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第4話 僕の青春高校三年生編 前編 狂いだした歯車はなかなかもとには戻らない

僕らは3年生になった


それから月日が流れ3年生の5月

また中国の交換留学の話がきた


ひかりさんは今年も確定


何と、今年は僕も先生から推薦されていた



中国語先生「僕君、今年の交換留学君もどうだい?」


僕「僕ですか?」


中国語先生「僕君は最近成績も良いし、僕君とひかりさんはウチの希望だからね」


僕「お気持ちは嬉しいですが、僕は来月インターハイ予選を控えているのですが・・・・」


中国語先生「監督には私からも説得するから今から教官室に一緒にいこう」



「分かりました(無理だと思うけどな)」


去年のこともあり、無理だと思っていたが


もしかしたらと淡い期待を持っていた


もし行けるならひかりさんと一緒に行けるのだから



僕と中国語先生は教官室へ


「「失礼します」」


監督「僕と中国語先生とは珍しい組み合わせですね。どうかされましたか?」



中国語先生「実はですね・・僕君を一週間お借りしたいのですが」


監督「ああん」

監督の顔が明らかに不機嫌になったのが分かる



そこから中国語先生は留学の素晴らしさと僕君の将来のためと熱く語ったが


監督はどこか吹く風


話が終わると



監督「僕」


僕「はい・・」


監督「来月は何だ」


僕「インターハイ予選です」


監督「お前は」


僕「キャプテンです」


監督「予選前にキャプテンのお前が抜けてどうなる?」


僕「チームの士気に影響します」



監督「分かるな」



僕「・・・・はい」




監督「中国語先生この話はなかったことに」


中国語「そんな勝手な」

抗議をするが


監督「あぁん」

舌打ちと共に声を荒げる


僕「(まずい!このままじゃ練習が地獄になる)中国語先生せっかくのお話ですが、僕には部活があるので」


中国語先生を連れて教官室を出た



僕「中国語先生ありがとうございました

。僕は大丈夫ですので」



中国語先生「僕君、私の方こそごめんね。監督すごく恐いね。バスケ部の人達すごいね」


僕「はは、確かに恐いですがバスケの腕は一流ですよ」

一応フォローを入れといた



それから時間が過ぎ、インターハイ予選

僕たちは先輩たちの抜けた穴が埋まらず戦略ダウンが否めなかったが


みんなで頑張り、春の大会では運も絡みベスト16まで行けた



一回戦の相手はそこまで強くないところだった


ウチの高校は会場高校になっており

ホーム無敗伝説を継続していた


そして試合が始まった


試合はウチのペースだった


2Qを終了し、10点リード

決して安全とは言えないが優勢だった



監督「荒れるぞこの試合」


監督がボソリと呟くが僕にはそうは思えなかった



しかし監督は正しかった


4Qの終盤


とうとう追い付かれ、残り30秒で逆転され1点ビハインドになった



シュートクロック残り10秒になり僕がボールを受けた


ボールを受けた僕は直感する


今、打てば入る



僕は試合中あまりシュートを打たない。


自信がないのはもちろんだが、僕はリバウンドや味方にスペースを作る裏方の動きこそが自分の役目だと思っているからだ


事実それでシックスマンまで登り詰めたのだ


そのことも相まって僕へのマークが薄い



「(入れ)」

僕は跳躍した。左手は添えるだけ、膝を使ってその力を右手に集中させる


僕の三年間の集大成とも呼べるジャンプシュート



この動きは敵も味方も予想外だった


「バカ!!はぇーよ!!」

モテ男が怒号をあげる


モテ男が怒号をあげるのも当たり前だ


明らかにシュートセレクションが悪い


打つべきタイミングではなかった


自分でもそう思った


しかしなぜか入る気がしたのだ



僕の想いのこもったシュートは


綺麗にリングに吸い込まれた

逆転した


「よしっ!!」

小さくガッツポーズする


守備に戻ろうとした際に自分のマークマンがいないことに気づいた


僕がシュートを打っていたためどうしても戻りが遅れる


相手はそれに気づきすぐにゴールに向かっていたのだ



「誰か頼む!!!!!!!!!!」

僕が大声で指示を出すが


敵の応援のかき消される  


僕のマークマンがそのままボールを受け、シュートを決めた




逆転負けした


長く続いていたホーム無敗伝説も僕が終わらせてしまった


