表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦隊ピンクは素直でいたい〜頼むから私に振り向いてくれ〜  作者: 仮面大将G


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/18

第6話 広告案

 密かにまた怪人が現れたところに出くわせないかと願って数日。いよいよ橋田と一緒に我が社のPR活動をする時が来た。


 いつも通りヘアアイロンで長い茶髪をウェーブさせ、ピンクのスーツを物色する。ビジネススーツでもピンクのものはたくさんあるのか、と思われるかもしれないが、これらは全てオーダーメイドだ。私はどうしてもピンクのビジネススーツが良かったので、1週間着回せるように色んな種類のピンクのスーツを用意している。

 今日はそうだな……。サーモンピンクのスーツで行くか。


 ピンクのビジネススーツに身を包み、同じくピンクのハイヒールを履いた私は、るんるん気分で会社へ向かった。


 会社への道を歩いていると、前に青いスーツを着た男の姿が目に入る。橋田だな。せっかくだし追いついてやろう。いきなり後ろから声をかけて、びっくりさせてやるんだ!


 私が早足で橋田に近付くと、橋田はちらっと後ろを見るような仕草を見せる。ああしまった、この高いヒールの足音で気付かれてしまったか! 私としたことが一生の不覚! まあいいか。とりあえず声をかけよう。


「おはよう橋田! 金髪にしないか?」


「おはようございます鳥羽部長。何故二言目にそれが出るのかだけ教えてもらえますか?」


「金が嫌なら銀でもいいぞ!」


「どっちも嫌です! ていうかうちの会社金髪はダメでしょう!?」


「真面目だな橋田は。もっと力を抜いて生きたらどうだ? 歩くのをやめて転がるとか」


「立つことすら諦めるんですか!? それは力抜きすぎでしょう!」


「で? いつドレッドにするんだ?」


「金髪って聞いてましたよ!? ドレッドの選択肢はどこから出てきたんですか!」


 ああ……。私はまた変なことを口にしているな。自覚はあるんだが、どうしても橋田と話すとこうなってしまう。でも橋田のツッコミのテンポが心地良いのも悪いんだぞ! 私だけの責任じゃないんだからな!


「それより鳥羽部長、俺を使った広告を作るって言ってましたけど、どんなのを作るつもりなんです?」


「ああ、もう決まってるぞ。ヒーローと言えばやはりエナジードリンクだろ?」


「聞いたこと無いですね」


「そしてヒーローと言えば一気飲み!」


「それも初耳ですね」


「ということで、君には新商品のエナジードリンクを20本ほど一気飲みしてもらうことになった!」


「広報を辞めてもいいでしょうか」


「ええ!? なんでだ! せっかく考えたのに!」


 橋田のやつ、私が頑張って考えた広告の案を一蹴するなんて酷いやつだ! ヒーローと言えばエナジードリンクだろ! 怪人と戦うスーパーパワーは、普通のドリンクを飲んでいたら出て来ないからな!


 でも20本一気飲みは流石に可哀想ではあるか……。橋田も嫌がっているし、一旦考え直してもいいかもしれないな。


「うーん……。ならこの案は練り直しか……」


「なんでそこまで残念そうにできるんですか。全然ヒーロー感無いじゃないですか」


「なら発想を変えるか。ヒーロー、ヒーロー……ヒーローと言えば暖房器具!」


「それはヒーターです! 真面目にやってください!」


「じゃあ野菜や果物をミキサーにかけて作る、なめらかな食感のドリンクを押し出そう!」


「それはスムージーです! 全然違うじゃないですか!」


「頭が固いなあ橋田は。もっと柔軟に考えた方がいいぞ?」


「だとしてもヒーローとスムージーは違いすぎますよ! 棒線の数しか同じところ無いでしょう!?」


 やはり橋田との会話は心地良い。だから私は橋田が好きなんだよ。私は緊張したりテンションが上がったりすると、どうしてもボケてしまう。そんな私に的確なツッコミを入れてくれる人なんて、今までいなかった。変な人扱いされて離れられただけだ。

 

 でも橋田は違う。私がツッコミを入れて欲しいところにツッコミを入れてくれて、しかも私が更にボケても負けずにツッコミ返してくれる。それだけでも理想なのに、見た目がかっこいいんだもんなあ。ズルいぞ橋田め! こんなにも私の心を射止めおって! けしからん! 

 ただそれが自分の部下だというのが唯一の欠点だ。おいそれと手を出せないからな。もどかしいものだ……。


 そんなことを考えていると、橋田が突然左腕に口を寄せた。え? 右手の恋人という言葉は聞いたことがあるが、橋田は左腕派なのか?


 ……ああいや違うな。バイクのハンドルのようなものが付いたブレスレットから音が聞こえる。あれがハシレンジャーに変身する道具で、且つ通信機能もあるブレスレットなのか。戦隊っぽくていいなあ……。


「碧、ワシや! お前の小学校の時のPTA会長や!」


「誰だ! 覚えてないぞそんなやつ!」


「ああすまん間違えてしもうた。ハシレイや!」


「分かってる! 何があった?」


「黄花がホーテーソク団に捕まった! 紅希はもう出動しとる! 碧も紅希と一緒に倒立前転で向かってくれ!」


「走って向かうじゃダメなのか!? 紅希に影響されてお前まで逆立ちを指示するな!」


「あと帰りにトイレットペーパー買ってきてくれへんか? 無くなりそうなんや」


「自分で買え! とにかく出動するから場所を教えろ!」


「承知や! トイレットペーパーが安いドラッグストアの場所を送っといたで!」


「黄花が捕まってる場所を送れ! トイレットペーパーは自分で買え!」


「ああすまんすまん。送っといたで! ほな頼むわ!」


「了解! すぐに向かう!」


 橋田は通信を切って私の方へ向き直り、軽く頭を下げた。


「すみません鳥羽部長、出動要請があったので向かいます」


「分かった! 会社のことは気にするな! バッチリスムージーメインの広告を仕上げておくからな!」


「スムージーじゃなくヒーローの広告を仕上げてもらえますか!? 安心して向かえないんですが!?」


「任せておけ! 余裕ができたら私も見に行っていいか? あわよくば変身したい」


「危険だからやめてください! あと最後なんて言いました?」


 橋田はそのまま走って行ってしまった。何かすごく寂しいな……。想い人である橋田が去って行ったことと、あと戦隊ヒーローとして活動している橋田に羨ましさを覚えているのもある。私もいつか橋田と肩を並べて戦ってみたいな。今橋田と合流しているであろうハシレンジャーのメンバーが、心底羨ましい。


 まあ今日はとりあえず橋田を使った広告の案を練り直すぞ! 仕事だ仕事! さあて、どんな広告にしようかな? でもエナジードリンク以外思い付かないんだよなあ……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