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突然の秋雨

風が去る。もう、戻ってこない――。


「嘘だ……うそだ……」



 風が去る。

 木々が揺れる。

 闇の中で葉が落ちる。

 落ち続ける。


 街灯のそばに植えられた赤い花。

 地面に散った花弁が、まるで血痕のように見えた。


 風が吹く。

 俺を残して過ぎていく。


 暗闇が体の内にしみて、穴をあけた。


 限度なく広がっていく。


 苦しい。


 彼女が痛みを感じる時間はなかったと言うが、

 本当にそうなのか?

 本当に、苦しまなかったのか?

 痛くはなかったのか?

 彼女は本当に――……


 ああ、

 無意味だ。


 何の意味もない。

 

 俺が今、何を思ったって

 何も戻らない。


 もう、戻ってこない。


 まるで示し合わせたかのように、雨が、降り始めた。


 風が打つ。

 激しく。

 強く。


 風がさらっていく。

 葉が舞い上がる。

 雨が何もかも落としていく。


 穴底の暗闇だけがそこにある。


 冷たい、夜が。


 冷たかった。


 彼女の頬が、冷たかった。



『季節観』を書いたときにすでに決まっていた話だとはいえ……


誰かが死ぬのは、正直つらいです。


気分を害された方、すみません。

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