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戦隊ピンクは素直でいたい〜頼むから私に振り向いてくれ〜  作者: 仮面大将G


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第25話 逆立ちの夜道

 さて! 今日は逆立ちで奈良県まで行く日だ! 絶対に到達して見せるぞ!


 でも奈良県はちょっとやりすぎかな? とりあえず第1目標を滋賀県にして、行けそうなら奈良県まで行くことにするか! まだ広告制作で残業してた疲れが残ってるが、それは見ないことにしよう!


 ……待てよ。流石に生身で滋賀県まで逆立ちで行くのは無理じゃないか? よし、チェンジして行こう。


 私は左腕にあるハシレチェンジャーに手をかけ、アクセルを回した。


「ハシレチェンジ!」


 私の周りをピンクのタイヤが回り出し、そのまま私の頭のてっぺんまで到達する。


「ピンクに突撃! ハシレピンク!」


 よし。ハシレンジャーの姿なら滋賀県まで、もしくは奈良県まで行けるかもしれない。頑張ってみよう!


 逆立ちで歩き始めた私は、ハシレンジャーの姿で第1目標、滋賀県を目指した。



「なんか……やたら見られるな」


 道行く人々が、やけに私の方を見る。私を指さして何か言ってるようだ。ちょっと聞いてみよう。


「ねえ、あれハシレンジャーじゃない?」


「本当だ! でもピンクっていたっけ?」


「赤、青、黄色の3人だったような……」


「ねえママ! ハシレンジャーだよ! ハシレンジャーが逆立ちで歩いてる!」


「あら本当ねえ。ハシレンジャーも逆立ちするのねえ」


「ママ、あれは追加戦士のハシレピンクだよ!」


「そうなのねえ。ハシレピンクも逆立ちするのねえ」


「きっと体を鍛えてるんだよ! 僕も見習って、明日から逆立ちで登校する!」


「あらあら、頑張ってねえ」


 うん……。なんか子どもに変な影響を与えてしまった気がするぞ。あと私はまだ広くは認識されてないんだな。まあまだハシレンジャーになってそんなに時間が経ってないからなあ。私もちゃんとハシレンジャーの一員として認識されるよう、頑張らないとな!


 そのまま逆立ちで歩いていると、なんとか岐阜県までは到達できた。でもそろそろ日が暮れそうだな……。今日のところは帰るか。腕もパンパンだし。

 しかし情けない。ハシレンジャーになっても、逆立ちで岐阜県までしか行けないなんて! これは鍛え治さないとな。


 私は逆立ちをやめて足で立ち、元来た道を引き返した。



 夜になり、基地の近くまで戻って来た私は、チェンジを解除して歩いていた。流石にハシレンジャーの姿のままだと職務質問されかねない。まあ、もうチェンジは必要無いしな。家も近いし、これ以上ハシレンジャーの姿でいる意味は無い。このまま帰ってゆっくりしよう。


 そんなことを思いながら歩いていると、前の方に青いスーツを着た男の姿が見えた。あれは……橋田か? うん、そうだな。橋田だな。こんな時間までどこに行ってたんだ? まさか……女!?

 いやいや、橋田に限ってそんなことは無いだろう。それに女といたなら、この時間に帰ってるのはむしろ不自然だ。まだ日付も変わってないし。

 ……でも不安だな。よし、橋田に直接聞いてみるか。


 私は橋田の後を着いて歩き始めたが、橋田はやけに後ろを警戒して歩調を早める。おいおい、そんなに早く歩かれたら、疲れてる私じゃなかなか追いつけないじゃないか!


 ……ちょっと待てよ。もしかして今の私なら、逆立ちの方が早いんじゃないか? よし、鍛えた成果を見せる時だ。逆立ちで橋田に追いついて見せよう!

 ヒールを手に履いた私は、再び逆立ちで歩き出す。


 すると橋田はさらに歩調を早め、少し先にある角を曲がった。あれ? 橋田の家ってあっちだったか? 逆方向な気がするが……。まあとりあえず着いて行くか!


