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夏の終わりを告げる風
いつか三人で暮らしたい――。
「俺は俺です。千春さんを置いていなくなったりなんてしない」
夜。
水の匂いを含んだ風が吹く。
透き通る虫の音を抱いて俺の肌をなでる。
レースのカーテンが揺れて翻る。
ぶわりと風が部屋へ入ってくる。
その勢いに、一瞬胸が騒ついた。
夏の夜風と違う。
しっとりというよりもどこか乾いた、殺伐とした風だった。
眠る彼女の髪にそっと指を通した。
その寝顔にほっとした。
彼女は、俺を受け入れてくれた。
そのやわらかな肌で、包み込んでくれた。
愛しさが込み上げる。
彼女の頬にそっとキスをする。
いつか、三人で暮らしたい。
そんな話を、いつか彼女にしてみたい。
もうすぐ、秋が来る。
もうすぐ、運動会の季節。
『肌をなでる風』には裏話が存在します。
それをあとで載せようと思っているので、
「この文章、意味がわからん」ってところもそれで補足できる……と思います。
自信ないですが(泣)
ちなみに、
「運動会の季節」と「俺」が言うのは、
彼の中で、千春の娘の存在が大きくなっていることを指しています。