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最適解!手を止めるな

 『なら、戦う手段は一つですわ!』

 『接近戦だ!』

 「あんなラッシュを撃ってくるやつと殴り合いなんかしたくないんですけど?!」


 速さだけでなく、腕4本差のハンディキャップはどう乗り越えたものか。文明の利器たる道具、武器はなにがあったか。


 『近接武器は正直あまり用意してなかったね・・・。』

 「銃が役に立たない相手に、剣が効くともそう思わないけど・・・。」


 ダークリリィの装備できる他の近接武器と言えば、備え付けのスタンバトンと、超振動ナイフぐらいなものだ。もっとかっこいいビームソードとかあれば迷いなくそれを選択していたのだけれど。


 「何もないよりかはマシ、か・・・。」


 が、ナイフならライト・レベリオンに乗った時も少し使ったことがある。少しでも使った覚えのあるものを、遊馬は選択した。


 『ナイフ格闘術のコンバットプログラミングを適用する?』

 「もちろん、あるものは使う。」


 現実世界でも、ヘイヴンのレベリオンパイロットであり、システムエンジニアでもあるパトリシアの作ったシミュレーターやプログラムのおかげで、しばらくの間生き延びることが出来ていた。


 ・・・今思えば、いくらそんなにすごいプログラミングがあったからと言って、簡易量産機で専用機にたった一機で、素人が立ち向かっていくなんて正気の沙汰ではなかったな。生きていられるのも本当に運がよかったか。


 「その運が、今も向いてくれてますように・・・。」


 ギュッとナイフの柄を握りしめると、自然とダークリリィもナイフ格闘術の構えをとる。あとは遊馬が戦闘の意志さえ見せるだけで、ダークリリィは遊馬の思う以上に動いてくれる。


 『こんな時に言うのもなんだけど、私からひとつアドバイス。』

 「手短にお願い。」

 『機械のプログラムは最適解を導いてくれるけど、それが最善というわけではない。機械には計算しか出来ないからね。』

 「なるほど?」

 『それ以上の最善手を遊馬が打ち込んであげて。』


 つまり、敵に勝つ前にはまず機械に負けるなということだ。エルザもそう言いたいのだろう。


 「ちなみにエルザと雄二なら勝てる自信ある?」

 『私の中にはすでに33のパターンが組み込まれているけど?』

 『寄って斬る、それだけだ。』


 雄二にはすでに最適解が見えているらしい。この領域にまで遊馬は到達できるのか。その前に死ぬのか。

 

 『まあまあ、多分遊馬の得意分野だと思うよ?反射神経と判断力がものをいうから。』

 「ありがと、覚えておく。」


 ここまでお膳立てされてなおしり込みしているようではゲーマーの名折れというもの。おしゃべりはこれ以上にして、いよいよ本腰入れて攻略に移ろう。

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