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乙女ゲームのヒロインに転生したらしいが、すまん私はショタコンだ~なお、弟が可愛すぎてブラコンも併発したようです~  作者: ふとんねこ
第6章.黒の森決戦編

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第7話.ショタコンのお願いフェイス


 翌日になると思ったけど、その日の夜に陛下に呼び出されて「お前の目と言葉を信じよう、サラジュード」と言われた。


 つまりこれはリオが行方不明の第三王子だと認めるってことで。


 ここまで信頼されている師匠の目ってヤバいなぁと思いつつ、眼球に能力が付いているのか、師匠自身に能力が宿っているのか、それが少し気になった。

 私の魔眼も、果たしてどっちなんだろうか。目がなくなっても、心の目とかで見えちゃうぜって感じになったりする?


 陛下が口を開いたので逸れていく思考をそっちへ向け、視線を戻す。


「それでだ、救出作戦についてだが……」


 よし来た。


「国王陛下、発言してもよろしいでしょうか」


「む、アイリーン。何だ、申してみよ」


 スッと姿勢を正して陛下を真っ直ぐに見つめる。口を挟まれた陛下は少し目を瞬いて、それでも私に話すよう促してくれた。

 この辺の寛容さはありがたいし、普通にすごいと思う。もしかしたら裏方に控えている護衛の人たちとかは私にイラついたかもしれないけどね。許せ。


「邪神ファ、げほっ……邪神信徒を率いていると思われる人から手紙が届きました」


「何だと?!」


「何とも気持ち悪い……ん゛んっ、不思議な魔法で届きましたが、危険はなさそうでした。それが、これです」


 ご覧になりますか、とポケットにしまっていた手紙を出して見せる。陛下は一瞬迷う様子を見せたがすぐに「見せてくれ」と答えた。


 それにしても誤魔化しは上手く効いているだろうか。ついつい普段使っている言葉が口をついて出ちゃうんだ。あと、手紙は本当に気持ち悪い魔法に包まれてべちゃって届いたからね。


 上段へ進み出た私から手紙を受け取って開いた陛下はその短い文にすぐさま目を通し、眉間にしわを寄せる。


「これは……」


「国の力を借りるように、分かりやすく誘導されていると、そう感じました」


「……確かに、そう取れるが」


「ですから救出作戦はできる限り少数で行こうと思います。ちなみに私は必ず行きます」


 (ショタ)の危機ぞ、(ショタコン)が動かなくてどうする。

 単純な戦闘力もそれなりにあるし、邪神ファン特効持ちって意味でも前線に突っ込む価値はあると思うんだよね。

 そりゃ心臓が爆弾にも等しい扱いされる身ですけども、後方で守られるだけってのは(しょう)に合わない。

 どうせ狙われるんだ、少しでも多くの敵を引き付けてボコる。アホ扱いされても構うもんか。


 リオのことを迎えに行くのは私だ。


 それに私がいれば、戻ってくる可能性があるノワールの力を、復活してすぐにすんなり借りることができる。

 邪神を封印した実績がある古き時代の精霊だぞ、超頼りになるじゃん。

 邪神ファンがわざわざ先手を打って戦闘不能状態に追い込んできたくらいだし、邪神ファンは精霊には来てほしくないんだろう。あいつ強いしな、単純に。


 そういうわけで、と自分の考えをなるべく簡潔に説明する。

 どこで誰が聞いているか分からないから本物の切り札になるノワールのことは黙っているけど、邪神ファン特効持ちってことは陛下に話した。


「そう、かもしれんが……」


「お願いです陛下、弟のために、そして今後の私自身のために、行かせてください」


「ううむ……」


「陛下……」


 オラァ食らえっ、乙ゲーヒロイン様のうるうるお願いフェイスだぞ。陥落しろ陛下ァッ!


 こちとら邪神ファンのボスをこの手で殴り飛ばさないことには収まらないくらい頭に来てるんだからな。

 最愛のリオを誘拐し、傷つけて、私の生活を脅かし、友達を危険な目に遭わせたんだ。

 ボッコボコにしてやる。顔の形が変わるまで殴る。アンパンなヒーロー並みにまん丸くなるまで殴るんだからなっ!!


「だが、アイリーン、お前が捕まれば……」


「そんなことは百も承知です」


「それでも行くと言うのか」


「止められても単騎で突撃するので、許可を出して救出作戦に参加させた方がいいと思いますのう」


 師匠が口を挟む。陛下の眉間のしわはますます深くなって、彼が悩んでいるのが良く伝わってきた。もしかしたら「この面倒な脳筋師弟め」とか思われてるのかもしれないけど。


 て言うか師匠の言葉がそれな過ぎる。


 止められて、安全になるまでとか言って軟禁でもされたら王宮を半壊させて逃げるからな。そして黒の森も半壊させる勢いで行くからな。森林破壊ショタコンアタックッ!


 乙ゲーヒロイン様うるうるお願いフェイスで誤解しているかもしれないけど、こちとら一皮剥けば暴れる狂戦士ショタコンだからな?


 さあ許可を出せ陛下……このショタコンのマジな顔が目に入らぬのか……今にも飛び出しそうですよ……


「……分かった、許可する」


「っありがとうございます!」


「だが、戦況によってはすぐさま撤退させるぞ。良いな」


「分かりました。それで構いません」


 ふふふ、戦場にさえ行ってしまえばこっちのもんよ。誰であろうと荒れ狂うショタコンを止めることはできないのだ。


「事が事だ。任せて問題ないと思える人間を集めるのにしばし時間を取る」


「二日以内に」


「分かった」


 師匠ナイス。


 そうしてリオ救出作戦は動き出した。荒れ狂うショタコンによる邪神ファン壊滅作戦も勝手に引き連れて。


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― 新着の感想 ―
[一言] 次回、 第8話.ショタコンのおネエフェイズ 「暴れるわよ!」
[良い点] ¡誰であろうと荒れ狂うショタコンを止めることはできないの! 心配はわかりません、時間がかかる限り待ちます(*´ω`*) ❤️
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