105 白月浜わくわくパーク
エレベーターの中は、子供であふれかえっていた。子供の話し声が狭い空間に響いている。二階に停止し、振動が起こり、ドアが開くと、そこは暗い空間で、原色の光がいたるところでチカチカと明滅していて、中央でUFO型の乗り物が回転している。ぷーっぷーっと風船を膨らますような奇妙な音がしきりに聞こえている。英治とゆかりは、宇宙空間に来てしまったような奇妙さを感じているのだった。
天井から伸びている青い筒の出口から、子供たちが次々と滑り出てくる。そのままカラフルなゴムボールのプールに飛び込むのである。一体この筒はどこに通じているのか、よくわからない滑り台なのである。
ここは変だな、奇妙だな、と英治は思った。白月浜の人々は、なんでこんな変てこな施設を作ったんだろう、と英治は首を傾げた。
銀色の人型のロボットが、壊れた操り人形のように、ぎしぎし音を立てて、その場で腕を動いている。そして、たまに女性の声で、電車のアナウンスを始める。山手線の内回りのアナウンスだった。子供たちが握手を求める。ロボットは同じ動きを反復しているだけである。子供たちは握手を諦めて離れていく。
(これは一体、なんなのだろうか)
英治にはよくわからなかった。
ゆかりも訳が分からなそうな顔をしているので、英治は焦った。このままでは彼女を楽しませることができない。
ふたりがこのような奇妙なものの間を抜けて、奥へ奥へと歩いていくと、レトロゲーム機がずらりと並んでいるところがあった。入り口の壁には「ゲームコーナー」と書かれていた。ふたりで遊べるものがあるか、英治は探した。レーシングゲームが気になったが、それよりも奥の方にある、白い円盤を交互に打ち合うホッケーの台が気に入った。英治は、これなら二人で楽しめるだろうと思って、ゆかりの方を向いた。
「やる?」
ゆかりは、すぐに頷いた。
「言っておくけど、手加減しないよ」
と英治は、ゆかりを楽しませようと思ってそういうと、ゲーム機にお金を入れた。人工的な匂いのする電子音が鳴り、白い円盤が台の上に出てきた。それを英治は、力強く打った。ゆかりはそれを打ち返した。白い円盤が戻ってくる。英治は、慌てて打ち返そうとするが空振り、英治のゴールに円盤がすかんと音を立てて、入ってしまった。
「ああ!」
英治が残念そうに叫ぶと、ゆかりの楽しそうな笑い声が聞こえた。
(なんだ、やけに上手いじゃないか、このホッケーのゲーム、遊んだことあるのかな……)
と英治は首を傾げた。




