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Prologue
私のブログでも連載していますが、こちらにも投稿することにしました。1回当たりの文章量はかなり少なめですが、楽しんで頂ければと思います。
桜が満開を迎えた4月5日。今年は雲一つ無い快晴で、ここ私立桜坂高校で行われる入学式を祝福しているようでもある。現在体育館では、窓から暖かな日差しが注ぐ中で校長による新入生に向けた挨拶が行われている。
新入生の一団の中にいる米沢薫は、入学式の最中だというのに気持ちは完全に沈んでいた。薫の周囲には自分と同様に、新品の制服に身を包んだ新入生の姿があるが、これからの高校生活に期待しているような人が殆どで、薫のような印象の新入生は全く無い。
薫が周りと比べて沈んでいるのは、今年の新入生288人に対して男子は自分ただ1人だということ。そして自分も周囲と同じく、紺のブレザーに青のチェックスカート姿をしていることだった。