第39話 紅希くんの作戦
紅希くんの作戦を決行するため、私たちは基地の前にやって来ていた。時刻は午前3時。まだ真っ暗な中、紅希くんの声が響く。
「よし、じゃーおめーら行くぜ!」
「ハシレチェンジ!」
私たちはハシレンジャーにチェンジし、基地にくるりと背を向ける。
「赤い暴走! ハシレッド!」
「青い突風! ハシレブルー!」
「黄色い光! ハシレイエロー!」
「ピンクに突撃! ハシレピンク!」
「エンジン全開、突っ走れ! 暴走戦隊!」
「ハシレンジャー!」
私たちが名乗るということは、背後で大爆発が起こるということ。そう、基地に背を向けて名乗った私たちは、基地ごと爆破してしまおうという作戦に出たんだ!
流石は紅希くん。考えることが大胆だな! ハシレンジャーのリーダーとして相応しい!
爆破された基地から、3つの影が飛び出して行く。
「ぎゃあああああああ!」
「ええええ!? 論破する間も無く吹っ飛ばされたんだけどおおお!?」
「あたしこんなの聞いてないいいいい!!」
うん、これで幹部問題は解決だな! これぞハシレンジャー! 名乗り爆発で敵を倒す、前代未聞の戦隊だ! ……なんかものすごく卑怯な気がしてきたぞ。
「よっしゃー! 司令を助けに行くぜー!」
「全くお前は……。これしか作戦を思いつかないのか? 上手く行っているからいいが……」
「単純にもほどがあるわね。でもいい作戦だったわ。早く司令と私の紅茶を救出しに行きましょう。特に紅茶」
「もうちょっとハシレイの心配をしてやれ!」
「司令は大丈夫だろうか……。吹っ飛んで行く影は確かに3つだったな? VARで確認しよう」
「サッカーじゃないんですから! とりあえず基地に入りますよ!」
私たちはチェンジを解除し、基地の中に入る。まだ煙で中がよく見えないな……。司令、大丈夫だろうか? この間フットネイルを教えたんだが、司令のフットネイルは無事か? 教えた私としては気になって仕方ない。
「司令ー! だいじょーぶかー? 目にゴミとか入ってねーかー?」
「地味すぎる心配! もっと火傷とか怪我とかあるだろう!」
「司令なら大丈夫よ。フルフェイスのヘルメットをずっと被っているんだもの。よっぽどのことが無い限り富士だわ」
「無事だろう! なんで急に山になる!?」
「私は司令のフットネイルが心配だな。私が教えた責任もあるし」
「1番どうでもいいです! よく今美容の心配できますね!?」
どうでもいいとは失礼だな。私は司令にフットネイルを教えた身だ。もしフットネイルが損傷したりしていたら、私が直してやらないといけないからな!
フットネイルの状態を見るために、重点的に下の方をハンカチでパタパタしていると、徐々に奥の方に人影が見えてくる。
私たちは橋田を先頭に人影に駆け寄り、声をかけた。
「おいハシレイ、無事か?」
「司令ー! 見てくれよこのフーセンガム! めっちゃ膨らんでるぜ!」
「なんで今それができる!?」
「司令、今助けるわよ」
うん……? これ本当に司令か? なんかシルエットが違う気がするし、フットネイルが無いぞ。司令が勝手にフットネイルをオフするはずが無いし、これは……まさか!
