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孤独

作者: 駄目人間

駄文注意です。ワードで書いていたので読みづらかったり、

書いた人間の頭がおかしいので色々と間違っていたりするかもわからないです。

後、不快な表現があるかもわかりません。読む人次第です、それは。


 21世紀のある年、一人の少女が高校に入学した。その高校は定時制高校であり、全日

制高校とは違いかなりゆるい学校であった。少女がその様な学校に入ったのには理由があ

った。

 孤独、この言葉が全ての意味である。少女は、子供の頃から何か他人には理解されなか

った。理解され難い不可解な思考の持ち主であり、それが為に友達は出来ず、尤も少女は

友達というものは所詮上辺だけの関係であり、都合が悪くなれば直ぐに裏切るような、そ

んな存在であると認識していたが為でもあるが、誰一人としていなかった。

 友達も居ないまま中学校に入り、その根暗な性格から周りからは避けられて、気が付け

ば家の自室に一人引き篭もるようになった。無論、教師とも仲が良い訳でもない、何より

友達は居ない。だからだろう、数回担任からの連絡があっただけで一切なんの電話も来な

くなっていった。

 親は何を言ってももうダメだ、思春期だから仕方がない、等と諦めており、兄弟姉妹が

居る訳でもないし、親戚とも仲が悪く近所の人間からも嫌われていた為、本当に少女は孤

独になった。気が付けば母親が少女の部屋の前まで食事を運び、それを食べ、欲しい物の

リストを紙に書いて食べ終わった食器と一緒に部屋の前に出しておく様になり、生活は毎

日、部屋の中で行われるようになった。

 普通、引きこもれば太るか痩せるかの何方かがあるのだが、少女の場合は不気味なまで

に痩せ、気味の悪いほどに肌は白くなっていった。部屋の窓は雨戸を閉めきっており、完

全に外部とは遮断されていた。少女には唯一、パソコンと携帯電話があった。この2つで

外部の情報を入手し、日々を過ごした。その内にパソコンは型落ちし、携帯電話も老朽化

していった。

 少女は何時もニュースで見る、天才少年、という言葉や、天才子役、だとか、天才子供

ピアニストだとか、自分よりも年齢が低かったり、ほぼ同年代の人間がそうやってもては

やされているのに苛立っていた。自分ならもっと出来る、そんな事を思ったりしながら。

 そうやって二年以上を過ごした。気が付けば学年は高学年にまで上がっており、新しい

担任から連絡があった。留守番電話に入っていたメッセージは、高校への進学に関する話

だった。少女は高校か、と考え、高校でやり直したいと、そう考えた。でも今の少女には

劣悪な環境の工業高校か、まだマシだが、それでも大量の落ちこぼれと、多少の夢見る若

者が通う定時制高校の2つしか選択肢がなかった。少女は、楽だろうと考え定時制高校に

入学した。無論、前期試験でなければ絶対に入れなかっただろう。前期試験は作文と面接

だけであり、学力の皆無である少女にはとても丁度いい場所だった。

 少女は、この高校では何とかして、人間関係の構築をしようと考え、行動を出来る限り

した。その結果ひとつの部活に入ることが出来た。何故入ったか?何かしらの魅力があっ

たからこそ人はそこに入るものだ。

 少女の場合、独特の雰囲気であった。二人の、その年度で卒業してしまう二人の先輩が

創りだす独特の雰囲気に少女は呑まれ、ここでなら、出来るかもしれない、そう思いたち、

入部をしたのだった。

 確かに、間違へは無かった。その部活で少女は楽しむことが出来た。それだけでない、

少女は恋をしたのだ。そう、一人の先輩に。ある一人の、その年度で卒業をしてしまう一

人の先輩に。少女は出来る限り一緒に居たいと考えた。一緒に、一緒に、一緒に、一緒に。

 だから、その先輩が何処かに行くのであれば迷わず付いて行った。好きだから。少女に

とってそれは初恋であった。一途な、片思いである。絶対に離れたくない、一緒になって

ほしい、そんな恋心を抱いていたが、口に出せる勇気がなかった。幾度と、そのチャンス

は有った、でも、言えなかった。初恋はそうやって散っていってしまう。少女はそれを分

かっていたから必死になった。なんとかして、なんとかして自分の思いを・・・・・・

 願いは叶わなかった。その先輩は卒業してしまい、少女は残念に思った。仕方がない、

またいつか会える、そうやって思いながら何とか、一ヶ月を過ごした。

 そして少女は気が付いた。何かが違うと。前の部活とは何か、違うと。少女は前々から

漠然とだが、その感覚を覚えていた。それが今、はっきりと分かったのだった。

 孤独だ。自分がこの部活内で孤独を感じている、と。前は先輩が居たから、あの、恋心

