第5話 僕の青春高校三年生編 後編 冷めない想い
ひかりさんともめた?次の日
少し心配したが、結局ひかりさんとはいつも通りだった
可もなく不可もなくという感じで月日が過ぎていった
月日が過ぎていっても僕のひかりさんへの想いは冷めることはなかった
ひかりさんが変わろうと
彼女のことは憧れたし、尊敬していた
ひかりさんの受験前日、明らかにひかりさんがガス欠寸前なのがわかった
勉強を頑張りすぎたのだろう
ひかりさんは高校受験に失敗してウチの高校に入った
ウチの国際科は人気がなく定員割れしていた
ひかりさんは私立はお金がかかるからと
2次募集できたのだった
合格という経験をしなかった彼女にとっては不安で仕方ないのだろう
高校受験のときのようにひかりさんが力を出しきれなかったらどうしよう
不安になった僕はメールすることにした
以前、ひかりさんにどうして直接言ってくれないのと言われたが
口下手なので上手く伝えられないと判断したのだ
僕は何度も何度も文章を書いては消し、書いては消しを繰り返し文章を考えた
ひかりさんは自分が思っているよりもずっと頑張っていること
少しは休んだっていいんだよってこと
君が誰よりも努力してきた姿は3年間見てきた僕が保証すると
そんな君を尊敬しているし、憧れてると
とにかく僕の想いを伝えた
ひかりさんから「ありがとう。本当にありがとう」
と返信がきた
文章からもすごく喜んでくれるのが分かる
僕の想いがどのくらい届いているかは分からないが
少しは伝わったようで嬉しかった
ひかりさんの受験から3週間後、今度は僕の受験だった
しかし、僕は前日に急性胃腸炎になってしまった
当日体調は最悪だったが
ひかりさんからの応援メールを見て
何とか受験を乗り越えた
そして、僕もひかりさんも無事に合格した
受験も終わり、最後の行事はクラスマッチ
僕たちはバスケに出場する
ウチのクラスはクラス替えがない
3年間同じなのだ
そのため他のクラスよりもチームワークが良い
クラスメートはいい人ばかりで体育の時間や昼休み、学校が休みの日等に僕の自主練に付き合ってくれた
それを3年間続けたため
そこら辺の初心者よりは圧倒的に上手かった
学年合同で体育でバスケした際はチーム分けでバラバラになったが
ウチのクラスメートは頭一つ抜けていた
そのことで自信を持ったことと3年最後のクラスマッチなので上位を狙おうと意気込んでいた
今まで以上に練習に熱が入り、僕に積極的に質問にくるようになった
みんなのやる気が上がるに比例して僕は胸が押し潰されそうになった
ウチのクラスが上位に入るのはかなり難しいからだ
現実が見えているのは僕だけだからだ
確かにみんなは他の初心者よりは圧倒的に上手い
しかし、当たり前だが、バスケ部に比べると落ちる
何より
僕とバスケ部員の実力差は圧倒的だからだ
僕はバスケ部のキャプテンになりシックスマンまでのぼりつめたが
それは脇役としての能力が評価されたからだ
チームを勝たせる主役としてなら僕は下の下なのだ
しかし、この空気に水をさすわけにはいかず
クラスメートを鼓舞する
そんな僕の不安を見抜いた人が一人いた
そう・・・ひかりさんだ
ひかり「何か悩んでるの?」
僕「別に何もないよ」
ひかり「顔に出てるよ」
僕「ウソ???他の人たちは何も言わなかったよ」
ひかり「私は僕君のこと何でもわかるんだから」
僕「(僕の好意には気づいてないくせに。それに僕だって前の君だったら考えてることのほとんど分かったよ)ひかりさんにはかなわないな」
心で毒づきながらも話すことにした
実際に誰かに聞いて欲しかったからだ
