第8話 僕の青春社会人編 堅忍不抜
4月社会人になり
僕は幼稚園の先生になった
が、
社会人になればほとんどの人が経験すると思うが
自分が思い描いていた理想と現実のギャップに苦戦していた
しかし僕は
「頑張って仕事を続けていれば子どもたちに英語を教えさせてあげる」
と約束をしていたので
何とか仕事を頑張っていた
同じ職種ということもあり相談との名目でひかりさんと○インすることが少しだけ増えていた
相変わらずそっけなかったり
プライベートのことは返信してくれなかったが
保育に関してだけは返信してくれた
尤も
「私はその職場にいないんだから周りの先生に相談した方が良い」
「自分で調べて、成功失敗を繰り返さないと成長できないよ?先ずは自分で考えなきゃ」
と、当たり前のことを厳しめに言ってきた
完全に自分に脈がないと分かっていた僕はある意味開き直った。
0からマイナスになるのは良くないが、マイナスからマイナスになるのはどこまでいってもマイナスなのだ
つまりはひかりさんからの僕の好感度はマイナスだろう。そのためこれ以上下がってもあまり変わらないだろう
だからと言って毎日ラインするとかは迷惑になるので
2ヵ月に1通ラインする程度だ
ひかりさんは厳しい言葉をかけつつも
分かりやすいサイトのURLを送ってくれたり
頑張れ
って言ってくれてるあたり、ひかりさんの優しさを感じた
そのおかげもあり、何とか一年目を無事に終えることができた
そして僕にとって苦痛の2年目が始まったのだ
僕は職場から干されてしまった
別に大きな問題を起こしてしまったというわけではない
単純に組んだ先生との相性が悪かった
仕事のできる先生で周りからの信頼はとても厚かった
その先生が僕を嫌がった
仕事の出来ない僕と出来る先生
みんながどちらをとるかなんて火を見るより明らかだった
職場と家を往復するのがやっとだった
精神的にかなりきていたので
ひかりさんにラインする元気も出なかった
どんなに頑張っても評価されない。何度も何度も辞めようと思った
だが、どうしても辛いくなった時に必ずといって良いほど
ひかりさんが夢に出てくるのだ
頑張ってって言ってくれてる時もあれば
厳しい言葉をかけてくれる時もあり
ただ一緒に遊んでいる夢を見る時もある
ひかりさんの夢を見た次の日には気持ちがリセットできた
また頑張ろうと思えた
ひかりさんは自分の夢を叶えた
しかし僕はまだ幼稚園の先生になっただけだ
目標の英語を教えるということはまだ叶えていない
まだ僕は何も成し遂げていない
このままじゃ終われない
今は我慢の時だ
自分にそう言い聞かせた
2年目が終わり、3年目の途中。とうとう干されることが終わった
そのきっかけもやはりひかりさんだった
職員の全体会議があり、一人ずつ発言する機会があった
僕は自分の番になる前にふとひかりさんならどう答えるだろうかと考えていた
僕の番になった
ひかりさんならこう言うだろう
そう思い浮かべながら僕は発言した
その時の僕は変な感じだった
まるでひかりさんが乗り移ったかのようにスラスラ言葉が出てきた
普段の口下手の僕ではなかった
僕の発言が終わると拍手が起こった
中には僕の発言に感動して涙を流す先生もいた
次の日から干されなくなってきて
少しずつではあるが評価されることになった
3年目の終わりとうとうチャンスがきた
次の4月から英語をやらせてくれることになった
僕は期待に胸をふくらませ
あれをしよう、これをしようと考えていた
だが、それは実現しなかった
4年目を向かえる前に入ってきた新人にその場をとられてしまったのだ
どうやらその新人は英語の英才教育を受けてきたようで
そこを評価されたようだった
その新人が休みの時にはやらせてあげる
そう言われた時には怒りがこみ上げてきた
ちっぽけだが、僕にだってプライドがある
今まで耐えてきたのに何故入ったばかりの新人にその座をとられなければならないのか
納得はできなかった
しかし、今までさせてもらえなかった分マシかと思い
しぶしぶだが受け入れた
そして耐えること2年
その新人が辞めてやっと僕にチャンスがきた
今度こそ夢が叶った
僕は真っ先にひかりさんに連絡した
この連絡したことが後の僕の進路を切り開くことになるとは
思いもしなかった