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社会問題  作者: 中井仲
12/23

おうた

「あのねあのね、今日、お歌を歌ったよ」

「へえ、どんな?」


 裕太を迎えに行った帰り道である。今日のあった出来事を離してくれる。


「ポケットの中にはビスケットがひとつ♪」


 ああそれね。俺も知ってる。ひけるよ。カスタネットで。

 ピアノでは『猫踏んじゃった』と『カエルの歌』だけならかろうじて。幼稚園の教員免許を取るときに実技試験で音楽があったのだ。試験内容は『どんな曲でもいいから一曲弾ききること』だった。それまで音楽は歌う担当だったので、かなり練習したよ。


「ポケットを叩くとビスケットがふたつ♪」


 完全に割れてるよね、それ。下手したら粉々だよ。


「もひとつ叩くとビスケットがみっつ♪」


 え、四つじゃないの? 二倍化していかないの。

 子どもの歌というか童話の歌って大人になってから聞くと、ツッコミどころ多いよね。


「叩いて見るたびポケットが増える♪」

「ポケットは増えないよな!」


 胸ポケット叩いたらズボンの方にポケットができちゃうのか。それとも、二重ポケットになるのか。


「間違えた……ビスケットだった……」

「そうだよね……」

「もう一つあるよ。海は広いなー大きいなー♪」


 それね、知ってるけど題名がわからん。だいたいこういうのは歌詞の中に隠れているはずだ。おそらく『海』とか『海の波』とかだろう。


「波は揺れるしー日はじぬくー♪」

「じくぬってなに!」

「間違えた」


 なんだ噛んだだけか。わざとかと疑うわ。幼稚園児にして笑いを取りに来たのかと思ったよ。


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