ひかり「大丈夫だよ。みんな上手くなってるんでしょ?バスケ部は僕君だけじゃなくてライ君もいるでしょ。何とかなるよ。私いっぱい応援するね」
僕「(そんな単純じゃないんだよ。それにそのライが問題なんだよ)」
ライ・・・・・ウチのクラスで僕を除けばたった一人のバスケ部仲間
だが、しかしサボり魔のカッコつけど下手くそ
その辺のウチのクラスの初心者を入れた方がマシなレベル
PGをやりたがり、やらせてみたらドリブルは高いし、ドライブはふくらみすぎるしカッコつけたパスをしてボールをあらぬところにとばす
そのため僕が
「ライがPGをしたら点をとるやつがいなくなるから点をとることに集中してくれ」
と毎回説得している
僕もバスケは下手だが、ライほどではない
しかしライは自分の方が僕より上手いと思っている
僕のジャンプシュートのフォームを汚いとバカにするが
ライのジャンプシュートはまるでカエルが跳ぶようにシュートを放つ
カエルシュートだ
本人は自分はカッコいいと思っているのだが、周りからみたらカエルにしか見えない
チームに爆弾を抱えているようなものだが、ひかりさんが応援してくれるのなら頑張ろうと心に決めるのだった
チームに爆弾を抱えているようなものだが、ひかりさんが応援してくれるのなら頑張ろうと心に決めるのだった
そこから出来るだけ勝てるように考えた。ない頭を絞り出して作戦を決めた
クラスマッチ当日
僕「ひかりさんお願いがあるんだけど」
僕はひかりさんにお願いをした
ひかり「何?」
僕「このマジックで僕の手に39って書いてくれない?」
ひかり「いいけど、何で39?」
僕「僕を奮い立たせてくれる番号なんだ」
ひかり「分かった」
ひかりさんに書いてもらった
僕「ありがとう」
ひかり「いってらっしゃい。頑張って」
抽選が行われた
一回戦の相手は2年チームだった
しかし2年チームはバスケ部が5人いる
絶望しかない
ライ「おい、ヤバいぞ作戦はどうする?」
さすがのライもヤバさが分かっている
僕「オレらの時からのスタメンの桜井にスタメンの野口と野元に坂田と山田か。坂田か山田が僕のマークに来てくれればな」
ライ「確かに山田ならオレでも勝てる」
坂田・・・身長はあるがヒョロガリ、そこまで上手くない
山田・・・・・・ ライと同類のカッコつけ。NBAグッズを良く自慢して装着するが下手くそ
僕「確かに坂田と山田をねらうしかないな」
「山田はオレについてくるだろうな」
僕「おそらくね。山田がつくならライ中心でいこう。それしか活路はない」
ライ「任せな。山田なんて楽勝だぜ、あんなカッコつけ」
僕「(正直どんぐりの背比べだし、若干山田の方が上手いけどね)あまりドライブで膨らむなよ周りはバスケ部なんだからブロックに跳んでくるぞ」
ライ「任せな」
そして試合が始まる
ウチの戦力
僕・・・初心者に毛が生えたくらい
ライ・・・初心者並み
車田・・・チームの大黒柱。パワーならバスケ部にも負けない
イケメン・・・50m 6秒2の韋駄天
岩木・・・何でもそつなくこなす。僕とのコンビネーションは◎
原・・・スタミナはないが、チーム一の長身
古木・・・帰宅部だが、身体能力は
抜群。ただしスタミナはない
僕たちの挑戦が始まる
僕「スタメンは僕、ライ、車田、岩木、原の攻撃力中心のメンバーでいく」
「「「「おう」」」」
車田と坂田が跳ぶ
車田がボールをはじく。
そのボールを僕がキャッチする
僕「さぁ。一本いこう」
「キャプテンよろしくッス」
唯一のスタメンだった桜井が僕につく
僕「お前がつくのかよ。山田か坂田をつけろよ」
桜井「勝ちにいくんで」
ライには2番目に上手い野口がついていた
ライもバツが悪そうにする。十中八九完封されるだろ
