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幻のナマズ編

俺の名前はガイ。トレジャーハンターだ。今日も宝を探して旅に出る。

いつもクールなナイスガイ。






 今回のお宝はある沼に住む「幻のナマズ」だ。

 このナマズは、ランクでは中宝級だ。あまりランクとは高いとは言えない。

 しかも、幻と言われているがほとんどの沼に一匹ぐらいは住んでいる、ポピュラーのナマズだ。

 ただ、このナマズは中宝級というだけあってある能力がある。

 それは、魔術の力を感じるとナマズ自体が激しく動くという能力だ。

 この世界では魔術という概念がある。

 その魔術を使える者を魔術師と呼んでいる。人族で魔術を使える者の数はとても少なく、魔術を使えるだけで一生仕事には困らないと言われている。

 だが、人族以外のエルフと呼ばれている種族や魔族、精霊等はほとんど皆、魔術を使える。なので、人族は魔術を使える者が少ない故に他の種族に比べて魔術の研究がかなり遅れている。

 このナマズが魔術を感知する能力があるということを知っている人族はほとんどいないだろう。

 それ故に人族が管理している沼では、このナマズが乱獲されていなく、結構な数いる。

 俺も情報屋に聞くまではこんなナマズがいるとは知らなかった。

 俺はあの覗き事件以来魔術師達に命を狙われている。

 だから、情報屋に魔術を探知する道具などの情報を提供してもらっていた。

 そして、このナマズを紹介してもらったのだ。

 このナマズは魔術を使う者にはかなりの警戒心を持つが、魔術を使えないものにはアホみたいに簡単に捕まえられるそうだ。俺は勿論魔術は使えない。

 さっさと捕まえて俺の守り神となってもらおう。

 俺はそのナマズが出るという沼に向かった。




 沼だ。

 手入れもほとんどされていないような沼に俺は着いた。

 沼はかなり汚く、底も見えない。また、かなり鼻にくる匂いを発していた。

 俺はさっさと片付ける決心をして、情報屋から借りた「釣竿」というものの先に餌をつけ、沼に垂らした。

 また、俺は今回は何者とも戦うこともないはずだと思い、「阿僧祇」をおいてきて、「タオゼント」というサーベル型の片手剣を腰にさしていた。

 この「タオゼント」という剣は、上宝級の剣で、使いやすさという面においては、俺の持っている武器の中で、一、二を争う武器だ。

 サーベル型の片手剣で「阿僧祇」ほど大きくもない。また、この剣は重さがほとんどない剣で、かなり振りやすいのだ。

 ただ、決定打に欠ける。

 が、それも魔族などのヤバい敵と戦わなければ気にもならない。普通の人間相手では十分だ。

 ただ、俺はこのときに「阿僧祇」を持って行けばよかったのだ。そうすれば、あのときにあんなことにはならなかったはずだ。




 俺の、浮きがピクピクと動き、竿がしなり出した。 何が、かかった。

 俺は慌てず落ち着いて、ゆっくりとリールを回した。

 向こうも力強く引っ張ってくるが、所詮人間が作り出した道具には勝てない。

 段々と、獲物が近づいて来るのが感じられる。俺は、グッと引っ張って獲物を水面にあげることに成功した。

 糸の先には立派なナマズが一匹、ビチビチと動きながらついていた。

 これが「幻のナマズ」だ。

 今回はかなり楽な相手で簡単に捕まえられることができた。

 俺は、そのナマズを手に持っていた水槽に入れ、ウキウキ状態で帰路についた。






 町が、近くに見えてきた。

 もう夜に近くなり、辺りは薄暗くなってきた。

 すると、町の方から真っ黒なローブを深く被った者が、こちらに向かってきた。

 この時間に町から外に一人で出る人間も、珍しい者もいるものだ。と俺が思っていると辺りが突然揺れ出した。

 地震か。

 と、思うが辺りが揺れているのではない。

