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隔離  作者: Swallow
7/7

HRθ少しだけ長い放課後

題名を変更しました。

未だに定まっていません(汗

「いや、冗談だってーー。」


 そう言って誤魔化そうとする山崎先生を疑心の目で見つつさっさと二つめのも済ませて帰ろう、という空気を出している我がクラスの生徒たち総勢40名。


「えぇと…さっきも言った通りそろそろ夏休みなんだが、それまでにこの教室を徹底的に綺麗にしないといかん。」


 そう言って教室の掃き掃除、壁の水汚れ落とし、黒板、ロッカーの清掃、クラスに分担された階段の掃き掃除、など役割を黒板に箇条書きで書いていく。


「でもそれってやっぱ長期休みに入る直前にするものじゃないんですか?」


 最もな意見。

 もうすぐ、と言ったって後一週間近くあるのだ。


「どうせ今日文化祭出し物決めで遅くなるからいっぺんにしたほうがいいだろ?」


 ……とにかくやることに意味があるようだ。


「さぁて、んじゃ列毎に代表者決めてジャンケンだ!」


「勝った順ですか? 負けた順?」


男気(オトコギ)ジャンケンで決めようっ!」


 この先生は何故かその男気ジャンケンとやらが好きでだいたいこっちになる。

 まぁ簡単に説明すれば"勝った方が負け・負けた方が勝ち"というルールだ。

 やりたくないことを他人に押し付けるためにジャンケンで勝つわけだけど、そこで本来押し付ける側になった人がそのやりたくないことを引き受ける。 その人はなんと男気溢れる人柄なのだろう。

 とまぁそう言ったところだと思ってる。


「それじゃあ私たちは関係ないですよね?」


「同じだ!」


 ……ちなみに女子も例外でないこともいつも通りだったりする。

 これはうち特有なのかな?

 そしてその後、勝った人は頭を抱え列から「おい何勝ってんだよ!」とブーイングを受け、負けた人は嬉しそうに笑いながら「うわ負けちゃったよ残念だなぁ」と言っている逆転現象が起きた。

 男気も何もあったもんじゃない。



「んじゃ…野沢と加藤は前の黒板、柊は後ろの黒板、他は各自壁の汚れを落とそう。」


「あいよ。」


 まずは全ての机が教室の前に動かされ教室の後ろ半分を掃き掃除する。

 その間に俺も後ろの黒板に書かれた落書きやもう要らない連絡事項などを消し、消し跡も無くすように手入れする。

 日直係の名前はどうしよ。

 ……あれ、今日の日直俺と茜だったのか。

 確認してなかったから気づかなかったぞ。

 何もやってない…授業と授業の間の時間で簡単に黒板に書かれたことを消したり一日の授業風景などを書く日記帳みたいなのもあるハズなのだけど……。

 茜がやってくれたのか?

