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社会問題  作者: 中井仲
10/23

お出かけ

「ぴくにっくぅー」


 相変わらず、宇柚はごきげんだな。

 いきなりピクニックをすることになったかというと。今日は梓やノーラが遠足だったからである。

 いつもは給食で楽だったのだが、今日はお弁当がいる日。

 お弁当なんて作ることがなかったのだけれど、さすがに今日は必要だった。

 ほとんどのおかずが冷凍食品になってしまうよりは、簡単でミスの少なく得意なサンドイッチをと思い、なれないお弁当を作っていたのだが、今日に限って宇柚が早起きしてしまったのだ。

 自分も遠足に行く、とうるさいので妥協案『梓たちと同じ所にピクニックに行く』で折り合った、現在である。

 着いたところは「ワイン場」。名前の通り、ワインの原料である葡萄を栽培している。さらにワインの製造工場が見学できるのだが、敷地の所々にあり、順番もわからない。もう誰も見学する人がいないのだろう。完全に寂れてしまっている。

 そのかわり、二十五メートルプールや、ゴルフというか転がすだけのゲートボールみたいな場、小動物とのふれあい広場、土器作り体験、キノコ醸成所、大掛かりな遊具のある公園、芝生の広場があり、時には地域のマラソン大会が行われたりする。

 なんのための場所だよ。わからんぞ。原型がない……。

 まあ、家から歩いて三十分のところにあり、入場料はタダなので丁度いいといえる目的地だ。

 キノコとかワインを見ても宇柚が楽しくないようで、即刻、動物ふれあい広場に行った。

 大きいものでヤギが限界。あとはウサギやモルモット。水の要らないカメもいる。あくまで陸ガメではない。


「みてみて。ウサギさん」

「おー捕まえれたか」

「なんかね、葉っぱあげたら穴から出てきてくれたのら」

「そっかそっか」

「もふもふなのら。きもちいー」

 

 そんなこんなでいつしか時が過ぎ、お昼すぎ。

 朝葉や小学生たちはここから見える広場にいるようだ。もう昼飯を食べたようで、広場でもう遊びはじめていた。


「おべんとー、おべんとー、サンドイッチーたべるのら」


 これなら特に手間のかかるわけではないからな。たくさん作っておいてよかった。少しノーラや梓にシワ寄せが行ったが。


「もぐもぐ ふがふが」

「そんなに急いだら――」

「ふがっ」

「言わんこっちゃない」


 まだ言っていなかったけれど。背中を叩き助けてやる。


「ぷはー死にそうだったのら」

「宇柚と久夜だー。来たのか?」


 ノーラが寄ってきた。鬼ごっこの合間のようだ。


「ああ、遊びに来たんだよ。宇柚がうるさくてな」

「そっかー。じゃあ宇柚も、一緒にあそぼー」

「うん、あそぶー」


 行ってしまった。鬼ごっこでは宇柚が不利なので、だるまさんがころんだに参加させてもらうらしい。迷惑じゃないかと心配したのだが「かわいいー」とワキワキとワシワシ撫でられていた。もみくちゃにされて嫌がってるような喜んでいるような。

 楽しそうだからいいか。

 と、梓が一人ぼっちで体育座りしているのが、視界に入った。しんどいのだろうか。


「梓もやろー」

「でも……」


 ノーラが誘って参加させた。


「いいから、いいから、はやく」

「わ、わかったから、行くから」


 元気みたいなのでいっか。

 しんどそうなのはむしろ朝葉みたいだ。


「久夜ぁ、疲れた……。小学生は体力に底がないのかしら……」


 まあな、子供って唐突に走りだしたりするからな。一斉に四十人近くの児童をになければならなかった朝葉先生、お疲れ様です。

 そういえば、最近店開いていないような……。バイト募集しなければマズイだろうか。考えておこう。

 それから小学生たちと別れて、宇柚を回収し、またまた動物広場で楽しく遊んだ。

 結果、帰宅したのは小学生組よりも遅くなってしまった。




もちろん裕太は幼稚園に行っています

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