表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
302/306

逡巡!覚悟を背負うということ

 「渾身の一発!!」


 最後にトビーがハンマーの一撃をカサブランカの胴体に見舞うと、すさまじい衝撃波が広がり活動を停止させる。


 「やったか?」

 「そういうの、やってないってことだって今まで散々見てきましたわ。」

 

 なら一発と言わずに何発でも叩き込んでやればいいと思うが、トビーの持つ『ゴールデンクラッシャー』にはちょっとクールタイムがある。元はハードコア風パズルゲーム『メタルコンボイ』のお助けアイテムで、邪魔なブロックを破壊する範囲が最も高い代わりに、クールタイムも一番長いというシロモノなのだ。


 その分威力もお墨付きだ。あれだけの衝撃を加えれば、いかにカサブランカといえど中身のパイロットまで無事とは到底いかない。勝ったな、風呂入ってくる。


 「銃撃継続!」

 「アイアイサー!」


 少々残酷だが、確実性のために攻撃を継続する。ことレベリオンに関してはパイロットは生体パーツでしかなく、パイロットが生きてさえいればレベリオン自身の意思で動くこともできるのだ。


 『まったくもってその通りね。』


 「やはり生きていたか。」


 射撃の第二波が届くよりも前に、意識を取り戻したカサブランカは派手にブレイクダンスのように回転しながら立ち上がり斉射を躱す。


 『おかげで雄二は気絶しちゃったけど、今度は私の番!』


 相変わらず、カサブランカの狙いはヴァイスロンだ。弾幕をあっさりと潜り抜けてヴァイスロンに肉薄すると、鋼鉄をも砕く拳をふるう。


 『そのデカイ図体でどれだけ避けれる?!』 


 「くっ!レーザーソード!」


 ヴァイスロンも負けじと光の刃を発生させるが、波動エネルギーを纏わせた拳を切断するまでには至らず、鍔迫り合いのようになる。


 「うぉおおおお!」


 『遅い!』


 「ぐわはぁっ!!」


 レーザーソードを握る右腕が肘関節から破壊されて宙を舞う。ヴァイスロンはたじろぐ。


 『ところで遊馬、あなた過去に未練は?』


 「あるけど、過去は過去だと思う。」

 

 今まで救えなかったものもたくさんあるが、それでも遊馬たちは進んできた。


 『それが全部戻ってくるとしても?』


 「考えたよ。死んでいった仲間たちが、みんな戻ってくればとか。」


 瞼を閉じれば浮かんでくる、仲間たちの顔。エルザや雄二もそのうちのひとつだ。


 「シェリル・・・。」


 現実世界の戦いで死んだネプチューンのクルーたち、手が届かなかった人たちのこと。


 「けど、みんな『覚悟』決めてた。その覚悟をフイにする願いなんて・・・できない。」


 『そう、ではなぜあなたは『未来』に生きようとしないの?』


 ビクッ、と遊馬の体が震えた。核心を突かれたのだ。


 『その覚悟を背負って生きてきているなら、あなたは未来に生きなければならない。そうは思わない?』


 遊馬の頭もまた一瞬のうちに行動不能にさせられてしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