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Only One  作者: シアン
第1話「入学」
7/63

06

「薫。疲れただろうけど、お風呂入って来なさいよ~」

「うっ……は~い……はぁ」

 どんなに疲れていても普段なら欠かさず入るお風呂が、今日程入る気にならなかったのは初めてだ。部屋に戻って取りあえず着替えを用意。2日前に服をしまったタンスは無視し、買ってきた服の中からワンピースタイプのネグリジェを取り出す。

 ……実はジーパンや大人しめの服を買う事の条件として突きつけられたのが、家の中でも女装することだったのだ。色こそ水色で妥協して貰ったが、当然のようにネグリジェが用意された。

 そしてブラジャー(勿論パットも)とショーツも出してお風呂場に向かう。……なんか女性物の下着を持っているなんて変態になったみたいだが、これが自分のだと思うと非常に複雑である。

 ……そういえば、ショーツは買った直後に今持っている1枚を除いて、途中でいつの間にか合流していた理事長に渡してた(しかもすぐにいなくなった)。どうするんだろう?

 お風呂から出て今すぐ寝たかった薫だが、持ち帰った服のファッションショーをさせられた。寝る前にも関わらずブラジャーを付けたのはその為でもある。

「ほらほろ、薫ちゃんスマイルスマイル」

「……笑えると思う?」

 女装させられてどう笑えと?しかも違和感無く似合っている時点で非常に悲しくなっていく。しかも女装は学校だけではなく家でも日常となると思うと憂鬱である。

「納得いく写真が撮れる迄は寝かさないわよ」

「うう……」

 既に撮影開始から早くも2時間が経過、写真は100枚は越えていると思う。しかもまだ持ち帰った服の半分程をようやく消化した所である。このままでは日付が変わりそうである。

「あぁ~。今の恥じらってる表情もいいわ~」

「……もう勘弁して下さい……」

 薫の発言は当然のようにスルーされ、何度も着替えもしながら日付が変わって1時近くになってようやく解放されたのだった。

 翌日は即席で仕草や言葉遣い等の練習をさせられた。取りあえずスカートで座る時の仕草と足を揃える事が自然に出来て、一人称が「私」となるレベルだが、入学式までは僅か1日なのでこの程度である。

 ファッションや化粧等肌の手入れも一応一通り教わったが、当面は学校メインだし制服で違和感が無い程度出来ればOKという事になった。……でもその内化粧も覚えろと言うことですね。

 そして理事長が預かっていたショーツだが……特殊な加工が施され、履いている状態では股間の男の象徴が全く分からないようなっていた。しかも男としての反応をしてしまっても締め付けて押さえ込む特別品だそうだ。……因みに製品名は非常に直接的でなんとも困る物だった。話によるとタックという男性器を目立たないようにする技もあるそうだが、技術がいるとかで今直ぐは無理との判断だそうで。

 こうして準備期間僅か2日という即席で、薫の女の子としての生活が幕を開ける事になった。

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