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万端!最終決戦へ

 「いっそ死んでいた方がマシな時もある。今のオレたちのように。」


 後ろで聞いていた雄二が、声をはさんだ。


 「EADもレベリオンも同じだ。災厄でしかなかったものですら人間は従え、同じ人間に向けあう。そのきっかけを作ったのも、俺たちだ。」

 「雄二・・・。」


 その行く末は舞台の上に立つ役者には知る由もないことだが。もしも知ったら絶望するしかないだろう。


 必死で守った世界が、自ら滅びへの道を歩んでいくのを見せられてしまうというのは筆舌に尽くしがたいところがあるのだろう。


 「こんな脚本を書いたやつは殴ってやらなければならない。」

 「雄二たちの場合は僕の親父なんだけど。」

 「じゃあ今度代わりに殴っておいてくれ。」

 「さすがに身内に手をあげるのは気が引ける。」

 「本音は?」

 「マジで一回ぶっ飛ばしてやりたい。」


 遊馬は激怒した。何から何まで色々と説明不足でおたんこなすなあのクソ親父をグーで行かねばならぬと決意した。


 それもこれもあの親父の雑な教育が悪い。遊馬が引きこもりになったのもやっぱりあの親父のせいだと思う。


 さて、そんな親泣かせな考えは一旦置いておくとして。


 「だからこそ、アシュリーの心を救ってやらないといけない。」

 「アシュリーはどうしたいんだろうか。」

 「そこんところどう思うんだ、遊馬は?」

 「僕?」

 「アシュリーと自分を重ねているんだったら、遊馬の意見も大きいところあるよ。」


 アシュリーは僕と似ている。なら、アシュリーの欲しいもの、してほしいことは僕にとっても同じもの。


 「だから僕はアシュリーのお兄ちゃんになった。」

 「へー。」

 「遊馬ってそういう・・・。」

 「君たちの考えているような他意はないよ?」


 確かにアシュリーは可愛いけど。


 「で、そのお兄ちゃんは次に何をしてあげたいのかな?」

 「エルザだって雄二のお姉ちゃんみたいなものだったんでしょ?意見聞きたいな。」

 「ん?私?」

 「おい、遊馬。」

 「なに雄二?」

 「・・・藪をつついて蛇だぞ。」


 雄二とエルザは10歳の差で、雄二は火星で生まれた。


 「そうねー、私は雄二が生まれたての頃からの付き合いだからね。とにかく火星では人手が足りなくって、ミルクあげたりおシメを替えてあげたり、勉強も教えてあげたっけ、手取り足取り。」

 「ああ、だから姉というよりも親代わりのようにも想っていた。」

 「姉であり、母であった、か。」

 「今は妻みたいなもんだけどね。」

 「一言余計だ。」

 「エヘヘ。」


 あっけらかんとしているエルザとは対照的に、雄二は少し恥ずかしそうにしている。


 「けど、思ったよりも普通な幸せのビジョンですわね。」

 「そうよ、普通な幸せってとっても幸せなことなのよ。」


 この場にいる全員が、思うところあるのか押し黙る。ともあれ、遊馬のやることは決まった。


 「ほれ、遊馬。得物の調整はしておいた。これなら反動も少ない。」

 「強化服もね。生存性はこれで高まる。」

 「ありがとう、2人とも。」

 「私たちは・・・。」

 「応援してるよ!」

 「ありがとう!」


 そして武器もそろった。さあ、戦いの幕が切って落とされる。血と腐臭の世界にまた潜っていく。


 【GAME START】

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