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有効!電撃殺法

 「第二ラウンドだ!」


 真空にも近い世界にゴングが鳴る。バーニアを吹かしてダークリリィは突貫する。その黒い装甲の表面に火花が散るが、それに臆することもなく手を伸ばす。


 『フシュゥッ!!』


 「調子乗ってられるのもここまでだっ!」


 バエル・レベリオンも2本の腕を顔の前で掲げてガードするピーカーブースタイルのまま、2本の腕で強気にも殴りかかってくる。


 「こっちから行くよりもしめたもの!」


 2本の腕は宙に浮くポージングに使っているため、攻撃に回せるのも残る2本だけということだ。そして2本だけならば捌くのも容易い。


 「捉えた!エレクトロボルトォオオオオオオ!!」


 バエル・レベリオンの腕を掴んだダークリリィの体から、青白い光がスパークする。


 『ギュオオオオオオ!!』


 バエル・レベリオンは苦悶の声を上げ、腕を振り払おうとするが痺れて思うように動かない。


 「ぶっちぎれろぉ!!」

 『いいぞぉ!!』


 そして肘関節が限界まで焼き付いた時、ダークリリィはサマーソルトキックで振り切った。まるでボロクズのように吹き飛ばされたバエル・レベリオンは、エレベーターの外壁に衝突する。


 ぶつりと千切れた2本の腕を投げ捨てると、ダークリリィは油断せずに構えなおす。そのうち腕も生え変わるかもしれないが、その前に全部千切ってやればいい。


 『グシュルルルルルル・・・。』


 『どうやら、腕の方は再生力が弱いみたいだな。』

 「狙い通りだ!」


 不利を悟ったバエル・レベリオンは、残された4本の腕を羽根のように羽ばたかせてエレベーターを上へ上へと高速で昇っていく。


 「逃げる気か!」

 『結構速いな。』

 

 電力を一旦使い果たしてリチャージが必要になったダークリリィではすぐに追い付くのは難しいかもしれない。バエル・レベリオンは第1宇宙速度を優に越える速度を出している。


 「やつのあの力の源は一体なんなんだ?」

 『パイロキネシスといい、サイキッカーのようだけど。蟲が進化しただけでそんな能力を得られるものなのか?』

 『・・・不可能ではないかもしれない。例えばバッタのような大群は、テレパシーでもって群れをコントロールしているとも考えられている。』

 「ゼバブもそれと同じってこと?」


 そもそも、EADのキャリアでしかなかったゼバブが凶悪な生物兵器に変異したこと自体が不思議なのだ。しかも、自己複製のできないEADをも繁殖と同時に増やしている。


 『うーん、考えれば考えるほど謎だな。研究できるのなら研究してみたい気もするよ。』

 「勘弁してよ、これ以上あいつらを増やすつもり?」

 『超能力や進化を与えるウイルスなんて、魅力的な誘いだということは確かだよ。そもそも真空ですらものともしてないし。』


 それが今、次元の裂け目を越えて異なる世界へと羽を広げようとしている。どこに転がるかはわからないが、どう考えても悪い方向にしか転がらないのは確かだ。

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