「(ウチのクラスメートを舐めるなよ?)」
顔と身体をライ の方に向け、ボールを原にノールックパス
3pラインの外側で原がパスを受ける
僕「打て!!」
原はウチで唯一の長距離砲。ボールの扱いが上手く、シュートフォームも悪くない
確率は2割程度だが、
ザシュ
その2割が最初にきた
僕「ナイスシュート(もう試合終了にしてくれー)」
先制したのは僕たちだった
僕「さぁここで止めよう!」
僕が鼓舞する
「「「「おう!」」」」
みんな気合いが入ってる
が、しかしそこはバスケ部5人。
簡単に2点を返す
僕「ドンマイ一本返そう」
僕がボールを受けるとスタメンがプレッシャーをかけてくる
桜井「もう油断はしないッスよ」
僕「ちょっとは手加減しろよ。可愛げないな」
何とかとられないようにしながらボールを運ぶ
ウチのチームのオフェンスのほとんどは僕のドライブからのしかけだ
しかし、桜井がついている状態じゃできない。キープするのが精一杯だ
こうなるだろうと予測はしていた。一応対策はある
僕は桜井に背中を向ける
桜井「キープのために背中向きですか?それじゃ攻めれないッスよ?」
僕「(そこにいるんだろ・・・・・岩木)」
ビッ
背中向きのままゴール下にボールを送る
僕の意表をついたパスにバスケ部たちの反応が遅れる
反応できるのは岩木だけ
なぜか岩木とはバスケに限り呼吸があうのだ
ゴール下を冷静に岩木が決めた
僕がこんなパスをするとはバスケ部は誰も思わないだろう
僕は普段こんなリスクの高いパスなんか絶対にしない
だからこそ効果があるのだ
次もあっさりと決められる
もともとの自力の差が出た
僕もドライブを何度か試みるが桜井が抜かせてくれない
要所要所で僕の意表をついたパスと車田のパワーを活かしたゴール下で得点を重ねるが、そこまでだった
僕たちは頑張ったが22ー11で負けた
桜井「先輩お疲れ様ッス」
桜井が声をかけてくる
僕「バスケ部5人はずるすぎるだろ」
桜井「先輩たち強かったッスよ。とても初心者に見えなかったしチームとしての完成度が違いましたよ」
僕「まぁ3年間一緒だからな」
桜井「敗者復活戦は得失点差らしいので頑張って下さい」
僕「おう」
負けはしたがみんな顔は上を向いていた
バスケ部軍団にも通用していたところもあり自信を持てていたようだ
僕「次はバスケ部のいない一年だから大差で勝とう。目標は30ー0で」
「「「「「おう」」」」」
士気は上がっている
僕「次のスタメンは僕、ライ、車田、イケメン、岩木の機動力重視のメンバーでいく」
「「「「「「おう」」」」」」
僕「点数が必要だから岩木を相手ゴール下においてディフェンスは僕たち4人で守る」
僕が作戦を伝える
ライ「ちょっと待てよ」
ライが抗議する
ライ「確実に点をとるならオレを相手ゴール下においた方がいいだろ」
ライがたくさん点をとりたいアピールをしてくる
僕「確かにそうだけど今回は得失点差で敗者復活出来るかどうか決まるんだ。失点を避けるためにスティールの上手いライを向こうにはおいて置けないよ。岩木にマークが対応したらライにパス出すから頼むよ」
ライ「ちっ。分かったよ」
しぶしぶ納得するライ
僕「(言えない。岩木のゴール下シュートの方が信頼できるなんて。口が裂けても)」
僕「古木もイケメンがバテたら変わるから準備してて」
古木「分かった」
敗者復活戦が始まる。ジャンプボールは車田と一年
100%車田が勝つだろう
僕は岩木にアイコンタクトをする
岩木もうなずく
予想通り車田が勝つ。弾いたボールを僕がすぐリングに投げる
ガンッ
ボードに当たったボールは走り込んでいる岩木へ
そのまま岩木がシュートを決めた
