積立!進化するハード
「そもそもグラウンドの土なんかで作物が育つのかな?」
『無理だね、栄養がなさ過ぎてペンペン草も生えないよ。』
ミントぐらいなら生えるかもしれないが。農作物でレベルアップ作戦はうまくいきそうにない。
『農業を舐めちゃダメだね。』
「まあ、第一次産業のことはもういいよ。それを使ってバグを起こそうとしてるのもまあいい。」
よかはないけど、とりあえず今は置いておいて。正攻法の話をしよう。
「そう、今回のことで一つ進展があった。」
『続編を作る能力にウラがとれたね。』
『あの男が言っていたことはウソではなかったと。』
あの男とは、遊馬の父の和馬のことである。かつてエヴァリアンに与して、そのシステムを使って『今』の現実世界を作り出した。
『なんというか悪党のポジションだな。』
「否定できない。」
『まあまあ、今はヘイヴンに協力してるんでしょ?』
「大人しくしててくれればいいんだけどね。」
今頃何やってんだろうか。ネプチューンにいたところでせいぜい司令に茶々いれるぐらいしかやることないだろうに。
『そしてその息子である遊馬がその役目を継いでいると。』
「自分でやりゃあいいもんをなんで僕にやらせるのか。」
『引きこもりだったんでしょ?外に出てほしかったんじゃないかな。』
「そこまで愛されてたとは思えない。」
『そう言うなよ。』
まあ、この年まで育ててくれたことは感謝しているが。けど同時に無関心のように放置されていたことも事実なのだ。
『複雑なんですのね・・・。』
「そう、複雑なの。」
果たして僕は父から何を期待されていたんだろうか。それとも期待されておらず、ただ父と子だからという理由だけで養っていたんだろうか。父がどう思っていようが、それを言葉にされない限りは遊馬にはわかりはしない。
「その真相は・・・正直知りたくもないかな。どっちにしろ傷つきそうだ。」
『知らない方が幸せなこともあるか?』
「モンドも記憶を取り戻したら深く傷つくことになるよ。」
『散々ネタバレ喰らわせておいてそんなこと言うのか?』
かくいうモンドも、タイムゲドンの科学者である父親から色々と託されているんだが。それを知って、なお誇りの道を行くのか、野望の果てを目指すのかはプレイヤー次第。
「閑話休題!とにかく、このゲームPODネクスには世界を変えうる力があるという確証が持てた。」
『たかがゲーム一本新造しただけだろう?』
「そのゲームをこのゲームPODにつなげば、それだけで世界がひとつ広がるんだよ。」
生産→供給→生産のループがこのゲームPODひとつで完結しているのだ。カードゲームにたった一枚でループコンボを完成させるカードなんてあった日には、そのゲームの世界は大きく崩壊することだろう。
『でも、ハードが違うんじゃその新しいゲームをプレイできないんじゃないの?』
『そうですわ。そもそもゲームPODネクス自体が古いゲーム機なんでしょう?』
「それがあるんだ、最新ハードをプレイしつつ、ゲームPODネクスを繋げられるハードが。」
『そんな都合のいいハードあるのか?』
「ある!」
その名を、『ゲームトロフィー100』という。
『ゲームトロフィー?』
「通称トロフィー。このハード自体もゲームPODネクスと同じくらい古い機種なんだ。」
『古いのに、新しいゲームがプレイできるの?』
「うん、トロフィーは拡張性がすごく高いんだ。後付けの周辺機器を接続して積み上げていくだけで、100年先まで遊べると言われていた。」
タワーのようにうず高くパーツをカスタマイズしていくことで、あらゆるハードに互換性を持たせることができ、これ一個で様々なゲームが楽しめる。
『言われて『いた』?』
「うん、100年先まで遊べるという触れ込みだったんだけど、その前に大元のトロフィーを開発していた会社がつぶれちゃったんだ。当然、周辺機器のパーツの開発もストップした。」
『そりゃ残念だね。』
「うん、けどその夢のようなハードの志を継いだ、有志の人によって今も開発は続けられているんだ。」
『そりゃなんとも夢のある話だ。』
ゲームトロフィー100には、人の夢が乗っているのだ。
「で、それがウチにあるんだ。家に一旦変えることが出来れば、トロフィーを持ち帰って自由にゲームPODネクスにゲームを繋げられる。」
『旧世代のゲームPODネクスを繋げてどうやって遊ぶの?』
「こいつをコントローラーに出来る。」
『ふーん。』
まあ、見栄えや理屈はともかくとして、このゲームPODネクスにはまだまだ利用価値があるという事だけを理解していただきたい。
「あんなゲームやこんなゲームと接続すれば、好きな世界も作り放題、アイテムも持ってき放題!グッと攻略難易度は下がるはずだ。」
『正直、ついさっき話してた改造ツール使ってるのとどう違うんだってツッコみたい。』
「そこはほら・・・攻略してるかどうかの違いだから。」
まあ自己矛盾に陥ってる気がしないでもないが、これぐらいのズルは許してほしい。誰に許してくれと頼んでいるのかは知らないが。




