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戦隊ピンクは素直でいたい〜頼むから私に振り向いてくれ〜  作者: 仮面大将G


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第35話 おもむろな決心

 ケイシマンを無事倒した私たちは、基地で司令の説明を聞いた。なんでも、あのリーゼントは試作品だったらしい。

 何もせずにホーテーソク団の幹部に負けるのもあれだということで紅希くんで試したらしいが、司令もなかなか大胆だな。パワーアップが成功する確率は63.4パーセントだったそうだから、成功させた紅希くんがすごいということかもしれない。

 いつか私もパワーアップして、思い切りリーゼントを振り回したいものだ。ちゃんと司令には『私のリーゼントには矢を貫通させておいて欲しい』と希望も伝えておいたぞ! 橋田には『落ち武者か』と言われたが。


 まあパワーアップアイテムは一旦置いておいて、今日は休日。何も予定は無いが、なんとかして橋田を誘って出かけたい!

 この間の栞とのお見合いのおかげか、橋田が少し私を意識してくれるようになった気がするんだ。少し意識している相手からデートに誘われたら、橋田も断れまい!


 でも口実が欲しいな。何も無しに誘われても、橋田も困るだろうし……。適当にSNSでも見てみるか。


 滅多に見ないSNSを開くと、1番上にパンケーキの店が出てくる。これでいいや。投稿を保存し、私はドキドキしながら橋田に電話をかけた。

 2コール目で橋田が電話に出る。早いな。暇してたんだろうか。


「お疲れ様です。橋田です」


「おお橋田! おはよう! ウミヘビを飼わないか?」


「飼わないです。どうしたんですかこんな朝っぱらから」


「飼わないのか……。ウミヘビはいいものだぞ? 私も前前世あたりでウミヘビを飼っていた記憶が探したらどこかにあるかもしれないという気がしている」


「多分気のせいですね。ウミヘビはどうでもいいんですが、何の用ですか? 休日出勤ですか?」


「ああいや、違うんだ! 実は橋田に付き合って欲しいんだが……」


「……え?」


 やはり橋田は私を意識しているぞ! 間違い無い! この反応は、私を意識しているからこそだ! ……そう思っておこう。じゃないと心臓が保たない。


「ん? どうした? 何か私が変なことを言ったか? 天狗と鍼治療の専門学校に通いたいとか」


「なんで天狗と同期になるんですか! そこまで変なことは言ってないです!」


「まあいいか。それで橋田、食べに行きたいものがあるんだ!」


 通話をしながらSNSの投稿に貼ってあるリンクを押し、パンケーキの店の情報に目を通す。


「橋田は今日予定があったりするのか? もし無ければ一緒に食べに行かないか?」


「特に予定は無いのでいいですが……何を食べに行くつもりなんです?」


「パンケーキだ!」


「……え?」


 なんだ? 私が付き合って欲しいと言った時と同じ驚き方じゃないか! 私がパンケーキを食べに行きたいというのがそんなにおかしいのか!? 失礼なやつだな! 私だってパンケーキの1合や2合、ペロッと食べるんだからな! ……ところでパンケーキの数え方は合で合ってるのか?


 電話越しでも分かる言葉を失っている橋田に、改めて声をかける。


「どうした橋田? パンケーキを知らないのか?」


「パンケーキは知ってますが、部長がそんな普通のものを食べるのが意外すぎて……」


「失礼だな君は! 私はギャルだぞ? ジーエーエスと書いてギャルだぞ?」


「ガスじゃないですか! なんで気体になったんですか!」


「私だってパンケーキを食べたい時もあるさ! さあ橋田、私と一緒にパンケーキを食べに行こう!」


「いいですが……何故俺なんです? 会社の女子とか黄花じゃダメなんですか?」


「カップル割があるんだ! 女子だけだとどうしても割高になってしまうみたいでな!」


 たまたまリンク先に載っていた情報がかなり役に立つな。カップル割なんて都合が良い。橋田は論理的な男だ。こういう連れて行く根拠があれば、納得して着いて来てくれるだろう。


「分かりました。準備するので少しお待たせしますが、大丈夫ですか?」


「もちろんだ! 駅前にある駅で待っているぞ!」


「じゃあ駅じゃないですか! ……分かりました。なるべく急いで準備します」


「サドンデス! 間違えた、頼んだぞ!」


「どんな間違いですか! 全然違うじゃないですか!」


 さてと……。橋田を誘えてしまった! どうしよう! 2人きりでパンケーキなんて、ダーツ! 間違えた、デートじゃないか! どうするんだ私!


 とは言いつつ、一応すぐ出かけられるように準備だけはしてある。一張羅のピンクのワンピースを着て、メイクもバッチリ。あとはピンクのハイヒールを履いて外に出るだけだ。


 もうここまで来たら引き下がれない! 行くぞ私! 頑張れ私!

 自分を奮い立たせて、駅までの道を歩き出す。いけるぞ! 大丈夫だ私!


「そろそろか……?」


 橋田から、もうすぐ駅に着くと連絡があった。見ると、遠くの方に青いジャケットを羽織った精悍な男が見える。あれだな。私服も青いのか! どこまでも青に拘る男だ。


「橋田! こっちだこっち! メッカの方向だ!」


「イスラム教徒ですか!? そんなに大声を出さなくても分かります!」


 橋田はすぐに私を見つけ、こちらに寄って来た。


「どうだ橋田? 今日は新品のワンピースを2回ほど着たものを下ろして来たんだ!」


「それは新品じゃないです! 下ろしたって言うんですかそれ!?」


「じゃあ早速行こう! 橋田はどんなパンケーキが食べたいんだ? カッパ巻きパンケーキか?」


「そんな気持ち悪いパンケーキは食べないです!」


 隣に私服の橋田が歩いている。これは……夢か? どうしよう、とりあえず話しかけないと!


「いやあ、来てくれて本当にありがとう橋田! あそこの店はカップル割を使わないとかなり高級でな、いつか行ってみたいと思ってたんだが、なかなか行く機会が無かったんだ! 橋田がいてくれて助かったよ!」


「いえ、付き合いなので……」


 付き合い、か……。この付き合いが交際という意味ならどれだけ良かっただろうか。まあ、今日はとりあえず2人きりの時間を楽しむぞ! 栞が作ってくれたチャンス、ちゃんと交際に繋げるんだ!


「橋田は普段パンケーキとか食べるのか? それとも普段は生のニンジンしか食べないのか?」


「俺はウサギですか! ちゃんと色々食べます! でもパンケーキはそんなに食べないですね」


「そうか、橋田はキャロットケーキしか食べないのか」


「ニンジンを調理しないでください! 話聞いてました!?」


「橋田、あそこだ! 着いたぞ!」


「聞いてください!」


 話しているうちに、SNSで見たパンケーキの店が見えてくる。今日だけは変な言動をしないように、女の子らしくいるんだぞ、私!

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