 俺の、体が揺れている。

 特にナマズの水槽を持っている左手が揺れていることに気が付いた。

 ナマズが、激しく動いているのだ。

 それも、俺が捕まえた時よりも激しく。

 俺は、前にいた真っ黒のローブ姿の者を見た。

 さっき結構な距離があると思っていたそいつは今、かなり近い距離まで来ている。

 俺は、咄嗟に左側に飛び退いた。勿論ナマズの水槽は割れないようにしながら。

 すると、さっきまで俺がいた場所に黒い影のようなものが飛び付いている。

 かなりのスピードだ。

 俺も目を凝らしていないと見えなかっただろう。

 黒いローブがはためく。

 いや、黒いローブではない。

 マントだ。

 黒いマントをひるがしているのだ。

 俺はナマズの水槽を地面におき、腰にさしていた「 タオゼント」を抜き、構えた。

 黒い影がしゃべる。


「私の攻撃を避けたのは君が初めてだ。私は体に魔術をかけてスピードを上げている。君は本当に人族か。もし、人族でなかったら私は用がないもので、立ち去ってくれないか。」


 俺はその質問に答えずにゆっくりと相手の方に「タオゼント」を向けた。

 確かに、あのスピードは脅威的だが、倒せない相手ではない。

 また、相手が本当のことを言っているかどうかも分からないので、俺は戦闘体制になり、口を開いた。


「お前は何者だ。急に攻撃を仕掛けてきて、一体なんのつもりだ。後、人族になんの恨みがある。」


「私は人族に恨みなどない。仕方がないのだ。生きるためには。そして、君は人族だな。何かとても臭いにおいがしてなかなか判断出来なかったが、やっと鼻が慣れ来たよ。鼻がよいというのも良いものではないな。後、君は臭すぎる。」


 と言うと相手は警戒心をとき、俺に興味がなくなったのか、もと来た道を歩き出そうとした。

 が、


「君にはべらべらしゃべり過ぎた。ここで死んでもらおう。」


 あいつが急に目の前に現れた。

 咄嗟に持っている「タオゼント」で殺すつもりで切りつける。

 俺の、攻撃の方が速い。

 相手の肩に「タオゼント」が襲いかかる。

 左の手を切り落とす。

 俺は切ったと同時に後ろに下がり事なきをえる。というか、相手の手には武器が見えない。何で攻撃するつもりだったのだろうか。

 と思いながら相手を見ると、切り落とした左手が肩からまた生えてくるのが見えた。

 これはヤバい。

 相手は、多分魔族の中でも特にヤバいやつだろう。

 ここに来て初めてやつの顔を正面から見る。

 その瞬間俺は、相手を悟る。

 俺はこの時「阿僧祇」を持ってこなかったことを死ぬほど悔やんだ。


 ただ、あいつが左腕の治療をしているときが唯一のチャンスだ。ナマズは諦めよう。

 俺は、右手で「タオゼント」を持ち相手の首を切り落としに行った。

 スピードも力強さも完璧だった。




 しかし、相手の首には至らなかった。

 相手が口で、俺の「タオゼント」をくわえたのだった。

 しかも、そのまま「タオゼント」を噛み砕いた。

 上宝級のお宝が噛み砕かれた。

 相手は、ニヤっと笑う。


 と、その瞬間俺の左手にあるMG10・20が相手の心臓部分を撃ち抜く。

 しかも、その玉は鉛玉だ。

 ただ、これだけでは倒せるとは思わない。

 しかし、足止めになるはずだ。

 あいつらには心臓に銀の鉛玉が一番効くはずだからな。

 俺は、後ろを振り返ることなく、急いでその場所から離れた。




 そして、町に着いたときにすぐに情報屋に駆け込んだ。

読んで下さってありがとうございます。

この話はまだ続きます。この後のガイの活躍に期待してください。

感想、ご意見お待ちしています。

よろしくお願いします。

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