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白一点

作者: 矢光翼

書いてみましたファンタジーです。

 赤魔法:武器などの人工物に魔力を注ぎ、複雑な構造を現物化し使役する魔法。

 青魔法:空気中に魔力を散布し、自然現象を操作することが出来る魔法。

 緑魔法:体内に魔力を循環させることで、五感や人力を超越する魔法。

 黒魔法:過去の書物に魔力を捧げ、自然界に存在しない生物を生成する魔法。


「白魔法。それは自分以外の人間と魔力を共有することで、治癒力を高める魔法。他の魔法と比べて活用の幅が狭い分、白魔法を所有する人間も少なく、貴重だ」

 木箱の上で白髪の男、シラギは大勢の人間に向けてそう言った。

「今この世界で確認されている白魔法所有者は、約八百人。その中の一人が、俺だ」

 シラギはマントを羽織り、たなびく風に髪を従わせる。

「およそ戦場向きでないこの能力。それを信じてここまでついてきてくれたお前らに報いるよう、俺はここから絶対に動かない」

 風上では燃え上がる山。わずかに轟轟と何かが崩れる音がする。

 背後には大海。逃げ道は無い。


 まだ魔法について解明されていない時代に生まれたシラギは、その貴重な白魔法故に「神の子」と呼ばれたが、時を経る毎に「神の子」から「神」へ昇華され、徐々に自由を失った。

 隙間程度の空すら見えなくなったその時、シラギは我慢の限界を迎えた。

「俺は神じゃねぇぞ。ただ珍しいだけの人間だ。人間だから、お前らに管理される筋合いはねぇ」

 人間に作用するはずのその治癒作用は、シラギが触れたレンガに伝わり、見る間にレンガは砂へと『戻った』。

 砂煙が晴れ、眼を刺し始めた太陽にシラギは不敵な笑みを浮かべる。

「人間らしく、泥臭く、俺は自由を手に入れる」


 長い年月を経てシラギは仲間を手に入れた、船を手に入れた、そして今。国を手に入れようとしている。

「戦地に赴くお前らに一言言いたいことがある」

 轟轟と鳴る音が先ほどよりも近づいている。もう他の魔法軍が、国盗りを始めている。

 瞳に死の淵とそれに向かう部下を映しながら、シラギは叫ぶ。

「死のうとするな。死にそうになったらすぐ退がれ。それでも死んだら、俺がお前らを生き返す。だから、死ぬ気で戦え」

 シラギの部下は知っている。この戦いが無謀であること。しかし、そんな無謀も追いつけないほど、自分らが突っ走れることを。


「魂だけでも戻ってこい。俺が生きて居る限り、お前らは死んでも生きっぱなしだ」

大好きですファンタジー。ありがとうございました。

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