を抱いていた先輩が居たから、だからこそこの孤独という感覚は消え失せていたのだ。

 その先輩は、何か適当で、色々とアレな所の多い、まあ、現代的な若者だったのだが、

見る所はしっかりと見ていて、何だかんだで周りへの気配りも出来ていて、実に、いい青

年であった。そう、その先輩が居たから、彼女は孤独から脱却できていた。

 しかし、その先輩が卒業してから、少女は次第に孤独という感覚を強く抱き始め、終い

には本当に、孤独であり、自分は周りから理解を全くされていない、そう、中学時代と同

じような心理状態に陥ってしまったのだった。

 少女は、その事を部活の顧問に相談しようか迷ったりしたが、その顧問はまた、色々と

仕事や問題が山積みになっており、少女自身の良心が迷惑だろうからと、相談することが

出来なかった。そのまま、何ヶ月かやっていって、最終的に、我慢ができなくなった。限

界が訪れたのだ。少女は発狂しながら外へ掛け走り、走っている車に飛び込んで自殺した。

一瞬の出来事だった。本当に、一瞬の。

 少女はいつもの様に椅子に座り先輩方が練習をしているのを見ながら、自分もそれなり

に参加していた。けれど、間間で何か、遠慮をされているというか、物凄く、間に距離が

あるかの様に思った。それが、一瞬にしてさらに遠くなり、ある幻聴が少女の耳に入った。

『お前は、必要無い』

 その幻聴に続くように、様々な言葉が少女の耳に入っていく。

『邪魔だ』『何で何時も居るの?』『必要無い』『キモい』『ウザい』『消えろ』『死ね』『要ら

ない』『居るだけ無駄』『一々面倒くさい』『居る意味が、在るの?』『ここは休憩場じゃな

い』『お前何か居なくてもやってける』『どうせ新入部員が入れば用無しだろ』『邪魔』

 少女にはもう、幻聴だけでなく幻視までもが見えた。様々な人、見覚えのある人、色々

な人が自分の事を指差して言う。『死ね』『消えろ』『クズ』『社会のゴミ』『キモい、ブス』

『息するなゴミ、空気が汚れる』『お前のせいで何も進まない』『お前のせいだ』

 少女には既にそれが幻覚なのか、現実なのか、判断する術すらなかった。少女を指差し、

ひたすらに揶揄、侮辱、暴言を言う人々の後ろには大量の目。自分をひたすらに見つめる

目。見渡す限りに広がる目。そして、あからさまな光る階段。十三段だっただろうか。

 彼女はその階段を叫びながら上がり、扉を突き飛ばして開け、外へと駆け走った。そし

て、全ての幻覚から覚めた時、少女の目の前には運搬用の十トントラックが法定外速度で

走って向かってきていた。もう、遅かった。少女の遺体は無残な姿になり、トラックのボ

ンネットには真っ赤な血と、何かがぶつかって出来た凹みがあった。

 この話はニュースやネットでも取り上げられ、少女の過去が面白おかしく、正にテレビ

番組らしく報道されていた。少女の残した日記の一ページも紹介された。これを見た自称

専門家は理解し難いとしていた。

 少女は、やはり理解されない何かがあったのだろう。それが何か、それは少女は誰も解

ってくれないとして口に出していなかった為、そして、日記にも記されていなかった為、

一体、その理解されないものが何なのか、知っているのは少女だけなのだった。



 少女の死は、その翌週の、ある少年の死にも繋がった。その少年はその少女が入部して

丁度一年前後、そう、少女がおかしくなっていた頃に入部した。少年は部活ではそこはか

とない楽観的な姿勢と、何時でも笑うという、いかにも楽しげなキャラクターであった。

 そんな少年は何時も暗い雰囲気を出している少女が気になって仕方がなかった。そして、

自分と、もしかして似たような者なのかも知れないと、心の中で思っていた。

 それが何故かは、少年の死とも関係があるのだが、少年も孤独であった。少女とはまた

違った、正確に言えば孤立、である。小学二年生で孤食を感じ、中学一年で便所飯を経験

した。彼の友人は機械であり、十年以上を機械と共に過ごしてきた。パソコン、ゲーム機、

テレビジョン、扇風機、エアー・コンディショナー。彼には、機械しか居なかった。親は

共働き、そのお陰で飲み食い等には不自由しなかったが、父も母も夜まで働き詰め。帰っ

てきても夜の十二時前。それだからか、小学生の頃から既に夕食は一人で食べていた。お

かげか、料理が多少出来た。朝は流石に居たが、直ぐに出ていってしまう。子供ならば、

外に友達を作って夕方まで遊ぶものだが、彼には小さい頃から機械しか居なかった。小学

校ではいじめの対象に、中学ではその顔の作りの酷さと先入観から生まれる彼に対する嫌

悪感等の理由から避けられ、友達なぞ居るはずもなかった。そして彼も積極的にはならな

かった。何にも触らなければ、何もない。若い彼はそう思って、誰とも話さなかった。自

