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悪夢!無人の列車

 さて、なにはともあれ先頭車両に到着した遊馬は、運転席の前へとやってきた。


 「鍵は・・・開いてないか。フーン、どうしたものか。」

 「らぴっ!」

 「ん?」


 もぞもぞっ、とリュックの中でラッピーが動いて反応する。何か策があるのか?とリュックから出してあげる。


 「らっ・・・ぴぃ!!」


 すぐさまラッピーはその場で足踏みしたかと思うと、ドゴォッ!と重い音共に運転席への扉は大きく凹んでしまった。


 「ああ、ナイス解決だな。」

 「らぴ!」


 これでよかったんだろうか、と考えないことにした。解決すればそれが正攻法、自由度の高いゲームというものはこうでなくては。


 ともあれ、これで運転席へ入ることが出来たが、ここもまたもぬけの殻だった。よくわからない機械が点滅している。


 「うーん・・・自動運転だって聞いたことがあるけど。でも前にトビーが運転してたのは、別の車種だからかな。」


 マニュアル操作の方法が全くないわけではないのだろう。しかしどうやら電源そのものが入っていないようにも見える。スイッチやレバーをいじっても何も反応が無い。というか、そもそも列車は動いていない。


 「最後列の車両になら、なにかあるかな?それとも、外に出るか・・・。」


 とりあえず目指せるロケーションはこの二つだ。相変わらず外の様子は、窓からはよくわからないし、何か不気味なものを感じる。最後尾の運転席にも何かあるかもしれないが、それには16両を歩く必要があり、これもまた骨が折れるだろう。


 車両の外と中、どっちを行くか?という選択肢が頭の中に出現する。さてどっちを選んだものか。外は暗い、闇討ちに遭う可能性が考えられる。一方中は明るいが道は狭い、挟み撃ちの可能性があるかもしれない。


 ああ、こういう時通信が出来れば仲間と相談するんだが。そういえば、武器や装備は整備のために一旦返してしまったから手元には何もないぞ。


 「ホラーゲームなら銃が落ちてるものだけど、ここ持ち込み厳しいからなぁ。」


 この状況をホラーゲームと、遊馬は評した。そしてそれはおそらく当たっているだろう。先ほどハエのような虫、あれには見覚えがあったし、この状況にも心当たりがある。出来れば外れていてほしいと願うばかりだ。


 間違ってもホラーゲ-ムの世界には生まれ変わりたくない。どうせ怪異や事件に巻き込まれたら、ロクでもない理由で死ぬか、ロクでもない理由で死ねないかのどちらかという結末が待っている。


 悪いことは夢で起きて、夢で終わってほしいものだ。

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