やばいぞ、みんなを止めないと! そう思った瞬間、橋田が黄花くんを止めた。
「待て黄花。そいつは本当にハシレイか?」
「何を言ってるのかしら。司令じゃなかったら誰……あら、酒田さんかしら?」
「なんで今酒田さんがいるんだ! よく見ろ!」
頑張ってハンカチをパタパタすると、人影がだんだんクリアになってくる。大柄なロボットのような人物が座っており、口から煙が出ている状態だった。
「これは……私の父じゃないか!」
「そんなわけないでしょう! こんなロボットみたいな父親なんですか!?」
「おいダディ、起きろ! 私だ!」
「呼び方ダディなんですか!? アメリカ人か!」
おお、これは父じゃないのか? 確かにロボットっぽすぎる気がするな。私の父は人間の中でもかなりロボット寄りなんだが、これは確かに少しやりすぎだな。まあでも、万が一父だった可能性も考えて、一応起こしておこう。
「ダディ〜起きて〜♪ 朝の光が差し込んで来るわ〜♪ 今日はダディの誕生日〜♪ 真っ赤なケーキを用意したのよ〜♪」
「歌うのやめてもらえますか!? なんですか真っ赤なケーキって気持ち悪い!」
「おい碧ー、こいつ誰だー?」
「状況から察するに恐らくケイシカンマンだ。今回の3人の中では1番立場が上だと思われる。今は気を失っているようだから、とりあえず拘束しておこう」
ああ、これはケイシカンマンだったのか。父じゃなくて良かった。間違って父を爆破していたら、罪悪感に苛まれていただろうからな!
冷静な橋田の言葉に、黄花くんが疑問を返す。
「拘束? 倒しておかなくていいのかしら?」
「ああ。ハシレイが吹っ飛んで行ったのは気の毒だが、こいつにはホーテーソク団について色々話してもらいたいんでな。ある意味好都合だ」
流石は橋田! こんな状況でも冷静だ! クールを目指しているだけはあるな! かっこいいぞ! イケメンだぞ!
橋田は話しながらロープを持って来て、ケイシカンマンを拘束し始める。ロープじゃ足りないと思ったのか、どこからかワイヤーを持って来た橋田は、ケイシカンマンを完全に拘束した。
「今からハシレイを探すペアとこいつを見張るペアに分かれるのが得策だと思うんだが、どうだ?」
「反対よ。私はタロット占いをするペアに入りたいもの」
「今占ってどうするんだ! とりあえず分かれるぞ」
「おっしゃー! 将棋で決めるかー?」
「なんでそんな時間がかかるもので決めるんだ! 俺が割り振るからちょっと待ってろ」
グループ分け……! 恋リアとかでよくあるやつじゃないか! 頼む……! 橋田と同じグループに……!
橋田がパパっと割り振ったグループは、紅希くんと黄花くんがケイシカンマンを見張る役、私と橋田が司令を探す役だった。よし! 橋田と2人っきりだ! 司令探しデート、楽しみだな!
「了解よ。何かあればこの怪人も倒しちゃっていいのね?」
「ああ、暴れるようなら倒してもらえるとありがたい。倒せるかどうかは別だが……」
「任しとけよー! 碧、桃子、司令を頼んだぜー!」
真剣な顔の橋田と共に、私たちは基地を飛び出した。司令には悪いが、私はこの2人っきりの状況を最大限楽しんでいくぞ! ……なんか私、ヒーローとして大丈夫か?
本日も読んでくださりありがとうございます!
活動報告でもお知らせしておりますが、この作品はこの第39話を以て、3月末までを目処に休載期間に入らせていただきます!
体調面を考慮してのものになりますが、あくまで大事をとってのものですので、必ず戻って参ります!
また楽しい鳥羽部長の活躍をお届けできるよう、少しお休みいたしますので、よろしければブックマークしてお待ちいただければと思います!
詳しくは活動報告をご確認くださいm(*_ _)m
また、休載期間中私のギャグが読みたい……ともし思ってくださる方がいらっしゃれば、私の作品一覧に飛んでいただければ完結済みのギャグ長編が4作ございます!
よろしければぜひそちらもお楽しみいただけますと幸いです!
連載再開につきましては、執筆再開時、連載再開予告とそれぞれ活動報告にてお知らせいたします!
もちろんXでもお知らせいたしますので、そちらもフォローいただければ幸いです!
では、また鳥羽部長の活躍をお届けできる日まで、少しだけお別れです! 戻って来た時には、ぜひ鳥羽部長の恋を応援してあげてください!




