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社会問題  作者: 中井仲
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インターバル

「よし、大掃除をするぞ」


 椎名親子と水野親子が帰ったあと。

 大掃除宣言を出した。

 だって子供が泊まるんだぜ。清潔にしておいて、損はないだろう。というか、裕太がアレルギー持ちだったし。清潔にしなければならない。

 ついでに喫茶店も掃除をする。しよう。

 無駄と思える調度品をしまい、俺の使っていたおもちゃを出しておかないと。


「まあ、しかたないわね」


 との朝葉。こいつなにかと掃除好きなのだ。今も内心喜んでいるのだ。口元ひくひくさせて。


「やだー、掃除しない」


 と言ったのはノーラ。まあ子供が嫌うのはもっともではないだろうか。

 さてどうして乗り気にならそうか。


「な、ノーラ、一休さんって知らないか?」


 こいつ外国人なのに日本の文化大好きだよな。外国人だからか。


「知ってるー、おんちすごいよな」

「とんち、な。それは運動とか歌うのが苦手になやつだな。じゃあ廊下の雑巾がけしてみたくないか?」

「それはしたいっ」

「じゃ、はい」


 雑巾を渡す。これでするんだよと。


「わかったのだー」


 洗面台にかけていった。さすが俺。子供を乗り気にさせることは得意だ。


「朝葉は適当に頼む」

「わかった。適当にね……」


 朝葉にはこれで大丈夫。完璧にしてくれるだろう

 俺は庭掃除だ。まだ明るいし。

 祖父の家だったこの家は敷地がかなり広い。普通の公園の三倍はある。俺が小学生のときにサッカークラブに入部したらフットサルコートを作ってくれたし、中学でバスケ部に入るとバスケットコートを作ってくれた。おかげで学生時代は運動関係でヒーローだった。

 今でもちょこちょこ運動している。気を抜くと腹回りが気になるので。

 まずは、雑草抜きからするか。

 ぬきぬき、ぬきぬき。


 

 けっこうきれいになったんじゃねえか? 一人で満足して家の中に戻ると、誇張じゃなくキラキラして星が舞っていそうなほどすっきり綺麗に掃除されていた。空にも星が見えかかっているけど。よくわからん例えになった……。

 でも、さすが朝葉。

 いまいち、きれいになっていなかったら、姑風に「何なのこれは?」とサッシの埃を拭って言ってやろうかとも考えていたのだが、その必要はなかったらしい。


「あ、こっちはもうすぐ終わるからノーラちゃんのほう見てあげて」


 ひょっこり台所から顔だけ出した朝葉が言う。

 台所の鍋置きの奥まで掃除しているようだ。いやそこまで本格的にするのは大晦日ぐらいでいいだろうよ。子供関係ねえじゃんそこ。


「ん、わかった見てくる」


 そんなことはおくびにも出さず答えておく。

 ノーラの担当は廊下まわりである。まわりだよ……。

 ……まずほめようか。床はとてもきれい。油引きやワックスかけたようにピカピカ。もちろんそんなものは用意していないのだから雑巾だけでやったのだろう。こうなるには何十回と往復しなせればならなかったのではないか。その証拠にノーラは腹を出したまま大の字で寝てしまっている。がんばったのだろう。

 だがしかし、がんばったのは床だけである。たくさん拭くようなところはないのだけど、床とは対照的に汚れている。

 ああ、まったく子供らしく、ノーラらしい。

 ノーラをソファに運んでやって、残されたところをささっときれいにしてから、大掃除を終了したのだった。

 ついでに喫茶店の準備もできた。明日から開店だ。


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