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「所でこのクラスの保健委員はどなたでしょうか?」
薫が今後の対策を考えているとメイドの香椎さんから声が掛かる。
「「あ、はい」」
飯山さんと声が揃った。
「申し訳ありませんが、こちらによろしいでしょうか?」
離れてはいるが飯山さんと視線を合わせてうなずいて教壇へと向かう。
「お二人には私の連絡先と緊急用の薬をお渡しして置きます」
「薬というのはどうしてでしょうか。理由を伺っても宜しいですか?」
連絡先に関しては分かるが薬を渡す理由が分からない。もう高校生なら自分で対応出来ると思うので、薫は理由を尋ねる事にした。
「薬というのはアレルギー症状を抑える為の物です。お嬢様は海老や蟹といった甲殻類のアレルギーがあるのです。もし症状が出た場合は自分での対応が難しいそうなので、お二人にお願いしたいのです」
「事情は分かりましたが……正しく対応出来る自信はありませんよ?」
「自信が無い場合は連絡のみで構いません。高校敷地の近くで待機しておきますので。普段の食事に関しては我々が確認していますので、ひとまず緊急時の初期対応をお願いしたいのです」
だから保健委員か。連絡先の書かれた名刺と共に香椎さんから手渡されたアンプルは2つ。当然ながら使用方法もあるか。
「そのような理由なら引き受けます。飯山さん。一つは教室の応急処置備品の中に、もう一つは私が手持ちにしておくので大丈夫?」
「うん、じゃあこっちは仕舞っておくね」
1つは飯山さんに手渡して備品の方にしまって貰う。結局備品は前回の保健委員の集まりの時に持って帰って貰ってから飯山さんが管理しているんだよね。
「飯山様ですね、宜しくお願い致します。後――失礼。お名前をお伺いしても?」
「あ、米沢薫です」
そう言えばまだ名前は言ってなかった。
「米沢様、お嬢様をお願いします」
「私がどれだけ頼りになるかは分かりませんが……」
「頼りにしているのはアレルギーの時だけではありませんよ?」
「え?」
「香椎、その先は流石に私自身でしますので」
「承知しました」
……どうやら香椎さんはアレルギーの時の対応意外にも期待しているみたいだけど、何だろう?
アレルギーに関してはストーリーの都合上実際とは異なります。
次回は20日更新予定です。




