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吸血鬼編(下)

俺の名前はガイ。トレジャーハンターだ。

今日も俺は宝を探して旅に出る。

いつもクールなナイスガイ。






 俺は誰にもバレないよう家に向かった。

 もしかしたら、ギルドの連中が俺を監視している可能性があるので、俺は「透明ローブ」を着ている。

 袋が徐々に重くなる。中でキリオイが復活しているのかもしれない。

 しかし、俺を襲う様子はない。




 家に着いた。

 やはり、見張りがいる。

 俺はバレないように入っていき地下室に向かった。ここまではバレていないようだ。

 地下室に到着して袋の口を開ける。中から黒い影が飛び出してくる。

 そこには、完全に復活したキリオイが立っていた。


「何故私をここに連れてきた。あの場に放置して前のように逃げることも出来ただろう。何故だ。」


 キリオイが強気にものを言う。

 しかし、悲痛な顔をしていた。俺は、


「なぜだか、可哀想になったんだ。正直お前なんかどうでも良いと思ったんだがな。後、お前に聞きたいんだ。本当のことを。」


 俺はトレジャーハンターだ。

 トレジャーハンターは様々なお宝を探してゲットするし、そこから色々な歴史を知る楽しみもある。

 しかし、キリオイ。ヴァンパイア・キングの正体は今まで俺が知っていることと全く違った。何故こいつは死なないんだ。二種類のヴァンパイアとは、なんだ。俺は今まで嘘を教えられていたのか、それが知りたい。

 それをキリオイに伝えると、ヴァンパイアについての秘密を教えてくれることになった。



 ヴァンパイアとは、世界の始めに生まれた不死の一族だ。ヴァンパイアは百匹生まれた。その中の一匹が私キリオイだ。

 この百匹は皆ヴァンパイア・キングと言われている種族で、皆不死だ。しかし、ヴァンパイア・キングは自分からなら命を捨てることが出来る。それによって今では私以外全てのヴァンパイア・キング達は自ら命をたってしまった。不死というのは良いものではない。心を壊してしまいおかしくなってしまうのだ。

そして、私はヴァンパイア・キングの中で独りぼっちになってしまったのだ。

 しかし、ヴァンパイア・キングはヴァンパイアを増やすことが出来る。よって普通のヴァンパイアはヴァンパイア・キングから産まれる。だが、ヴァンパイア・キングは今現在私一人しかいないので、大量に増やすことも難しくなってしまった。

 また、普通のヴァンパイアは殺すことが出来る。

 殺す方法はさっき君がやったように、首をはねる、心臓に杭を打つ、魔術で燃やす、心臓に銀の弾丸を撃つなどだ。

 また、普通のヴァンパイアは昼間外に出てしまうと死んでしまう。

 ただ、ヴァンパイア・キングは昼間外に出てもなにもならない。

 そして、普通のヴァンパイアは二百年程しか生きることが出来ないのだ。

 そう言った様々な要因。また、シンクェンタによって今ではヴァンパイアという種族が絶滅の危機。もしかしたら、もう私以外全て絶滅しているかもしれないのだ。

 これが、ヴァンパア・キングと普通のヴァンイアの主な歴史や現実だ。

 細かい所はまだあるが、大事な所はこんなものだろう。



 俺は呆気にとられた。今で俺が信じていたヴァンパイアの情報とはまるで違うのだ。しかし、誰も責めるわけには行かない。こんなこと誰も聞くことは出来ないのだからだ。

 俺は運がいい。

 しかし、まだトレジャーハンターとして聞いておきたい事がある。


「じゃあヴァンパイアの『血』を飲んでも不死にならないのか。」


「当たり前だ。人族が私達の血を飲んでもなにもならない。ただ、腹を壊すぐらいだろう。何故そんな変なことを聞く。」


 俺は頭を抱えた。

 これでは、なにも意味がないではないか。

 だが、まだ疑問が残っている。


「お前はさっき『シンクェンタ』のことを恨んでいると言ったな。何故だ。『シンクェンタ』はお前達に一体何をした。」


 それを聞いた途端、キリオイの顔がとても苦しそうに歪む。

 キリオイがゆっくりと口を開く。


「実は私の同胞、私の産み出したヴァンパイア達は全てシンクェンタに殺された。あの者達は、ヴァンパイア狩りと言って全てのヴァンパイアを狩っているのだ。私も一回殺された。美しい女性だった。もしかしたら、君より強い者かもしれない。だから、私は同胞達の恨みを晴らすためにシンクェンタと戦っているのだ。」