 逆立ちのまま橋田を追いかけて角を曲がると、ハシレブルーにチェンジし、銃を構えた橋田の姿があった。

 橋田は私を見るなり銃を下ろし、呆れたように声を出した。


「……部長。何してるんです?」


「おお橋田! ようやく気づいてくれたか! 待ちくたびれてハンガーになるところだったぞ!」


「人間は待っててもハンガーになりません! なんですかその独特の進化は!?」


「しかしなんでチェンジしてるんだ? なまはげでも出たのか?」


「ここは秋田ですか! なまはげが出ても倒そうとしないです!」


「じゃあなんでチェンジしてるんだ? 首を傾げすぎて180度回りそうだぞ」


「中国雑技団じゃないんですから逆立ちで首を回さないでください! ああもう180度超えてるじゃないですか!」


 橋田は私の首を元に戻してからチェンジを解除した。


「なんであんなややこしいことしたんですか! 間違って倒しちゃうところでしたよ!?」


「いやあすまないな。帰り道で橋田を見つけたものだからつい」


「帰り道って……まさか本当に滋賀県まで行ってきたんですか!? 逆立ちで!?」


「まさか! 岐阜県までしか行けなかったよ」


「十分でしょう!? 徒歩でもとんでもない時間がかかるのに、逆立ちでどうやってこの時間で!?」


「そりゃあチェンジして行ったに決まってるじゃないか。流石に生身では愛知県までしか行けない」


「変わらないです! 方向が違うだけで距離はほとんど同じでしょう!?」


 橋田のやつ、愛知県の人に怒られるぞ! 愛知県と岐阜県がほぼ同じなんて、現地の人に失礼じゃないか!


 それにしても、なんで橋田は家と違う方向に歩いてたんだ? それに、こんな時間までどこで何をしてたかも気になる。というかそれを聞きに来たんだったな。


「橋田は何をしてたんだ? 1人人生ゲームか?」


「そんな悲しすぎるゲームはしてません! 俺は基地で真面目なことを考えていたんです!」


「真面目なこと……? 昨今の少子高齢化についてか?」


「真面目すぎます! それを俺が考えたところでどうにもならないですよ!」


「そうか、橋田は子どもを作る気が無いのか……」


 私はどちらかと言えば子どもは欲しい派なんだが……。まあそれも橋田の恋愛経験が少ないからこその考えだろう。私と付き合ったらまた変わるに違いない! ……まず付き合えるかが問題だけどな。


 ……そうだ、まずは橋田に恋愛経験を積ませるのはどうだろう? そうしたら橋田の子どもや結婚に関する価値観も少し変わるかもしれない! 私的にはちょっと複雑だけどな。でも最終的に私が付き合うための布石だから仕方ない! ここは妹の栞にでも協力してもらって、橋田を男として成長させるんだ!


「橋田、恋愛経験というものは人を成長させる。多少は恋愛をしてもいいんじゃないか?」


「急にどうしたんですか部長……。俺はあまり女性に興味が無いんです。急に恋愛と言われても……」


「ならいい相手を紹介してあげよう! 橋田みたいな鼻の固い人間は、まずお見合いからだ!」


「頭じゃなくてですか!? 鼻を整形したみたいな言い方やめてください!」


「ちょっと待ってるんだぞ、すぐ私の知り合いで良さそうな人をピックアップして、ブドウ狩りのスポットを探しておくからな」


「なんで初デートがブドウ狩りで固定なんですか! もうちょっと気の知れた相手と行くものでしょう!?」


「よし! 決めたぞ! ブドウ狩りは山梨県笛吹市だ!」


「ブドウ狩りを優先して決めないでください!」


「ああ、もちろん相手も決めたぞ。私が連絡しておこう。来週の日曜は空いてるか?」


「空いてますが……え、本当にお見合いさせる気ですか!?」


「餅論だ!」


「餅奉行みたいな変換ミスやめてください! え、本当に本気なんですか!?」


 橋田は驚いてたようだが、私は本気だ。栞なら事情を話しても協力してくれそうだし、最終的に私が付き合いたいというところまで話してもいいだろう。よし、橋田を男として成長させる作戦、略して橋田男成長作戦スタートだ! ……なんかあんまり略せてない気がするぞ。

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