序章:鬼のはじまり
私は小さなころから兄弟姉妹の中で一人だけ母からの暴力を受けていた。今では簡単に「虐待」と言う言葉で括られることかもしれないが、2歳の私に何が出来るというのだろう?母との距離に違和感を感じるものの対応のい方が分からず、
ゴツンッ!
ゴンッ!
バシーン!!
痛い。痛い。
怖い、怖い。
「・・・!」
私は恐怖で声も出なかった。
目の前には大きなからだの母が覆い立ちふさがる。
ゴンッ、ゴツンッ!
母が私の顔面を何度も足で蹴っている。
怖い!痛い!誰か助けて!!
遠く離れてこの悪の行為を盗み見している兄弟を見た。
「・・・。」
兄と姉は私の目を見ることすらしない。
ゴツンッ!!
コンクリートの壁に追いやられた私に逃げ場はない。
・・・いたい・・・。
そこからは記憶が死んでいる。分からないのだ。
覚えていない?意識を失ったのか?
誰も教えてはくれない。ただ、何もしていなくても、なにかしても母のターゲットはいつも私だった。
団地住まいだったので、部屋の壁はコンクリート。
それを知ってか知らないのか?小さな私を常に部屋の隅に追い詰め、詰め寄っていた。
「ムカつくんや!」
そう言うと私を軽々と持ち上げ反対側の壁に向けてわざと投げつける。
踏む、蹴る、殴る、どつく・・・
嗚呼、殴るとどつくの違いが分からない・・・。
とにかくそれは毎日、毎日・・・毎日エンドレスで続く。
暴力だけではない。
ごはんを食べる?
私の分がある?
あったかなぁ・・・?
私以外の兄弟姉妹はいつも、いつも!ホカホカの温かい食事をモリモリ食べていたのを横目にみていた
だって・・・私は当然!なぞのお仕置きの時間なのだから!
正座して、兄弟姉妹の幸せ?なごはんタイムをお腹がグーグー鳴る音を必死で隠しながら眺める。
うらやましい。
私もごはん食べたい。
グーーーキュル
嗚呼!無常にも私のお腹の音はボリュームマックスになってしまった。
バコーん!
・・・なんだ!
「熱い!」
なんと母は特別熱い味噌汁を椀ごと私に投げたのだ。
嗚呼無常・・・。もったいない。
時に私の分の食事は母の武器として使われた。
泣く?
ええ!泣きました。大いに泣きました。
まだ小さかった私には、私の扱いの意味を知らず、私が受け続けていることに対して認識などもない。
そして、母親が全て!家族だけがこの世界の全てなんだ!と信じていたから・・・。
何の対応も出来ずにいた私。当然。
素直に、素直すぎるほど母の愛情に飢えていた。
空っぽな自分に気づくのは・・・まだまだ先の話。
時に母は私を「ブス」と呼び「いらん子」と兄弟姉妹に言い聞かせていた。
ブス?
大きな目に長いまつげ、健康的なスラリと伸びた四肢、真っ黒な髪。夕日がさすと薄い茶色の瞳になる
美人ではないかもしれないが、ブスに振り切っているわけではない。
母はとにかく!私の全てを否定した。
言葉使い、生活態度、話の内容・行動、全てにケチをつけてきた。
もちろん!正真正銘私はこの!母の娘である。
そんな母が恐ろしくもあり、愛しくも思う複雑なこころと暴力・暴言に対して疲弊を感じていた。
まだ・・・2歳だった。




