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六花 / それでも春はやってくる
『季節観』の冬と春にリンクします。
【六花】
真っ白な空
ふわりふわりと落ちる黒
純白の結晶
静かに
とても静かに
雪の花、降り積もる
音をなくした世界
染まる
白く
なくしていく
覆われて
隠されて
消えていく
花に埋もれる俺のカラダ
いつまでも氷の匂いが鼻を突いた。
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【それでも春はやってくる】
桜の木を、部屋の窓辺に座って眺めていた。
散って、散って、散って。
花弁はただ散っていく。
風に吹かれて、
遠くへ、遠くへ、飛んでゆく。
行き着く先は、誰も知らない。
無意識に、歌を口ずさんでいた。
好きなところだけ。
彼女が好きだったところだけ。
空気を震わせてどこまでも響いてく、優しい歌。
彼女の声を思い出す。
その言葉を。
その詩を。
その旋律を。
彼女が歌うことはもうない。
彼女の声は、もう聞こえない。
文字数の関係で、2つ同時に投稿しました。
時系列は――
↓『春に咲く恋の花』
↓『新緑は青く』
↓『夏の終わりを告げる風』
↓『突然の秋雨』
『六花』『それでも春はやってくる』=『季節観』の冬と春――です。