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吸血鬼編(後日談)

俺の名前はガイ。トレジャーハンターだ。

今日も俺は宝を探して旅に出る。

いつもクールなナイスガイ。






 俺とキリオイは明日やってくる「シンクェンタ」の奴等達をどうするか話し合っていた。


「私はあの者達は直ぐに殺すべきだと思う。そうしないと私の気が晴れないのだ。」


「いや、ここであいつらを殺し続けても、正直聖女のもとへとたどり着けないと思う。俺の知り合いに優秀な情報屋がいる。そいつに情報を提供してもらおう。俺もキリオイも聖女も皆不死だ。焦っても仕方がない。ゆっくり追い詰めていくんだ。聖女は俺とキリオイが命を狙っていることや、俺達が不死ということは知らない。これは、こちらにかなりのアドバンテージだ。それを、利用していこう。」


「……分かった。私は焦り過ぎていたのかも知れない。これからは、落ち着いて行動する。」


「そして、明日来るシンクェンタをどうやって騙すかだ。多分ヴァンパイア一匹ごときに大勢で来るとは思えない。二人、多くても四人程だろう。どうやって俺がヴァンパイアを退治したことを証明するか悩む所だ。基本的にヴァンパイアを退治したら『歯』か『血』を宝として手に入れる。だからキリオイ、『歯』か『血』を俺にくれないか。それがあればなんとか誤魔化せるハズだ。」


「……仕方がない。『歯』で良いな。しばし待ってくれ。」


 そう言ってキリオイは自分の『歯』を折る。これで、シンクェンタは多分騙せるハズだ。


「後私から言っておきたいことがある。」


「なんだ。キリオイと俺は仲間なんだ。何でも言ってくれ。」


「多分、ヴァンパイアという種族は全滅した。私が最後の一匹だ。私が作り出した村を、襲われたときにヴァンパイアは残り少なくなった。だが、多少は残っていたのだ。しかし、ここ数年シンクェンタを追っているうちに私以外にはもうヴァンパイアが居ないだろうということに気が付いた。ヴァンパイア・キングである私だがもうヴァンパイアは作る気になれない。仲間が殺される姿はもう見たくないのだ。しかし、もしガイがヴァンパイアになりたいのなら、どうだヴァンパイアにならないか。君が使えなかった魔術も使えるようになるぞ。」


「嫌だ。」


 俺は即答した。

 魔術が使えるのは多少メリットだが、俺は人族のまま生きたい。

 キリオイが笑いながら答える。


「そうか。そうだと思ったよ。すまん、さっきのは冗談だ。だが、もしヴァンパイアになりたかったら私に言ってくれ。最後に一週間に一回程君の血を吸わせてくれないか。多少は吸わないと駄目なんだ。」


 それは許容範囲だ。

 向こうが言わなかったら、こちらから提案する予定だった。

 餓死されても困るしな。


 これで、お互い言いたいことは言い終わった。

 俺もキリオイもお互い疲れているが生き生きとした目をしている。

 自分と同じ境遇の仲間を持つというのはやはりいいものだ。



 俺はそんなことを思いながら明日に備え、地下室で眠った。






 次の日は俺にとって「シンクェンタ」のメンバーとの初めての出会いだった。

 朝イチにギルドに向かう。

 ギルドにはお偉いさん方が勢揃いしていた。ギルドの役員は俺の顔を見てホッとしたようだった。俺が逃げて何処かに行ってでもしまうと思ったんだろう。

 そして、俺がヴァンパイアを倒した事を報告すると、終始にこやかにしていた。


 情報屋はずっと俺のことを心配そうに見ていたが、俺がヴァンパイアを倒したこと、またその証拠の「歯」を見せると嬉しそうに笑っていた。ギルドを紹介したのが情報屋なので、少しは責任を感じているのだろう。

