表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/9

✒ グレイルシー教会 3 / 地下室 1


──*──*──*── 地下室


衛美

「 ──が地下室?

  …………なんか不気味ね… 」


 げんのお蔭で明るくはなったけど、不気味さはなくならないのね…。


衛美

いまにもなにかが出てきそうよね… 」


厳蒔弓弦

「 広そうだな。

  手分けするか? 」


玄武

「 いや、離れ離れになるのはくない。

  づる、違和感を感じないか? 」


厳蒔弓弦

「 違和感か?

  ……………………いや…。

  特には感じないが… 」


玄武

「 そうか。

  ワタシから離れるな。

  地下室は式神に調べさせればいい 」


 そう言ったげんひとがたの真っ白い紙をなん枚も懐から出すと、バッ──とバラ撒いた。


 ヒラヒラと宙を舞っていたひとがたは下に落ちる事なく、まるで偵察にでも行くみたいに四方八方へ飛んで行った。


玄武

「 先に進むぞ 」


衛美

げん、違和感ってなに

  地下になにかあるの? 」


玄武

「 野良式神が残留思念を取り込んで地縛霊になっている。

  づるが気付かない程、気配を消すのがいようだ。

  此処(地下室)は野良式神の巣窟だな 」


衛美

「 ──え゛っ…。

  …………それってヤバいの?? 」


玄武

「 大した事ない。

  避難経路は確保した。

  安心していい 」


衛美

「 安心って…… 」


厳蒔弓弦

「 残留思念を取り込んだ地縛霊(野良式神)を倒せば、この教会で起きる怪奇はなくなるんだな? 」


玄武

「 無くなりはしない。

  地縛霊を倒しても残留思念は残るからな。

  廃屋がある限り、よどむし、野良式神も集まる。

  残留思念は再び野良式神に取り込まれ、怪奇は繰り返される 」


衛美

「 じゃあ、どうしたらいいのよ? 」


玄武

「 残留思念をとむらうしかないな。

  春夏秋冬、供養いとなむ事だ。

  は残留思念が多いからな、最低でも100年は供養を続ける必要がある 」


衛美

「 そんなに長いあいだ、供養をしないといけないの? 」


玄武

「 そうだな。

  供養は1度すれば終わりではないからな。

  継続する事に意味がある。

  よどみにけがれた残留思念を浄化する作業は大事だぞ。

  廃教会を取り壊すなら、残留思念が消えてからにすべきだな。

  残留思念が残っていれば、野良式神が集まってる 」


厳蒔弓弦

「 野良式神が残留思念を取り込んで怪奇を起こすんだな 」


衛美

「 供養って大事なのね…。

  でもねんに4回も(グレイル)(シー教会)までて供養しないといけないのは大変よね… 」


玄武

「 手間を惜しめばまでも心霊スポットのままだ。

  (グレイル)(シー教会)を取り壊し、新たな施設を作るのは構わないが、怪奇はなくならない。

  いたちごっこだ 」


衛美

「 仮に(グレイル)(シー教会)を供養するとして、地元のお寺で供養をしてもらえばいの? 」


玄武

れいかんのない住職では駄目だ。

  供養をしている形だけで効果はない。

  供養はれいかんを授かった者がするから効果がある。

  れいかんを授かった者がなければ、れいかんの強い者でも構わない。

  多少の効果は得られる 」


衛美

「 お坊さんなら誰でもいわけじゃないのね 」


玄武

「 供養は受ける側の心掛けと供養する側の心掛けも大事だ。

  “ 取り敢えず、すればいい ” というものでもない。

  心のともなわない形式的な供養をしていては、なにも先祖へ回向しない。

  人間の自己満足を満たすだけの行為だ。

  多額の供養料を支払って喜ぶのは、供養料を貰えた側の人間だけだしな。

  供養料の金額は先祖へ回向しない。

  供養するたびに多額の供養料を支払っている者は、寺からカモられている自覚をした方がいい。

  れいかんのない者がする供養は、供養になってないのだから詐欺になる 」


衛美

「 …………でも…れいかんがなくても、ちゃんと修行しているお坊さんなんだし、詐欺にはならないと思うけど? 」


玄武

「 人間の定めた法則では、裁かれないな。

  檀家は菩提寺の坊主や住職に頼るしかない。

  裁かれるような犯罪を犯さなければ、捕まる事はないのが人間社会だろう 」


衛美

「 廃教会の供養むずかしいかも知れないのね… 」


厳蒔弓弦

「 そうだな。

  最低でも100年だからな。

  供養をするたびに発生する出費を自己負担してまで(グレイル)(シー教会)の供養いとなもうとする者は先ず、ないだろうな 」


衛美

「 ですよね…。

  交通費,滞在費,準備費…もろ(もろ)の必要経費を4回分、100年間も地元が出すとも思えませんし… 」


玄武

(グレイル)(シー教会)の今後は、ワタシ達の知った事ではないぞ。

  放っとけばいい。

  提示した解決策に対して、地元がどう取り組むかだ 」


衛美

「 地元の人達に解決策を教えるのね。

  ちょっと安心したわ 」


厳蒔弓弦

げん、野良式神は気配を消す事が出来るのか? 」


玄武

「 意思があれば出来るな。

  仮に気配を完璧に消せたとしても、式神に対しては意味がない。

  気配を消して騙せるのは人間だけだ。

  づる程の退魔師に気配をられないのだから、知性を持っている可能性もある。

  しょう(しょう)厄介かも知れないぞ 」


衛美

「 ──でも、げんなら秒殺でしょ? 」


玄武

「 当然だ。

  ワタシには掛かれば秒で滅っせる。

  十二支の大量召喚も出来るしな。

  ただ──、此処(地下室)は狭い。

  鬼神降臨は出来ないから、式神にチマチマ攻撃させるぐらいしか出来ないな 」


衛美

「 そうなの?

  ──内臓破裂とか、心臓腐蝕とか、血液沸騰とか、野良式神には出来ないの?

  もしたがるじゃないの 」


玄武

「 野良式神には、人間のように臓器,心臓,血液…などはないから出来ないな。

  例えかく(コア)を見付けても、式神には式神のかく(コア)を破壊する事は出来ない。

  づるが頼りだ。

  づるほうりきを込めた弓矢で射れば、かく(コア)こな(ごな)にする事が出来る 」


衛美

「 そうなの?

  づるさんって凄い! 」


厳蒔弓弦

「 私のほうりきは大したほうりきではないんだが、大丈夫なのか? 」


玄武

「 自信を持て。

  づるほうりきしつい。

  ほうりきは強力だからいわけではない 」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