黒塔!光を目指せ
「ここも・・・誰もいないのか。」
軌道エレベーターのふもと、駅に滑り込んだリニアレールは全車両の半分ほどがなくなり、その車内も血みどろで化け物だらけ。もしも人がいたら大騒ぎだったろう。
やはり駅内にも人の気配はない。代わりに人がいた痕跡はある。
「ここも、血みどろか・・・。」
少しぐらい息抜きさせてくれてもいいだろうに、そこかしこによく見慣れた血痕と泥の塊があり、隠れた敵の気配に辟易とする。どうやらまだ武器を手放すことは出来なさそうだ。
と、ここで思い出すがデッドソイル原作も大別して列車と研究所の二部構成になっていた・・・つまりここからは後半のダンジョンというわけだ。そんなところにハンドガンとゴルフクラブという初期装備で挑むのはいささか不安が残る。むしろ新しいマップで、新しい武器をゲットできるかもしれない。心優しい製作者様ならばゲットさせてくれるだろう。
「ここは比較的綺麗かな・・・。ちょっと休もうか。」
「うん。」
駅の待合室、ベンチもある小さな空間にわずかな安らぎを感じる。すぐそばの案内所には、簡易的な地図も置いてあるではないか。
「ふーん、上は5階まであるのか。別の路線のホームもあるし・・・。」
さて、どこを目指したものか。一応、目標としては『助けを呼ぶ』というものがあるが・・・ここなら列車内よりも、通信機になるものは多そうだ。
大別して、1~3階にはリニアの駅。4階に軌道エレベーターのホーム、5階からエレベーターに乗り込める。あと一般利用客には見えないところには、職員用のスペースがあるというところか。
そういえば、以前にもゲーム世界で軌道エレベーターにまでやってきたことがあったけど、その時見た施設とはどうも違うらしい。あっちの世界は約20年前の世界を模したものだった、今とは違うのだろう。
つまり、一から探索しなおさなければならないという事だ。そして多分、全部探索しようとすると滅茶苦茶広いだろう。ある程度目星をつけて、ピンポイントに捜査しないとキリがないだろう。
「ねね、ここ・・・。」
「ん?」
「多分このあたりだと思うけど、光が灯ってるのが見えたよ。」
「どこ?」
待合から出て、ホームの天井がガラス張りになって見晴らしのいいところへ行く。星と月に混じって、異質な光の点滅が見える。
「ほら、あそこ。」
「本当だ。管制室かな?」
レールを見下ろすように立つ、見張り塔のような建物。その天辺にはたしかに緑や赤のランプが点滅している。
光が灯っている、目印があるという事は、そこになにかあるということ。よし行こう。




