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乙女ゲームのヒロインに転生したらしいが、すまん私はショタコンだ~なお、弟が可愛すぎてブラコンも併発したようです~  作者: ふとんねこ
第5章.夏期休暇編

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第16話.ショタコンと王太子カミング


 結界を張ってから一週間ほど経った。

 きちんと発動しているようで『精霊の愛し子を出せぇぇっ』と言ううるさい拡声魔法の声が村に響くこともなくなった。

 ノワールいわく、邪神ファンたちは来ているには来ているらしいけど結界に弾かれて村の外でじたばたしているらしい。それに関しても片付けているから安心しろって言ってくれた。


 ふっ、ざまぁ。


 それから不思議なことにあれだけ続いていた雨も、結界を張った日からピタリと止んだ。やだ、もしかして邪神ファンの何かだったのー? と邪推するけど詳細は不明だ。



 安全が確保できたと確認されたので、私は日々修行に明け暮れている。邪神ファンのせいで取り戻していた感覚をまた少し失った。くそぅ。

 それを取り戻すため今日も今日とて日の高い中をザカザカ走り回っている。ひたすらに暑い、しかし気持ちがよい、爽快であった。


 それからしばらくしたあと。ちょっと疲れたな~、なんて思ったので師匠宅の前の芝の庭に座り込み、霧の傘を頭の上に浮かべて休憩をとる。

 リオは今森を駆け回っているところなので不在。火と相性の良い樹木の名前を覚えながらの水運びダッシュなので、私の水運びダッシュよりキツいと思う。えらい。


 そう言えば最近何かを忘れている気がするんだけどなんだろう。うーん、なんだっけマイケル。


「おーい、アイリーンや。今日は例のあの日じゃがお主、分かっているのか」


「あの日……?」


 なんかそんな言い方するような予定あったっけ?




 あ゛っ。




―――――………




 王太子殿下ご一行が、お忍びな感じでこっそりとこの村に到着なさった。

 以前にも増して軽装で、護衛の人数も少ないご様子じゃ。

 そのことをすっかり忘れていた馬鹿がここにおる。


 それが私だよクソッ!!


 昔話風に心の平穏を取り戻そうとしたけど駄目だった。私は動揺してむしりとった芝を握り締め、いっそのことここでこれをムシャァッと食ってやろうかと思案する。

 不味さと苦さで間違いなく()せるだろうからやめよ……


 日程を伝えたお手紙に返信あったっけと思ったらなんとあの王太子、師匠の方に返信の手紙を送ったらしい。

 え……マジで? 成長著しすぎて衝撃。


 しかし師匠はそれを私たちに伝えるのを忘れていたらしく、森から帰ってきたリオはその話を聞いた途端「うっ、僕、まえもって知りたかったな……」と俯いていた。

 その様子が師匠に多大なるダメージを与えたからそれで手打ちとする。


 取り敢えず私がお出迎えする(生け贄になる)よ、と言うことで、降り注ぐ日光のもと師匠宅の前に待機している状況だ。

 師匠はレオンハルトとメインで一番多く話さなきゃならないし、リオにはなるべく負担をかけたくないので、消去法でお出迎え係(生け贄)は私になる。


 庇いはしたし、ここへ来ることを受け入れはしたけれど、私は王太子であり攻略対象である彼と積極的に関わりたい訳じゃない。て言うかなるべく近づきたくない。


 そう言えば前より護衛が少ないって平気なのか。この村、現在周囲に邪神ファンがうろうろしているんですが。

 私たちへの配慮だろうがこんなとこで彼に死なれたら、その責任は誰にあることになるんだろうと不安になる。どう考えても護衛の人たちだよなぁ、やめてあげて。


 私はモブには優しいのだ。




―――――………




 モブじゃな゛い゛じゃん゛っ!!


「お久しぶりです、アイリーン。元気そうで安心しましたよ」


「ドゥッ?! ア、ハイ、ドウモ」


「ここはとても良いところですね……」


「ア゛ッ、ハイ」


「ギル、いつまでここで立ち話をしているつもりだ」


 モブじゃな゛い゛じゃん゛っ!!(号泣)


「申し訳ありません殿下。久々だったものでつい」


「それは俺も同じだ」


 陽光に煌めく水宝玉(アクアマリン)。我らが水寮アクア・パヴォーナの寮長ギルバートである。


 金ぴか頭のレオンハルトが木々に囲まれた道からひょこっと現れたとこまでは良かったよ?

 それに続いて、まさか二人の護衛を率いる栗色頭が現れるとは思わないじゃんね?


 嬉しそうに顔を輝かせてご挨拶してくるレオンハルトにもまともに対応できないくらい衝撃だった。私は臨機応変が苦手なショタコンなのでそういうのやめてほしい。


「……どうぞ、師匠が待ってますから」


 何とか衝撃を逃がして、私はキラキラしている二人と目に優しい護衛二人を師匠宅の中へ招いた。


 師匠かリオをお出迎え係にしなくて本当に良かった。これは駄目だ。




 幸いにも、師匠とリオが警戒しているのはレオンハルトだけなので、ギルバートはやけに顔がいい護衛という扱いで二人がその存在を気にした様子はなかった。

 ただ、夏休み前日にラタフィアが師匠の名前に食い付いたことから、ギルバートがそうならないか気にしていたんだけど……


 めっちゃ見てるじゃん……


 護衛として、椅子に座るレオンハルトの背後に立って控えているギルバートの目はめちゃめちゃ師匠に向けられていた。怖すぎる。ストーカーも真っ青な見っぷりであった。


 護衛なんだからレオンハルトの金ぴか頭を永遠に見ててよ。師匠も気まずそうじゃんか。


 そりゃそうだよね。師匠は宮廷魔導士長を務めていた優秀の極みみたいな水魔法の使い手だもん。水属性極めまくってるカスカータ家の人は気になるよね。

 師匠が気まずすぎてもぞもぞしてるじゃん。許してやってよ……




 向かい合う長椅子にこちらは私と師匠で座り、向こうはレオンハルト一人が座る。


「……まずは、俺がここへ来ることを許してくれたことに感謝する。それからサラジュード、お前とアイリーンの弟への謝罪から始めたいが、いいか」


「……リオ、こちらへおいで」


 師匠は頷いてリオを呼び寄せた。私の隣に座らせたいけれど、そうすると会話の中心になる師匠が端っこになっちゃうから我慢する。


 ついに始まった。

 三年前の、やり直しだ。


 ……思わぬギルバートでストレスマッハだからすでに帰りたいけど。


王太子のこと、作者も若干忘れてました(笑)

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[一言] ねこさんにすら忘れられるレオンぇ......(
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