 いや、あいつも授業の間寝てたし……

 ……すでに形骸化されたらしい日直係が無くともちゃんと機能しているのはそもそも必要性が無いものだからか、はたまたウチのクラスの気の利く中央委員のヤツのおかげか。

 そして見ると俺と茜の名前が並んで書いてある間に縦棒を引いてその上部分に三角形を付けた落書き。

 いわゆる相合傘。

 ……誰が書いたんだ全く。

 ええい、どうせ放課後だし消してもいいだろう。



 ……後ろの黒板は要はサブみたいなもので授業中に使われることはないぐらい小さなものなので、一人でもすぐに終わってしまった。

 これで後ただ見てるだけでは誰かに文句を言われなねないので何かやることはないかと教室を見回してみるとクラスの掲示板に貼ってある掲示物が手付かずだった。


「これ、もう全部剥がしちゃって……いいよな?」


 まだ数日は一応授業はあるから時間割だけは残しておこう。

 クラスの心得、ゴミ清掃ボランティアの募集、エコキャップ収集用のビニール袋、図書室便り、豚の写真、それらを剥がしていく。

 すると、ちょうど貼ってあった紙に隠れるように三角と縦棒のーー

 ーーズキッ

 やばい。

 頭の奥から指すような痛みを感じた瞬間に条件反射のようにしゃがみ込もうとする。

 ……そして俺の意識はそのまま落ちていった。



 目覚めると保健室の天井。

 何度かお世話になっているのですぐに状況が理解できた。

 俺の眠っていたベッドの横では茜が本を読み、窓からはオレンジ色の光が差し込んでいる。


「……今何時?」


 あ、と茜は俺が目を覚ましたことに気づく。


「やっと起きた。 割りと久しぶりだったね。 倒れちゃうの。」


 どう、大丈夫? と心配そうに尋ねてくる。

 別にいきなり寝てしまう以外には何もない、と言っているにも関わらず毎回尋ねてくるんだ。


「ちょっと頭が少しクラクラする感じがあるけどいつも通り……」


「そう、まぁ良かった。 毎回思っちゃうけど頭とかぶつけちゃうと一大事だしね。」


「……まぁ、咄嗟にしゃがみこんでるから。」


「なかなか起きないからやっぱり心配になるんだよ。」


「ゴメンゴメン。」


 苦笑気味に軽く謝っておく。


「さぁ早く帰ろう! なかなか起きないから待ちくたびれたよ。」


 と満面の笑みで。

 これは毎度のことで大したことじゃないんだから別に先に帰ってても……とは言わない。

 実際毎度心配してくれているのだろうし、倒れた後は頭が少しフラフラするし何より孤独感を半端無く感じてしまう。

 これでもし本当に独りだったりするとかなりツライ……。


「よし、いいよ。」


 保健室の先生は何故か居なかったので軽くベッドを直し、一応来客名簿に名前と状況を書いて保健室から出る。



 教室を覗いたが人はもう誰も居なかったが職員室に行ってみると、まだ山崎先生は居たので俺は大丈夫であることと帰る旨を伝える。

 帰り道。

 行く先にはオレンジ色の光を発する少し高度の下がった太陽。

 影が俺たちの後ろに少し長く伸びている。


「全く、結構帰り遅くなっちゃったなぁ。」


 俺がそう愚痴ると誰のせいで、と苦笑しながら茜が返してくる。


「……しっかし、これはいつまで続くんだろうな~。」


「これ?」


「いつまで"いつか倒れる"ってことを気にしないといけないのかな、ってさ。 その先ずっとなのかな……。」


 ずっと茜が隣に居てくれるわけではない。

 独りになった時、俺はそれを耐えられるだろうか。

 ……いや、俺が何を言っているんだ。

 そのチャンスを拒絶した俺が。


「……大丈夫。 突然眠るようになっちゃったんだし、突然何事もなかったようになるよ。 気付いたらもう治ってる、って、そうなってるよ。」


 俺を安心させようと掛けてくれる言葉。


「そうかな。」


「そうだよ。」


「そうかな。」


「そうだよ。」


 帰り道。

 同じ言葉が俺たちの間を行き交う。

 いつしか俺はまた笑えていえ、茜も笑っていて。

 でもそれはいつものように満面で元気なソレではなくて少し控えめでそのくせやたらと優しそうな感じの笑みだった。


私はときどき(ラクガキ)を描くんですが、これって書き終えた時は「これでよし!」とか思っても一晩経ったりするとなんか違和感だらけに感じ始めるんですよね。

小説はどうだろうって思ったけれどこっちに関してはさほど変わらないようです。

佳作への道のりは長いようで。


さて本文最後のそうかな。 そうだよ。 のくだりですが、実はこれ私自身がいつかやってみたいなと密かに思っているやり取りだったりして(笑

この際なので司くんと茜さんにやっていただきました。

雰囲気としては…もうちょっと楽しめの方が良かったかな?


この後の予定もついでに書き加えてしまいますが、最近始めてしまった新しい方の連載モノをそう続かせる予定はないので先に終わらせようと思います。

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