04
今回は短いです。
一端更衣室に戻り、嫌々ながら女子制服に着替えて理事長室に戻った。
「思った通り似合ってるわね」
入るなり理事長に言われた。……自分でも更衣室の鏡に写る姿を見ているので、そう言いたくなるのも分かる。本当に悲しくなるぐらい似合っていた。
「う~ん。ただ、胸が無いのが気になるわねぇ」
「……男なんですから当然ですよ」
「そうですけどね。後で胸は作りましょう。胸があった方がバレにくいですから」
「はぁ……」
作るって……後でブラジャーをすることになるのだろうか。そう考えると今から憂鬱だ。
「そうそう、今の内に言って置きますけど、薫さんが男だと知っているのは校内では4人だけにしますからね。話を大きくしたくないですから」
4人?えっとこの場にいるのは自分と理事長と学年主任の3人だけど……あ。
「えっと、4人と言うことは……後は担任に伝えるのですか?」
「いいえ。今日はまだ春休み期間なのでいませんが……後は養護担当、分かりやすく言えば保健室の先生ね」
確かに校内で体調を崩す可能性もあるし、知っていた方が安心だろう。
「わかりました。でも、一番関わることになる担任に教えなくていいのですか?」
「まぁ薫さんの担任となる先生は今年でまだ教師生活3年目、担任の受け持ちは初ですから、教えない方がいいでしょう」
気負わせるのは大変ですから、と理事長は続けた。