解らないことが多いけど、命の危険は無さそうだな♪
そう、体は五体満足。今の気分はそんなに悪いものではない。
臣 しかし、そうなるとここは幻想郷という世界なのか?それとも、今までの事は全て夢だったのか?
それを確かめる術は、木漏れ日が差し込む障子をあけて、外に出ること。
臣 行ってみるか・・・
臣は恐る恐る障子に手を伸ばし、ゆっくりと扉を開いた。もしかしたら、また襲われるんじゃないか?また余計なことをしてしまうのではないか?そんな事を考えながら・・・
臣 ・・・・・・・・・・・
外に出た。障子をあけてすぐのところの賽銭箱があり、その先は石畳が続いていた。どうやらここは神社らしい。
臣 ・・・・・・・・・・・
何故か言葉は無かった。靴が無かったにもかかわらず躊躇なく石畳を渡り、石で出来た階段の前まで進んだところで止まった。
臣 ・・・・・・・・・・・
その石階段から見た景色は、臣の目に焼き付き離れなかった。山の上にたたずむ神社。そこから幻想郷という世界が見えた。
ふもとの近くに町があり、そこから森が続く。森の先には霧のかかった大きな湖とその先に大きな屋敷。向こうの方にも大きな山があり、暗い雲がかかっている。森にも種類があるようで。木で出来た森と、竹か何かで出来ているような森もある。
臣 ここは自分の世界ではない・・・
事実を知り、少し落胆したような声で臣は呟いた。
しかしそれを忘れさせるほどの、まるで富士山頂から雲海を見渡すような景色を見ていると、さっきまでの恐怖や不安が嘘のように無くなっていく。
そんな感覚に臣は少し戸惑った。
臣 これが・・・
??? そう、これが幻想郷よ
臣 え?
後ろを振り返る。そこには紅白の巫女服を着た少女が立っていた。
臣 巫女さん?
??? そう、私はこの博麗神社の巫女。博麗霊夢よ。
臣 もしかして君が俺を助けてくれたのか?
霊夢 ええ、それが仕事みたいなもんだからね。あなたの命の恩人よ、臣。
臣 な、何で俺の名前を!
確実に初めてあったはずの巫女さんは何故か俺の名前を知っていた。
霊夢 それは、あんたのせいよ
臣 ???
霊夢 ここで話すのもなんだし、中に入りましょ?ちょうどお茶を淹れてたところだし。
そう言うと彼女は振り返り、神社の方に歩き出す。臣は戸惑っていた。すると
霊夢 ちょっと臣!いつまでも即にいんじゃないわよ早く来なさい!後、足はちゃんと洗ってよね!
臣 ・・・・・はい
確実に尻に敷くタイプだと臣は思った。