然と引きこもっていった。機械が友人だったからだ。何よりも、かけがえの無い友人。

 彼が機械に対してそういった感情を抱いたのは中学に入る前、小学6年近くの事だった。

人間は言う事を聞かないしいじめてくる。周りも無視する。機械は違う。自分が一つコマ

ンドを入力すればその通りに動き、参考書に書いてある通りにプログラムを打ち込めばピ

ープ音が鳴った。少年は気づいた、機械は自分が正しい指示をすれば動いてくれると。彼

はそれから身の回りにある機械を大事に扱うようになった。機械こそが、大切な友人であ

り、かけがえの無い存在なのだから。しかし、流石に現実を見ざる負えなくもなった。そ

う、進学のことである。両親は全日高を進めたが、彼は定時制高に入ることを決めた。そ

れは何故か?彼は高校の事を考えた時、全日制ではまたいつもの様に一人になるのでは?

もう、それは嫌だ、流石に人間との交流も深めてみたい、と考えた。それに適していた定

時制高校を選んだ。無事に入学が決まり、入学式が終わり、部活動紹介が終わり、適当に

部活を見て回った時、ある一つの部室で、ただ静かに座って本を読んでいた少女が気にな

った。部室に入り、声をかける。少女は素っ気なく、話すのが苦手な様子だった。少しし

て部室に少女の先輩が入ってきて、色々と話を受けた後、少年は様々な理由からその部活

に入部することを決めた。何故だか、とても少女の事が気になったから、というのがひと

つの理由であったから。

 少年は出来る限り本来の自分を表に出さないように気をつけながらそこはかとない明る

るさを表に出していった。勿論、それは周りの先輩方に受け、それなりの好感を得ること

が出来た。けれど、少女は笑うことは無かった。少年は何とかして少女の笑顔を見たいと、

心から思うようになった。気が付けば、それが生きている原動力に変わった程に。

 少年は色々な方法で少女を笑わせようと思った。もし、自分と同じ孤独を持っているの

ならば・・・・・・と思いながら。でも、少女と少年の孤独は違った。

 少年の孤独は、孤立であり、疎外。それは本当に物質的に、単に一人になっているのと、

社会的に、周囲から避けられているが為に発生する孤立であった。

 しかし、少女の孤独とは、真の意味での孤独であり、誰が居ても、誰かが交流をしてい

ると思っていても、少女は理解されていない、受け容れられていないと感じる、そういっ

た孤独なのである。文学的に言えば寂寥、という言葉が当てはめられるであろう。

 そう、だから少年がどう動いても、どうやってアピールをしても、少女とは違う世界に

居るがため、全く持って無駄な事であった。しかも、少年の孤独は消え始めていた。

 でも、少年は必死に少女を笑わせようと頑張った。そのせいか、周りから多少浮き始め、

色々と注意を受けるようになった。そんな時、少女が発狂した。

 少年は立ち上がり外へ掛け走ろうとする少女を必死で止めようとした。けれど、少女の、

恐怖と悲しみ、様々な感情の現れた表情を見た時、体が硬直してしまった。そして、少女

は外に出て、道路に出て、撥ねられて、あっけなく死んだ。

 少年は、何故あの時体が動かなかったのか、何故動かせなかったのか、後悔していた。

もしや、自分のせいなのか?自分が今までやっていたことは無駄であったのか?深く考え

れば考えるほどに奥深くへと沈んでいき、終いには少女を後を追いかけてしまった。

 少年の場合は遺書が残っていた。遺書には二行、十五文字だけが書かれていて、一つの

イラストが添えられていた。本文はこうだ。

『疲れました、ごめん。死にます。』

 イラストには女性の絵が描かれており、その女性は口元が少し緩んでいて、微笑んでい

るように見えた。けれど、女性の首元には赤色の何かが塗りたくられており、その女性の

顔が生首であることを指していた。少年の遺体は、海で漂流している所を見つかったのだ

が、頭部が消失していた。絵との関連性については、不明として処分されている。

 少女と少年。この二人に共通するのは孤独という概念。そして、恐らく誰一人として察

知することの出来なかったであろう、狂気。

 二人の狂気は、孤独によって引き起こされていき、孤独が強くなればなる程に狂気も増

していったのだろう。少年の場合は、少し違うかも知れないのだが。

 もしも、二人に、二人の孤独に、気付く者が居れば、二人には別なる未来が有ったかも

知れない。二人の狂気に気づいていれば、もしかしたら死ぬ事は防げたかも知れない。

 どちらにせよ、過ぎてしまったものは取り戻すことなど不可能であるが。


久々の投稿になります。よろしければ感想をどうぞ、よろしく御願いたします。

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