銃撃!崩れ行く有利性
実際、ダークリリィの方が一歩先を行っていると言っていい。有効打を与える方法があるし、逆にバエル・レベリオンにはダークリリィの走行を突破する方法がない。だからこそ、あの時バエルは殴りかかってきたのかもしれない。
「強気に行ける。」
『自信に足元すくわれないようにね。』
油断大敵というやつだ。ともかくバエルを探すために施設内を捜索する。サイズから言って、人間が通るような通路には行っていないだろう。とすればメカニック用のドック内が怪しい。
レーダーにも気を付けながら、モニターに目を光らせる。異常な進化や再生力の結果、かなりの高熱を発していることはわかっている。捜索においてもやはりこちらの方が有利。
「んっ、上か!」
そうして十数分さ迷ったのち、とある区画に入った瞬間にレーダーに反応があった。サーモセンサーが電灯の消えた暗がりの中に身を潜めたバエルの姿をとらえる。
おそらくこちらの存在に敵も気づいていることだろう。とあれば、今度はこちらから仕掛ける番だとバーニアを噴かせて飛び上がる。
「うおっ!直撃!?なにが?!」
あ、その威勢は衝撃でもって打ちのめされる。よろめきバランスを崩したダークリリィはあらぬ方向へと向かっていくが、壁にぶつかる寸前でバランスを取り戻す。
『気を付けろ!敵は武装している!』
「武装!?なんで?!」
『ここが武器庫だからだろう!』
壁際にまで近づいてわかったが、ここは軌道エレベーター防衛用のレベリオン格納庫だった。当然レベリオン用の武器も置いてある。
『けど、ついさっきまで蟲の王だったバエルが、いきなり道具を使う知能なんか目覚めさせたっていうのか!?』
『目覚ましい進化だね・・・。』
「感心しとる場合かい!」
よく見れば、電灯も点いていないわけではなく、破壊されているようだった。
「暗がりを用意して待ち構えていたのだとすれば、よくもやってくれたなということだぞ!」
落ち着いて物陰に隠れながらサーモグラフィーを起動させると、暗がりの中にいるバエルを見据える。熱源探知機では、敵がどんな武器を持っているかわからない。
『周囲にあるのは、アーマーライフルにソリッドバズーカのようね。コックピットに直撃しなくてよかったわね。』
アーマーライフルは装甲貫通弾を装填したライフル、ソリッドバズーカは炸薬式バズーカだ。さすがにフォノンライフルほどの威力はないが、コックピットにクリーンヒットしていれば大怪我は必至だった。
運がいいのか悪いのか、ともかく第3ラウンドの開始だ。