 やはり、そうだったのか。


「私を見逃してくれ。なんとしても、あの者達を全て殺したい。私一人でも、あの女性以外ならなんとかなるだろう。だから、私を見逃してくれ。」


 キリオイが懇願してくる。

 別に俺にはあまり関係ないし見逃してやってもいいが。


「キリオイ。お前は『シンクェンタ』の聖女がどこにいるのか分かるのか。実は俺はあの女が持っているあるお宝が欲しいんだ。」


 キリオイは残念そうに、


「いや私はどこにいるか知らない。しかし、シンクェンタと名乗る者達を殺し続ければあの女性に会えると信じている。また、君にはあの女性を殺ることは出来ない。何故ならあの女性は不死になったのだから。」


「へっ?」


 俺は驚きの声をあげる。


「実は君に黙っていたのだが、私達ヴァンパイア・キングは初めて殺されると一度だけ『吸血鬼の核』という宝を落とす。そして、これを体に取り入れるとその者は私と同じ不死になる。だから、彼女はもう不死になっているだろう。不死は不死しか倒せない。残念だが、君には無理だ。」


「では、『吸血鬼の核』があるからヴァンパイアは不死なのか。」


「そういう訳ではない。ヴァンパイア・キングは生まれながらにしてずっと不死だ。そして、孤独だ。だから、仲間を増やす。そして、大切にするのだ。奴等はそれをぶち壊した。私にとって産み出したヴァンパイア達というのは、子供であると共に、仲間でもあるんだ。それを奴等は自分達の利益のために根絶やしにした。だから、私はあの者達を殺すのだ。」


「そうか。では、最後に一つ聞きたい。」


「なんだ。」


「お前は本当に『吸血鬼の核』を1個しか持っていないのか。」


 今度はキリオイが驚いたように俺の顔を見つめる。


「お前はさっき周りのヴァンパイア・キングは皆命をたったと言ったが、その時お前はそのヴァンパイア・キング達の近くにいたんじゃないか。そして、その『吸血鬼の核』を集めたんじゃないか。お前みたいな、ヴァンパイアが仲間の核をそこら辺に捨てておくはずがない。お前を見逃してやる。だから、俺にその『吸血鬼の核』をよこせ。」


 俺がそう言うとキリオイは頭を抱えた。悩んでいる。

 それはそうだろう。

 こいつにとってそれほど「吸血鬼の核」は大切なのだろう。




 キリオイが顔を上げる。

 ゆっくりと俺に言う。




「分かった。一つ君に渡そう。だが、約束してくれ。これは、私の大切な者の核だ。売ることなどはしないでくれ。」


「分かった。約束だ。」


 キリオイが俺に「吸血鬼の核」を渡した。


 そして、俺はその「吸血鬼の核」を食った。






 体が熱い。






 体の中から何かが逃げ出そうと蠢いている。

 

 


 それを俺は気合いで押し止める。

 そして、笑いながらキリオイにこう言う。


「これで、俺も不死だ。お前はもう一人ではない。俺がいる。俺がお前の復讐を手伝ってやる。だから、お前は俺の仲間になれ。俺と一緒に奴等に復讐しよう。」


「後、俺のお宝探しも手伝ってくれよ。」




 キリオイは呆気にとられている。

 何が起きたのか分かっていない様子だ。

 

 俺は怒鳴る。


「どうなんだ。俺と仲間になるのか。ならないのか。どっちだ。俺は不死だ。お前を残して死ぬことはないぞ。」



 そう、このヴァンパイアは俺とそっくりなんだ。

 俺はあるお宝を探している。それは、死者を甦らせることの出来る幻のお宝だ。

 それを見つけるまでは、死ぬことは出来ない。

 そして、俺の復讐もまだ終わっていない。

 俺には仲間が必要だ。確実に裏切らない本当の仲間が。

 キリオイはそれにぴったりだ。


 前を見るとキリオイが目に涙を貯めていた。

 そして、首を縦に振ったのだった。




俺に初めて仲間が出来た。

その者の名はキリオイ。

種族はヴァンパイア・キングだ。






俺の名前はガイ。トレジャーハンターだ。

今日も俺は宝を探して旅に出る。

いつもクールなナイスガイ。

そして、不死になった男だ。

昨日投稿する予定でしたが、すみませんでした。

吸血鬼編これにて終了です。

次は後日談を入れる予定です。

ここまで、読んでくれる読書の方ありがとうございます。

ご感想、ご意見など御座いましたら、送ってくれると嬉しいです。

では、これからもガイとキリオイの活躍ご期待下さい。

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