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そういえば御屋形様がどうとか言ってたな。
俺は先ほどの巨人を思い出し、うなずいた。
ひとまず御屋形様とやらに会ってみるか。
決意を胸に襖に手をかけ、ぴたりと止まる。
・・・御屋形様ってなに?
主のこと?
どこにいるのそれ。
・・・
あんの巨人っ!呼びに来たんだからそのまま案内しろよっ!
なんでそのまま行っちゃうかな。
そんなんだから「いやー最近の若者は指示待ちが多いねえ。私が若いころは・・・」なんてバーコード禿が頭に乗るんだっ。
ぷんすかと怒りながら場に立ち尽くす。一人の悪意あるバーコード禿のせいで善良な禿の皆さんまでバッドイメージを被るのである。まったくひどいもんだ。
・・・いや、そうじゃない。そうじゃあないぞ。
ぶんぶんと首を振って、俺は襖に手をかける。
御屋形様がなんだか知らないが、どう考えたって偉い名前だ。なんせ「様」とついてる
少なくとも呼びにきているのだから、行かなくてはならない。
とりあえず、外に出よう。
襖を開ける。
あ、あけようと。
あ、あれ?
襖開かない。
重い。
幼子の可愛らしい筋力だと襖すら開けられないのである。
ぜえはあと肩で息をしていると、ひとりでに襖があいた。
不愛想な巨人がこちらを見下ろしている。先ほどの奴とは別人のようだ。
とりあえずにっこりと笑みを浮かべておく。
「・・・ご案内いたしまする。こちらへ。」
不愛想な巨人は控えめな声量で俺を誘導する。
ほっと安堵の息を吐いて、俺は彼の後ろについて行った。
※
なかなかいい運動になった。
くねくねと曲がる道をひたすらに歩き、いよいよ足がぷるぷるしてきたところで無口な巨人は足を止めた。
動線のことをガン無視したくそ設計である。
きっと建てる際に施主があれこれ口出ししたのだろう。
文句の一つでも言ってやろうか。
と、思っていたのだが。
ごくり、と唾をのむ。
あらゆる感情が吹き飛び、恐怖だけが身体を支配している。
分厚い襖と、その左右に控える二人の男。
教科書に出てきそうな完全武装の武者が二人、異常な眼光で俺を見つめていた。
・・・怖い。
ふるえる身体をなだめすかす。
意味のわからない展開の数々に、俺の処理能力はパンクしていた。
すうはあと呼吸を繰り返し、進む。
無口な男は一歩後ろのまま動かない。
行け、ということだろうか。
刀に手をかける両脇の武者におびえながら、俺は襖に手をかけた。




