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新緑は青く

彼女は風のようなひと――。


「私、バツイチなの」


 風だ。

 草花の匂いが漂う、ふわりと肌を滑る風。

 太陽の光に爽やかに、雨粒に湿っぽく。


 彼女は風のようなひとだった。


 彼女の手を俺は掴めない。


 人混みの中で、気を抜けば彼女を見失ってしまう。


 俺は幼子のように迷子になる。

 どこまで見渡しても、彼女はいない。

 やっとのことで見つけ出しても、彼女は背中を向けて振り向かない。


 彼女が見ているのは、俺じゃない。


 彼女は一児の母だった。

 無償の愛を娘に捧げている。


 ほんの少し、俺は嫉妬した。

 大人気ないと思う。

 でも彼女の親バカぶりは呆れるほどで――


 ……俺はたぶん、あの子が羨ましいのだ。

 そして、どこかで自分と重ねている。

 あの子を、可愛いとも思う。

 少し生意気だけど。


 彼女は時々、俺にも愛をくれる。

 ちょっとした些細なことだ。

 俺の食事の栄養面を気にしたり、

 お酒は体に悪いからと軽く制限したり。


 まるで母親のよう……。


 たぶん、愛だ。

 一応、付き合うことはOKしてくれた。


 先輩後輩ではないこの関係を、今はただ大事にしていこうと思う。


 ゆっくり。

 ゆっくりでいい。


 彼女が必要なときに、俺がそばにいればいい。



『新緑は青く』のイメージは、やっと付き合い始めた初々しい(?)2人です。


若緑が徐々に色づくように、ゆっくりと……。

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