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白銀のクワガタ虫編

2話目更新です。読んでくれる方皆さんに感謝です。どうぞガイの活躍をご覧下さい。

俺の名前はガイ。トレジャーハンターだ。今日も俺は宝を探して旅に出る。

いつもクールなナイスガイ。






 今日の獲物は白銀のクワガタ虫と呼ばれている、昆虫界のお宝だ。

 こいつは、三十年に一回生まれてたった二日ほど生きるそうだ。そして、今日がその三十年の節目だ。

 情報屋によると、そのクワガタ虫が何処にいるかも目処がついていて、後は生まれたところを取ってくるだけでよいそうだ。

 こんなに楽なことはない。

 しかも、相手は虫だし。この前の鬼退治のように危険な橋を渡る必要もない。

 俺は早速「白銀のクワガタ虫」取りに行くことにした。




 「白銀のクワガタ虫」とは、その価値故に「宝」ランク最上位級に分けされている虫だ。

 この虫は三十年に一回しか、しかも一匹しか生まれて来ない。当たり前だがこれはかなり異質な虫だ。

 「白銀のクワガタ虫」はサナギまでは、普通のクワガタ虫と同じだが、サナギから羽化するときに目映い光を発することが有名だ。

 また、その光を生で見たものは向こう三十年は、健康でいられるという伝説もある。世界中の健康マニアも「白銀のクワガタ虫」の情報には目を光らせている。

 しかも、生で見ることが出来なくても、その羽化する瞬間を撮った写真や動画を見るだけでどんな病気も治ると言われている。

 だが、俺にはそんな情報どうでもよい。

 俺が欲しいのは、この虫が死んだ後の死骸だ。

 この虫は、「白銀のクワガタ虫」と呼ばれているだけあって、色は白銀だ。

 そして、この虫は死ぬと一生腐ることもないし、錆びることもない、「白銀」となるのだ。この、「白銀」は世界で一番美しい銀とされている。

 もし、売るとしたら一生は生活に困ることもなく、生きて行けるだろう。

 俺も一度だけ見たことがあるが、それは百年以上も経っているのに関わらず、美しい色を放っていた。

 トレジャーハンターとして、こんなお宝は見逃せない。そして、ついでに向こう三十年の健康も保証されているので、やらない理由がない。




 そうこうしているうちに、「白銀のクワガタ虫」が出ると言われている森に着いた。

 この森の奥に、「白銀のクワガタ虫」が出ると言われているスボットがあるんだそうだ。俺はさっさと、そのスボットに移動した。




 情報屋が言うには、今回のクワガタ虫の情報はほとんど漏れていないらしく、そのスボットには俺一人しかいなかった。

 理由はこの前に虫を取った奴が、何処で取ったか、いつ取ったかの情報を誰にも言わなく独りで独占しようとしたかららしい。

 この「白銀のクワガタ虫」の羽化の途中で次はどの森でいつ生まれるかが光の中に浮かんで来るそうだ。

 今回俺は、情報屋に羽化の動画とその情報を与えるかわりにこの情報をもらった。

 ただ、彼女がどうやってこの情報を知り得たのかは俺は知らないし、知りたくもない。彼女も危ない橋を渡っていると思うが、それは俺には何も関係がない。




 日が沈んで来た。

 俺は、今ある一本の大きな木の前にいる。

 このクワガタ虫は羽化の仕方が異質で、木にくっついて、まるでセミのように羽化する。

 そして、目の前に多分今日の夜羽化するであろうサナギがあった。

 その時、俺の後ろからガサガサと音が聞こえた。

 俺は、咄嗟に腰にある、MG10・20を構えた。

 同業者だと厄介だな。と俺は思いながら草むらにいるなにかに向かって声をかけた。


「そこにいるのは、誰だ。姿を見せないとこちらにも考えがあるぞ。」


 と、言うと草むらの中から、獣族の子供が飛び出てきた。


「すみませんだニャ。なにもしないニャ。だから、殺さないで欲しいんだニャ。ガイさん。」


そう言って俺の前に土下座をした。




 結果からすると、こいつはただの獣族の子供だった。あの情報屋から情報を聞いて、ここにたどり着いたようだった。

 色々聞いてみると父親が病気で、その病気を治すすべを色々聞いているうちにあの情報屋に行き着いたようだった。

 あの情報屋、獣族と子供には弱く、このニャニャ言ってるやつに優しく、すぐに情報を教えたそうだ。

 俺には冷たいのに。

 しかし父親を救いたいなら別に協力してやってもいいし、どうせ俺は「白銀のクワガタ虫」本体を手に入れることが出来たらそれだけでいい。

 ただ、その獣族の子供に聞いてみると、録画したりする機械が必要だとは聞いていなかったようで、そこにガイっていう男がいるから助けてもらって、というアバウトな情報しかもらっていなかったようだ。

 仕方なく俺は後で、情報屋に渡す動画をとるつもりだった機材をその子供にあげた。

 これぐらいあいつも許してくれるだろ。



 と、いつの間にかかなり話し込んでしまったようで、もう「白銀のクワガタ虫」の羽化が始まりそうだった。

 俺はその子供に、動画をスタートするように命じて、自分もサナギを凝視した。



それは突然始まった。




辺りが目映い光に包まれる。






 どのくらい時間がたっただろうか。

 光がすっと一点に集中されるように消えていく。

 その光が集中された先に……いた。

 一匹の大きな「白銀のクワガタ虫」だ。

 神々しい。

 流石最上位級だ。

 久しぶりの最上位級に俺の手も震えてくる。

 俺は、傷をつけないように優しく優しくその「白銀のクワガタ虫」を捕まえる。

 その虫は、逃げることもなく、俺の手の中に入っていった。

 最上位級、「白銀のクワガタ虫」入手完了。




 獣族の子供は、良い笑顔で帰っていった。

 あの動画を早く父親に見せたいそうだ。

 ずっと俺に、感謝の言葉を述べていたが俺は機材をあげただけでなにもしてない。なのに、


「これで、私も億万長者だニャ。本当にありがとうだニャ。」


 と、言って帰っていった。

 俺が、「白銀のクワガタ虫 」を持っているので、なぜあいつが億万長者になれるのかがよくわからないが、嬉しそうならよかった。

 ただ、結局次に何処に「白銀のクワガタ虫」が現れるのかが分からなかった。

 どういうことなんだろう。


 俺も情報屋に今回のことを伝えるために町に帰った。




 結論から、言おう。

 俺は情報屋に、ぼこぼこにされた。無茶苦茶殴られたのだ。

 実は、機材に特別な加工がしてあったそうだ。あの光の中で、ある方向に一筋に伸びている光を感知しその場所を割り出すという加工だそうだ。そして「白銀のクワガタ虫」はその光を浴びたクワガタ虫の幼虫が変化して生まれたものだそうだ。

 だから、あの子供はあんなに浮かれていたんだろう。

 勿論向こうは俺が、知っていると思ってあんなに俺に感謝して来たんだろうが。


 そして、「白銀のクワガタ虫」は情報屋に情報料としてとられた……

 今回も、ただ働きだった。






 今回のお宝:「白銀のクワガタ虫」(情報料)

 ご感想、手厳しい意見募集中です。

 よろしくお願いいたします。

 また、読んでくださいまして、ありがとうございます。

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