 キリオイがヴァンパイア・キングということは、誰にも言わないことにした。

 情報屋ぐらいには言ってもよかったのかもしれない。しかし、もし情報がバレた時に俺には彼女を殺るしか選択肢がないので、それを避けたかった。

 ただ、これからは聖女の情報を集めてもらうので、情報屋には多少媚びを売っておこう。


「実は、ヴァンパイアの『歯』は二本取れた。その内、一本は『シンクェンタ』に渡さないといけないが、もう一本はお前にあげるよ。」


 情報屋にこう言うと彼女は飛び上がるぐらい喜んでいた。






 「シンクェンタ」が二人現れた。

 


 白いローブと杖を持っている魔術師スタイルだ。

 流石、人族最強の魔術師軍団。

 迫力が凄い。

 さっきまではしゃいでいた情報屋も今では神妙な顔をしている。

 その二人とギルドの長が話している。

 

 それから俺は応接室に呼ばれ昨日の事を話すように言われた。

 俺は、昨日考えた、俺VSキリオイの死闘を話した。

 そして、俺が止めを差した場面を言い終わると直ぐに俺は、


「これが私が昨日退治した、ヴァンパイアの『歯』です。二本ありましたが、一本は私の物として、もう一本は『シンクェンタ』様の物として差し上げます。ヴァンパイアの死骸は今日の朝日に当たって灰となってしまったので、持ってくることが出来ませんでした。」


 俺がその「歯」を渡す。

 それを受けとるとなにやら一人が「歯」に向かって杖を振るう。

 俺の渡した「歯」が本物かどうか確認しているのだろう。

 ただ、ここまで白いローブの者達は俺と一切口を聞いてくれない。少しは聖女の情報が「シンクェンタ」から欲しいが無理かもしれない。




 鑑定が終わったらしい。

 杖を振っていた方が首を縦に振る。

 それを見た方が、俺に


「ご苦労だった。ヴァンパイアを単体で倒すなんて中々出来るものではない。君は誇ってよいぞ。」


 上からものを言ってきた。

 始めに下手に出たのがいけなかったのだろうか。

 そんな俺には関係なしに向こうは、


「君に一つ質問だ。ヴァンパイアを倒した時にそのヴァンパイアは何か『核』のような物を落とさなかったか。」


 やはりそうか。

 こいつらはあの「吸血鬼の核」について知っている。

 しかも、こいつらはヴァンパイアの「血」に不死になる力がないことも知っている。俺がヴァンパイアの死骸のことを話したときにこいつらは眉一つ動かしていなかった。

 不死になりたかったら普通だったら「血」を俺がとってこなかったことに残念がるはずだし、このトレジャーハンターガイが神宝級である、「血」をとってこなかったことに疑問を覚えるはずだ。

 一応、鎌をかけておいて良かった。

 俺はポーカーフェイスを心がけ


「『核』。分かりません。そんな物見ていません。」


「分かった。変なことを聞いたな。後、この部屋で私達と喋ったことを他の者に言ったら、その者とお前どちらもこの世から消えることになるぞ。覚えておけ。」


 そう言うともう俺には興味がないようで、部屋から出るように指示された。

 俺は黙って部屋を出た。



 収穫はあった。

 あいつらは、ヴァンパイアを倒すと「核」が出ることを知っていた。

 多分聖女は「シンクェンタ」にはそのことを隠していないんだろう。

 だがこの世にはヴァンパイア・キングはキリオイしかいない。そして、「シンクェンタ」の中でも不死は聖女しかいない。

 不死の数ではこちらが勝っている。

 なんとしても、俺とキリオイ両方の復讐を果たしたいものだ。






 そして、一週間後。

 「シンクェンタ」からある報告が人族にされた。

「ヴァンパイアの全滅」

 人々はヴァンパイアの恐怖に怯えることはなくなった。



明日から、もしかしたら更新ペースが遅くなるかもしれません。すみません。


ここまで、読んでくださる読者の方ありがとうございます。これからも日々精進するので、応援よろしくお願いします。

ご感想、ご意見お待ちしています。

是非お願いします。

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