昔々あるところに_004
昔々あるところにモグさんという貧しい青年がおりました。
モグさんはテレビのバラエティ番組を見ました。
番組ではマジシャンが手品を披露していました。
「こうやって財布から千円札を取り出します。そしてよくごらんください。
魔法の呪文を唱え、ピンとはじくと……」
マジシャンはそういってなにやら呪文を唱え、
千円札を人差し指でピンとはじきました。そのとたん、千円札は一万円札に変わりました。
モグさんはその番組を見たとたん、居ても立っても居られなくなり、
そのマジシャンに会いに行きました。
「お願いします。ボクの財布に入っているお金にもマジックをかけてください」
そう言いました。マジシャンは
「よろしい、あなたの熱意に感激した。
今回一度だけ、マジックを使いましょう。では財布を貸してください」そう言いました。
モグさんは、全財産、3万3千円の入った財布をマジシャンに渡しました。
「ふうむ、3万3千円か。よろしい。ではあなたの財布から、
3千円を抜き取ります。よくご覧ください。魔法の呪文を唱え、ピンとはじくと……」
マジシャンはそういってなにやら呪文を唱え、千円札を三枚人差し指でピンとはじきました。
そのとたん、千円札は一万円札に変わりました。
マジシャンの手には三万円と、財布が握られていました。
「ありがとうございます。ありがとうございます」
モグさんは、マジシャンにお礼としてその場で一万円払い、喜んで帰りました。
帰り道、財布の中身を確認すると、
一万円札三枚が千円札三枚に変わっていました。
あああああああああああああああああああああああああああああああ