チームメイトはその場に泣き崩れる


僕もその場に泣き崩れたかった


しかし、僕はキャプテンだ


「立て!!最後のあいさつだ!!最後までしっかりしろ」


涙をこらえチーム整列させた



試合が終わり、解散となり、帰りの市営バスに乗る



乗ると同時に僕は泣き崩れた



周りの乗客が心配するが、僕には気にする余裕はなかった


しばらく泣くと落ち着いたが

バスはまだ家の近くのバス停につかない



人生で一番長く時間がゆっくり進んでいるように思った



応援に来ていたクラスメートにお礼のメールを送る


そして、クラスのアドレス帳を開いていると


『ひかり』

の文字が目に入る


精神的にも落ち込んだ僕は

無意識にひかりさんのアドレスを押していた



何を言ったかはあまり覚えていなかった


しかしひかりさんから

「自分を責めないで。3年間お疲れ様。キャプテン大変だったと思うけどすごく頑張ってたね」


その言葉に救われた


何とか立ち直ることが出来たのだ



気持ちを切り替え、受験勉強に集中した


僕は県外の外国語大学を受験しようとしていた



当時の僕の成績では難しかったが必死の勉強により


何とか合格ラインが見えてきた




進路ガイダンスで外部の方が来てくれたのだが


ここで大きく進路を変えることとなった




児童英語教師という職業は当時はそこまで認知されていなかった


更にわざわざ日本人を雇うくらいならネイティブな外国人教師を呼ぶ方が圧倒的に良い


という評価だった




特に幼児期にはネイティブな発音を聞かせ、真似ることで生きた英語を学ぶことができる


留学経験もなく、更に幼い頃から発音指導など全く受けていない僕には狭き門だった




外部講師は僕に幼稚園の先生になるように勧めてきた


僕「幼稚園の先生ですか?」



外部講師「それが一番の近道だと思う」


僕「なぜですか?」


外部講師「先ずは子どもたちのことを良く知ることが大切です。それに外部から英語教師を呼ぶより内部にいた方がやりやすいからです」


僕「ですが、僕はピアノが弾けませんよ」  



外部講師「なので4年大学に行ってみっちり勉強されたら良いかと」

 

提案された




奇しくも僕はひかりさんと同じ幼稚園の先生を目指すこととなった



ひかりさんに報告すると


「ほんとに?やった~一緒に頑張ろう」

と喜んでくれた




「一緒の大学に行けるといいね」

と僕がいうと


ひかり「ごめん。私、女子短大に行くんだ」


申し訳なさそうに言ってくる


僕「そうなんだ。でも、道は一緒だしこれからもよろしくね」


ひかり「うん!」




いつか一緒の幼稚園で働けたら  


淡い願いを期待する僕だった




10月、クラス内は受験モードに入っている


僕もひかりさんもそうだった。


今日のひかりさんは体調が悪そうだった




声をかけたいが勇気が出ない

以前のように簡単には会話できず


後からメールで送ることにした




「今日体調悪そうだったけど大丈夫?」


帰宅後すぐに送信した




「大丈夫だよ」とか「ありがとう」


くらいの返信がくると思ってたが返事は予想外のものが返ってきた





ひかり「何で今言うの?学校で言ってくれなかったの?」



ひかり「僕君優しいけどメールの中だけじゃん。学校では冷たいし」




確かに直接言えなかったヘタレな自分が悪い


でも、ひかりさんだって変わったじゃん

彼氏出来てから話かけるなオーラ出てたし


別れてからも前の話かけやすかった頃のひかりさんとは違うし




色々考えることはあったが

「ごめん。話かけるの恥ずかしかったんだ」

素直に謝罪した後


「今のひかりさんは前より話しにくい」

と付け加えて




ひかり「何で?私僕君に何かした?」




すぐに返信がきた


僕は

「何もしてないよ。ただ上手く言えないけどひかりさん少し変わったよ」

とすぐに返信した



ひかり「私は変わってないよ」

絵文字もなしで送られてきた




「(変わったよ)」

心の中ではそう思ったが


「変なこと言ってごめん。またあした」

と返信した



『一度狂い出した歯車はなかなかもとには戻らない』


と言うことを聞いたことがあるが


僕とひかりさんの関係は正にそれだな


そう当時の僕は感じていた


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