✒ グレイルシー教会 4 / 地下室 2
衛美
「 えーと……。
法力に質の良し悪しがあるの? 」
玄武
「 あるに決まっている。
人間には分かるまいよ。
人間は強力か否か、放出量が多いか否かで判断しがちだが、本来は質の良悪で判断するものだ。
弓弦の法力は良質だ。
弓弦程の質を持つ人間は中々居ない。
祿棠冥晶も良質だった。
霄囹が唾を付けるだけある陰陽師だった 」
衛美
「 玄武!
それじゃあ、弓弦さんも霄囹に狙われたりするじゃないの? 」
玄武
「 ないとは言い切れないが、霄囹は弓弦と対峙しているが、気付いてないようだった。
憑依陣を使っていた事もあり、法力の質までは分かり得なかったのだろう。
知られなくて良かったな 」
衛美
「 ねぇ、玄武…。
良質を隠すとか誤魔化すとか出来ないの? 」
玄武
「 それは無理だ。
法力の良さも変える事は出来ない。
弓弦の法力は特殊だからな 」
衛美
「 特殊??
特殊って、どう特殊な────痛っ! 」
厳蒔弓弦
「 ──衛美、大丈夫か!? 」
衛美
「 ……弓弦…さん……。
頭の中で……何かが……弾けてるみたい……。
…………玄武…これって── 」
玄武
「 どうやら、呪具と共鳴しているようだ。
当たりだな 」
衛美
「 …………地下室の何処かに呪具があるって事?
…………治まった… 」
厳蒔弓弦
「 衛美…… 」
衛美
「 大丈夫です…。
ちょっと頭痛はするけど、頭の中で声が響くのに比べたらマシです。
早く呪具を回収しちゃいましょう、玄武! 」
玄武
「 先へ進もう 」
衛美
「 ──玄武、また頭の中で何かが弾けてる! 」
玄武
「 この下だな 」
厳蒔弓弦
「 未だ地下があると言うのか? 」
玄武
「 そうだろうな。
転移する。
弓弦は何時でも矢を射れるように法力を込めろ 」
厳蒔弓弦
「 分かった 」
玄武に言われた弓弦さんは直ぐに弓矢へ法力を込め始めた。
この下にある地下室に榻萠之魔小呂の身体の一部が入れられている呪具があるのね…。
今度は何処を使われているのかしら…。
実体化を解いた玄武が転移陣を発動させた。