僕「前から当たれ!!ハーフコートに進ませるな!!」
「「「「「おう」」」」」
前からプレッシャーをかける
僕はチームを鼓舞するためにハーフコートまで進ませるなと言ったが有言実行になってしまった
相手は一年にバスケ部はいない
ボールをまともに運べず
僕たちに奪われた
最初はやる気があり岩木に3人係でついたが
僕と岩木のコンビネーションで軽くいなす
5分を過ぎる頃には相手は諦めモード
結局10分間で
64ー0で圧勝し
得失点差でも無事に敗者復活した
勢いにのった僕たちは準決勝まで勝ち進んだ。
準決勝の相手は初戦で負けたバスケ部5人だった
僕たちも頑張ったがあっさり負けてしまった
しかし3位決定戦がある
勝てば表彰式に出れるし
このクラスの最高成績になる
相手は3年の隣のクラス
バスケ部の福元がいる
福元・・・バスケの腕は一流だが、メンタルが弱い。いい物は持っていたのだが、監督にビビって自分を出せずにいた
が、これはクラスマッチ。どんなプレーをしても怒られることはない。
思う存分力を出せる
加えて、隣のクラスのため合同体育が多い。チームの力はお互い分かってるし、僕と岩木のコンビネーションは最も警戒されるだろう
隣のクラス・・4組戦力
福元・・前文参照
富・・・野球部のノッポ
林・・・元経験者。現在野球部
清田・・・マッチョ並みにゴツい野球部
田代・・・元経験者。現在バレー部
せっかくだからエンジン組もうよ
クラスの女子が指揮をとる
みんなでエンジンを組む
僕の隣はひかりさんだった
せっかくだからエンジン組もうよ
クラスの女子が指揮をとる
みんなでエンジンを組む
僕の隣はひかりさんだった
じゃあ僕君。掛け声お願い
僕「4Qまであるから体力のペース配分には気をつけて。絶対勝つぞぉ~~~!」
「「「「「「「おぉ~」」」」」」」
全員が呼応する
ライ「おい、作戦は?」
僕「スタメンは僕、ライ、岩木、イケメン、車田。ディフェンスはボックス・ワンで福元にはオレがつく」
ライ「お前に出来るのか?」
僕「フォローは頼むよ」
ライ「任せな」
僕「お互い分かってる相手だ絶対勝つぞ。岩木にはパスのタイミングを変えるからボールから目を離すなよ」
岩木「おう」
試合が始まる
ジャンプボールは互角
弾かれたボールを僕がかっさらう
僕がボールを持つと岩木がついてくる
他は岩木とのラインを警戒してる
福元はスピードの代償というわけではないがフィジカルはそこまでではない
僕は身体をぶつけながらゴリゴリゴール下まで進み
シュートを決める
福元がボールを持つ。
僕が腰を落とし備えるが
ギュン
あっという間に抜かれてそのまま決め返されてしまった
ライ「おい!!もっと粘れよ」
いちゃもんをつけてくる
僕「ごめん。ボールを持たせないようにしないとな」
次のオフェンス。パスコースを探すがない。仕方なく先ほどと同様にゴリゴリゴール下を決める
ゴールを決め、そのまま福元にはりつく
絶対ボールにさわらせない
仕方なく林と田代でゲームを組み立てる
僕「頼むぞみんな」
後ろを任せ、福元にべったりはりつく
福元がゲームの組み立てに関わらないこととみんながディフェンスを頑張ったことで1Qは12ー14の
2点ビハインドになった
12点中10点が僕で2点が岩木だった。
僕が連続で10点したところで完全に僕のワンマンでくると思わせたところで
岩木にパスを出した
ライや他のメンバーもシュートを打つが全然決まらなかった
福元以外がゲームを組み立てられるのが大きい。
元経験者の林と堀で上手く組み立てられている
それに引き換えウチのチームは僕しかゲームを組み立てられない
ライに任せようものならゲームを壊しかねない
