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料理!モンド特製ラーメン

 「これは・・・マズいですわ!」

 「うん、ちょっとヤバイね。」

 「一体どうしたらこんなことになるのか。」


 はっきり言ってそんなにおいしくない。あえて言うなら化学調味料の味。


 現在、食堂にて格闘中である。戦っている相手は、モンドの作った『ラーメン』である。


 「らぴらぴ♪」

 「らぴ。」

 「文句言わずに食ってるのはこの2人だけだぞ。」

 「この2人の味覚と同列に語ってほしくはないかな。」


 この二人は、宇宙的なバイオロジーだから。効率的に栄養を摂取するために、栄養その物をとっているようなレイの舌には普通に感じられるのかもしれない。あとラッピーは味覚があるのかすら怪しい。


 「なんでよりによって、一番料理に疎そうなモンドがコックになっちゃうかな?」


 どんぶりの中身を半分ほど減らしたトビーが、椅子にもたれかかりながら水を口にする。美鈴は一口食べてギブアップした。


 「なんだろう、でもちょうど僕の通ってた高校の学食のラーメンもこんな味だったよ。醤油ベースというより醤油そのものな味。」

 「褒めてんのか貶してんのか。」

 「いや、ただなんとなく懐かしいなって・・・。」


 あまりいい思い出と言うわけでもないが。とりあえず遊馬は食べきれた。


 「けっぷ!」

 「らぴ。」

 「でも、レイもちょっと元気になったんじゃない?」


 目覚めたレイはひどく意気消沈していたところ、唐突にモンドがこうして手料理をお見舞いしてきたというわけだ。


 でも、悩んでてもしょうがないのは確かにそうだ。どんなに辛くても、時には前に進まなければならない。


 「モンド。」

 「ん?」

 「ありがとう。」

 「別に。ちょっと興味があっただけだ。」


 レイはちいさくモンドにお礼をする。


 確かにモンドのいた世界では、こうした料理というものは珍しいかもしれない。大体が固形の栄養食で食事が済まされるというのもあるが、それ以上に調理される前の『食材』というものが珍しいようだ。当然、それらを使った『調理』と言う工程も消費者であるモンドには馴染みがない。


 その中でも、食堂の中ではポピュラーなメニューであるラーメンのレシピを見つけ、モンドはどういうわけか調理しなくてはならないという観念に駆られた。

 

 「あっ、これが食堂のサブクエストだったのかな・・・クリアランクが出た。」

 「ランク?当然Aだろ。」

 「Cだね。」

 「Fじゃなくてよかったね。」


 【アイテム獲得】


 秘伝レシピ:スキル『滋養のある食事』を得る。


 滋養のある食事:体力を中程度回復


 「へー、で誰が持つの?ミスズ?アスマ?」

 「美鈴はもう回復スキルとか持ってるし、僕が持つよ。」

 「お前に料理なんか出来るのか?」

 「料理『なんか』とは聞き捨てならないね。これでも家事は一通りできるし、料理だって得意なんだよ。」

 「なら今度からお前が作るんだな。」

 「レイは、モンドのらぴの方がいい。」

 「だってさ。」

 「・・・気が向いたら、またな。」

 「らぴ。」


 話している間に、なんとかトビーも完食していた。美鈴の食べなかった分はラッピーの胃に収まった。


 「それで、これからどうするリーダー?」

 「・・・もう一回、花畑を調べてみるのがいいんじゃないかと思う。ミステリーサークルは結局調べずじまいだったから、何か手掛かりが残ってるかもしれない。」

 「たしかに。」


 とりあえず、一同は再び花畑にやってきたのだった。ミステリーサークルは変わらずそこにある。さて、何から調べた物か。


 「ミステリーサークルと言えば、ここで何かすればUFOを呼べるんじゃないの?」

 「宇宙船を探しに来たのに、そんな都合よくいくかな?」

 「べんとら~。」

 「なにそれ。」

 「UFOを呼ぶ言葉。」


 宇宙語で宇宙船を意味するらしい。が、地球では車の名前としてよく使われている。言いえて妙だな。


 「everybody say!ベントラー!」

 「ベ、ベントラー・・・。」

 「ベンタラ?」

 「らぴ!」

 「らぴ。」


 しかし、なにもおこらなかった。


 宇宙に関する言葉なら、まだ『らぴ』の方が信用性ありそうだ。


 「そういえば、ラッピーはどうやって宇宙から来たんですの?」

 「隕石に乗ってきたとかか?」

 「ううん、ラッピーはロケットを持ってるんだ。それに乗っていけば宇宙まで行ける。」

 「・・・それを使って宇宙船を追いかけるというのはどうですの?レイさんを伴っていけば信号を追えるでしょう?」

 「・・・その手があった。さすが美鈴何という冷静で的確な判断力。食堂からニンジンをとってこよう。」


 もしも何者かが、レイの宇宙船に乗ってどこかに行ってしまったとすれば、それは宇宙に他ならない。


 けれどここは、星も動かず、月は真ん丸なままの閉じた世界。宇宙へは上がれないのだ。よしんば行けたとしても、そこは『宇宙』というマップ。必ず同じ場所へ行けるはずなのだ。


 「でもその理屈だと、レイが宇宙船に乗っても、レイは自分の星には帰れないんじゃない?」 

 「レイの場合は、それがクリア条件になるから、マップの外にも行けるんじゃないかな。」

 「曖昧だな。」


 文句はこの世界を作った人間に言ってほしい。あれから何度かゲームPODを起動してはいるが、エルザのメッセージは来ない。やはりカサブランカの近くでないと交信できないんだろうか。


 「よし、ニンジンがあったぞ。ラッピー、これを。」

 「らぴ!」


 ラッピーがニンジンをかかげると、光が集まってたちまち丸い窓の付いたマンガのようなロケットに変わる。これなら宇宙までひとっ飛びというわけだ。


 「中狭くないかな?」

 「大丈夫、ゲームだから。」


 全員を乗せて、ロケットは発進する。驚くほどに揺れもなく、スイスイと雲を突き抜けて空の旅へ。

出来たぞ新一!作者が絶頂するスイッチじゃ!

          ↓

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