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TwilightGate ~罪と女神と終焉の怪物~  作者: SuikaVoid
第0章 プロローグ
1/4

いつか、どこかで、誰かが...

初投稿です。

楽しんで読んで頂ければ幸いです。

笑っている。


誰かが笑っている。


知らない自分が笑っている。

それを「自分」だと思うのは、それが「他人」ではないと知っているからだ。



知らない他人が笑っている。

それを「他人」だと思うのは、それが「自分」ではないと知っているからだ。




知らない自分と一緒に、知らない他人が笑っている。


笑っているだけじゃない。怒ったり、泣いたり、喜んだり、傷ついたり、傷つけたり。



ただ一面、無限に広がり続ける闇の中、そんな光景が、幾つも、幾つも幾つも幾つも...

無数の泡のように浮かんでは消え、浮かんでは消えを繰り返す。



アルバムのページを、一枚一枚丁寧に破り捨てていくように。

小説の文章が、一文字一文字本から零れ落ちていくように。


何かが、大事な何かが、音もなく壊れていく。崩れていく。


大切なはずなのに。


失いたくないはずなのに。


何もできない。何も感じない。何も思わない。

痛みも、苦しみも、悲しみも、なにもない。



伸ばした手は、只々闇を彷徨うばかりで、その手を握り締めても何かを掴むこともなく。

そんな意味のない動作を2度、3度と繰り返している



と、声が聞こえてきた。



「...て」



消え入るような女の人の声だった。


その声を聴いて初めて、自分の中の「感情」というものが動き出す。



「.....とに ...つ.て」



その声は徐々に鮮明になってくる。

だからこそ、その声に宿る痛みや苦しみがにじみ出してきて...



「...げーとに たどりついて」


声に聞き入る。


大切な何かと、もっと大切な何かが胸の中にこみあげてきた。


同時に、さっきまで感じていなきゃいけなかったのに、感じることが出来ていなかった感情、


痛み、苦しみ、悲しみの全てが胸の中に一気押し寄せてきて、




どうしようもなく苦しくて、愛おしくて、泣きそうになって、抑えられなくなって、



感情が溢れ出しそうになったとき...



「あくまに... だまされないで...」



今までで最も鮮明に、透き通った声で、はっきりと、胸の中に直接投げかけられたように、言葉が紡ぎ出された。



その言葉を最後に、声も、先ほどまで見えていた光景も、無限だと錯覚するような闇さえも、



プツン






きえて





おわった





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