僕は勝つために決意し言う
「ライ、次のQ休んでくれ」
ライ「は?」
ライは明らかに不機嫌になる
僕「僕が限界なんだ。相手は明らかに体力を温存している。後半にかけてる。前半は僕を削りにきてる」
ライ「だったらなおさらオレが必要だろ」
声を荒げる
僕「だからこそだよ。早ければ僕は後半の途中には潰れる。その時にライにはフレッシュな状態でいてほしいんだ」
ライ「ちっ!分かったよ。その代わり後半は絶対フルで出るからな」
しぶしぶ納得する
僕「ライの代わりに原が入ってくれ」
原「分かったよ」
僕「イケメンはまだ走れる?」
イケメン「任せとけ。まだぶっ倒れるほどじゃねぇよ」
僕「次のQで逆転しよう」
「「「「「おう」」」」」
卓球部が入ったおかげで僕の負担が減った。
ライが抜けたことでむちゃくちゃな攻めをするやつはいない
僕がゲームを組み立てるのは変わらないがハーフコートを過ぎるとボールを原に託す
原はチームで一番視野が広い。そしてパスセンスもある
原に託すことで僕はリバウンドのフォローに入れる
僕→岩木ラインを防いでも
原→岩木ラインまではケアできない
イケメンには持ち前のスピードを使って空いたスペースを切り裂いてもらう。
たとえシュートが外れても僕がリバウンドのフォローにいけることで
チャンスは続く
3年間で培った阿吽のチームオフェンスで流れをつかみ
2Qでは34ー28の6点リードで前半を折り返した
10分間のハーフタイムに入る
リードしているので雰囲気が良い
僕「しっかり休んで。僕はちょっと出てくる」
僕は体育館の裏へいき
倒れこむ
体力がほとんど残っていなかったのだ
福元への密着マークをこなしつつ、ゲームコントロールにリバウンド争い。これらによりボロボロである
寝転がっていると
目の前にポカリが置かれる
ひかりさんだった
ひかり「僕君、これ良かったら飲んで」
僕「ありがとう。でもどうしてここに?」
ひかり「みんなの前では強がってたけど僕君相当疲れてるように見えたから」
僕「ひかりさんには分かっちゃうんだね」
僕はポカリを一気に飲み干す
僕「ひかりさんありがとう」
ひかり「いえいえ。勝てそう?」
ひかりさんが聞いてきた
僕「今のままいけばね。でも、相手は体力を温存している。ここからが勝負だ」
ひかり「頑張って」
僕「勝ってくる」
僕がそう言って、戻ろうとすると
ひかり「僕君待って」
僕「何?」
ひかり「39が消えかけてるよ。書いてあげる」
マジックで書いてもらう
体育館に戻るとエンジンを組んでいた
ライ「遅いぞ、早くしろ」
ライがせかす
エンジンに加わる
僕「相手は体力を温存している。後半攻めてくるよ。気合い入れ直していこう」
僕「イケメンは一旦休憩で古木が入れ。5分後にまたイケメンと交代で」
「「分かった」」
後半が始まった
予想通り、体力を温存していた4組は先ほどよりも激しく攻めていた
僕はボールを持つと福元と林が二人係でついてきた。
時間を使いつつ何とかボールを運ぶ
時間を使いつつ、何とかつなぐ。
3Qは勢いに押され
46ー46の同点まで追いつかれた
僕「(どうしたものかな。このままじゃ逆転される)」
一人焦る
岩木「なぁ僕。ディフェンスをボックスワンから2ー3ゾーンにしないか?このままじゃ僕がキツいだろ」
岩木が提案してくる
車田「そうだな。オレたちも頑張るから2ー3でいこう」
ライ「まぁこのままお前一人でやるよりはいいだろ」
古木「確かに僕君が後ろにいた方が落ち着く」
今までは
ボックスワン・・僕が福元にずっとついて他4人で四角形を作る
2ー3ゾーン・・前に2人、後ろに3人を配置しそれぞれのスペースを守る
