第24話 退勤後のトレーニング
社長と橋田に言われてなんとかちゃんとした動画広告を作り上げた私は、日課であるジムに向かっていた。
橋田たちが騒ぐから、司令が喋るパートに関しては全部カットしてやったぞ全く! 私は司令がクリケットについて話してる部分が1番面白いと思ったのに!
ちゃんと橋田と私がビタミンドリンクを飲んで我が社の宣伝をする広告を作ったからな! これで文句は言われないだろう! 社長に文句を言われた腹いせに、社長の写真を0.1秒ずつ10カットぐらい差し込んでおいたが、これはまあ気付かれないだろう。広告を見た人が社長を食べたくなるだけだ。社長のサブリミナル効果、略してシャブリミナル効果だ! ……なんか危ない薬みたいだな。シャブリミナル効果というネーミングはやめておこう。これこそ橋田に怒られそうだ。
それにしても疲れたな……。最近は経理の仕事に加えて広告制作の仕事をしてたから、残業続きでストレスもマックスだ! 体も心も疲れてるが、こういう時こそトレーニングをして発散しないとな!
そう言えば司令から通信が来ていたような気がするが、仕事中で出られなかったな。大丈夫だろうか? まあどちらにせよ今日は疲れてるし、ジムに行って帰ろう!
そんなことを思いながら歩いていると、ジムに辿り着いた。会員証をかざしてドアを開ける。このドアを開ける瞬間はテンションが上がるな。今の思いを叫んでおこう。
「退勤だー! やっと広告制作が終わったぞ! 今からトレーニングをして発散しy……おお? 怪人とハシレンジャー? 何してるんだ? 新作の弁当の案出しか?」
「そんなわけないでしょう! 俺たちは弁当屋じゃないんです! いいから早くチェンジしてください!」
ジムの中には、やけにムキムキな黒い筋肉をした怪人と、チェンジしたハシレンジャーの姿があった。なんだ? 何をしてるんだ彼らは?
倒れているように見えるが……。でも私はトレーニング前に軽く食事をするのが日課なんだ。まずはそれをやらないとな。
「何をそんなに焦ってるんだ。ここはのんびり行こうじゃないか。まずは冷凍の唐揚げを10分温めて……」
「なんでこの状況でのんびりできるんですか! 早くチェンジしてください!」
「あ、ああすまない。分かった分かった。行くぞ、ハシレチェンジ!」
レンジに入れかけた冷凍唐揚げの皿を持ったまま、私はブルーに言われるがままにチェンジした。でも怪人がいたらトレーニングに集中できないしな! さっさと倒しておくか!
「ピンクに突撃! ハシレピンク!」
「お、君もハシレンジャーなんだね! なら一緒にトレーニングをごっはあ!」
私は怪人が喋り終わる前に爆弾を投げつけた。
「ごちゃごちゃうるさいぞ。さっさと倒されて私の仲間を解放しろ!」
冷凍唐揚げの皿にはラップをかけ、ベンチプレスの上に置いてある。私は早くあれを食べてトレーニングしたいんだ! あとついでに仲間を助けないとな!
「ハシレンジャー、今助けるぞ! 助けられるまでの間はジェンガでもして待っていてくれ!」
「そんなことをしている余裕は無いです! 呑気すぎるでしょう!?」
「おいピンク! そこの唐揚げ俺も食っていーか? 腹が減って仕方ねーんだ!」
「もちろんいいぞ! 10個あるから4.5個とかでいいか?」
「なんでそこまであげて素直に半分にしないんですか! ややこしいでしょう!?」
倒れているハシレンジャーたちを起こし、私たちは改めて4人で並び、怪人の方を向いて立つ。
「覚悟しろよ怪人! こうなったら俺たちは無益だぜ!」
「無敵だろう!? 何故利益が無いことになっている!?」
「呑気にもほどがあるわね。早く武器を合体させるのよ」
「ついでに唐揚げも詰めていいか? ハシレ唐揚げボンバーを撃ちたい」
「食べものを粗末にしないでください!」
「しゃー! 行くぜ! 暴走バスター! ハシレボンバー!」
「ぐぎゃあああああああ!! トレーニングの後はすぐに食事を摂って筋肉を作るんだぞおおおお!」
おお、あの怪人はなかなか良いことを言うな。トレーニングの前じゃなく、後に食事を摂るのが良いんだな。今度からそうしよう。
しかしあれだな、爆弾を投げて勝ってきてるが、私自身のトレーニングももっと強度を上げた方がいいな。爆弾を投げて勝つのも良いが、やっぱり肉弾戦に憧れるしな。
それに、せっかくハシレンジャーになって橋田と肩を並べて戦えるんだ。もっとその時間を大切にしたいじゃないか。
「そう言えば橋田、今回の怪人はどんな怪人だったんだ? 文脈から作者の気持ちを想像して40文字以内で答えさせる怪人か?」
「そんな文系の怪人じゃないです! どう見ても体育会系だったでしょう!?」
「体育会系と言うとあれだな! フードが付いたスウェットのことだな!」
「パーカーじゃないですか! 何をどう間違えたらそうなったんですか!?」
「え? だって体育会系の人って私服がパーカーじゃないか?」
「イメージはありますけど! パーカーを体育会系の概念にしないでください!」
「それより橋田、今度逆立ちで滋賀県まで行こうと思うんだが、橋田も一緒にどうだ?」
「遠慮します」
筋肉痛の時のように腕をぐるぐる回しながら歩く橋田たちを見て、多分筋トレをさせられてたんだと気付く。なるほど、なら私も頑張らないとな! やっぱり逆立ちで滋賀県までじゃなく、逆立ちで奈良県まで行ってみるか!