僕「よし。それでいこう。信じてるよみんな。右前が古木、左前にライ、右後ろに岩木、中央に僕、左後ろに車田。」
「「「「「おう」」」」」
4Qが始まった
僕たちは2ー3ゾーンをセットする
福元がこれまでの鬱憤を晴らすかのように
スリーポイントを決めた
僕たちは逆転された
僕「ライ、古木。多少形は崩れていいからスリーケアでいこう。ツーまでなら全然いいから」
ライ「分かってるし」
古木「了解」
僕「スリーを決められたけどスリーで返さなくていいよ。地道にツーで返していこう」
僕が声をかける
そこから地道に得点を重ね3点~1点の間を行ったり来たりしていた
残り25秒。1点差。僕がボールを持つ
福元と林が今までで一番プレッシャーをかけてくる
空いてるのはライだけだ
ライ「こっちが空いてるぞ。こっちによこせ」
ライが声を張り上げる
僕「(仕方ないか)落ちついて。一旦キープしよう」
ライにパスを出す
ライ「バカが」
ライはボールを持つと空いてるスペースにすぐさまドライブする
僕「待て、罠だ!!」
空いてるのではない空けているんだ
とにかく大声で叫ぶ
ライは僕の声を無視し無理矢理レイアップにいった
そこに
田代がバレーボールのスパイクのようにライのシュートを打ち落とす
打ち落とされたボールは福元の元に。自慢のスピードで僕らのゴールへグングン加速していく
その後ろを僕が追う
古木が先に戻っている
僕「古木頼む」
福元が右に抜こうとするが古木が右にいき止めた
次にレッグスルーから左に切り返すが古木がなんとこれにもついていく
身体能力の高い古木ならではである
しかし、すぐさま右に切り返す
これにはついていけず、その場で尻もちをつく
福元はそのままジャンプシュートに入った
僕「いつもより打点が低い。これなら届く」
後ろからもうスピードで走っていたため
その勢いを利用しておもいっきり跳ぶ
バシッ
後ろから福元のシュートをボードに叩きつける
ガンッ
ボールはボードにあたり跳ね返る
そのボールを僕がキャッチする
林がとりにくるが難なくかわす
時計を見ると残り16秒
ドリブルで進む
フリースローラインで福元が待ち構え残り3人でゴール下を固める
これまで通りゴール下シュートには行けない
勝つためには福元を抜いてミドルシュートを決めるしかない
僕に出来るのか?
悩む
「僕君頑張れ!!」
みんなが応援してくれているが一番耳に入る声
ひかりさんの応援だ
行く!!
迷いは消えた
福元と対峙する
車田「たしかこうだったよな」
車田が福元の左隣にたつ
僕「!!ナイス車田」
車田の行動・・それはスクリーンと呼ばれるもの
自分の身体を使ってディフェンスの邪魔をしコースを作るもの
先ほどのバスケ部軍団の動きを見て真似たのだろう
僕は大きく左にスライドする
そしてフリーな状態から
ジャンプシュートを放つ
ザシュッ
綺麗に決まった
残り7秒
僕はすぐさま福元につく
「みんな目の前のやつにつけ!!絶対離すなよ!!」
「「「「「おう」」」」」
みんなが呼応する
あのライですら、必死にディフェンスしている
3年間の執念をのせたディフェンスは
難攻不落の城となった
7秒間守りきった
僕たちは3位になった
僕は試合終了の挨拶を終えると
ひかりさんのもとへ走る
僕「やったよ!!」
勢い余ってひかりさんに抱きつきそうになるが必死に押さえる
ひかり「うん。僕君とっても輝いてたよ」
僕「ひかりさんの応援届いてたよありがとう」
ひかり「うん。どういたしまして」
今日1日ひかりさんといっぱい話せたな
でも、明日からはまたいつも通りだろうな
今だけ、今だけはこの幸せを噛み締めたい
そう思う僕だった