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戦隊ピンクは素直でいたい〜頼むから私に振り向いてくれ〜  作者: 仮面大将G


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18/18

第18話 爆誕!ハシレピンク!

 走り出してすぐに虹色の空間に入り、少しして暗い屋敷のような部屋に出る。ここに橋田がいるのか? どこにも見当たらないが……。


 薄暗がりの中をキョロキョロと見回していると、部屋の奥の方にドアがあるのを見つけた。あそこに橋田がいるかもしれない! とにかく行ってみよう!


 私は再び走り出し、部屋の奥に辿り着くと、そこにあるドアを勢い良く開けた。

 するとそこには、黒いマントを身にまとったロボットのような顔の男が座っており、マイクに向かって何かを話している。


 この怪人だ! この怪人が橋田を連れ去ったんだ! そう思うと怒りが湧いてきたぞ。よくも私と橋田の甘いランチタイムを邪魔してくれたな!


 気が付くと私は、怪人を思い切り蹴飛ばしていた。とんでもない勢いで壁を突き破り、吹っ飛んで行く。あれ……? 私まだハシレンジャーに変身してないよな? なんであんなに飛ぶんだ? まあいいか。乙女の怒りのパワーということにしておこう。


 怪人がぶち破った壁の向こうに、へたり込むハシレンジャーの面々が見える。ここにいたのか! 何か縄のようなものが落ちている気がするが、まさか大縄でもさせられてたのか? 何にせよ、助けに行かなくては!

 ん? 待てよ、何か床に落ちてるぞ! これは……ハシレチェンジャーじゃないか! 橋田たちのか! この怪人、ハシレチェンジャーを奪って変身できないようにしてたのか! 卑怯なやつめ! この私がとっちめてやろう!

 おっと、ハシレチェンジャーは拾っておかないとな。橋田たちに返さないと。


 私は怪人の後を追い、壁の穴から橋田たちがいる部屋に入った。


「待たせたなハシレンジャー! SAS〇KEに来たぞ!」


「助けに来てください! え、部長!? 何してるんですか!?」


「橋田、もう大丈夫だ。これも取り返して来たぞ!」


 私はさっき拾ったハシレチェンジャーを、橋田たちに投げ渡す。


「取り返してくれたのはありがたいですが……。何がどうなってるんです!?」


「君たちは疲れているだろう。少し休んで、ここは私に噛ませろ!」


「せめて任せろでしょう!? 噛んでどうするんです!」


 私は左腕に装着したハシレチェンジャーに目をやる。バイクのハンドルのようなディテール。ついにこれが私の腕に……! 感動だ!

 ……ああいや、そうじゃなかった。とりあえずこの怪人をやっつけないとな!


 私はハシレチェンジャーのアクセル部分に手をかけ、思い切り回して叫んだ。


「ハシレチェンジ!」


 すると私の足下にピンクのタイヤが出現し、私の周りを回り始める。タイヤは回りながらどんどん上がってきて、頭のてっぺんまで到達する。タイヤが消えると同時に、私の姿はピンク色のヒーロースーツに変わっていた。


 ついに……ついに私も! ハシレンジャーに! 戦隊ヒーローになったぞ! どうしよう、こんな感動は初めてだ! 顔を触ると、硬いヘルメットに手が当たる。下を向くと、橋田たちと同じく特攻服をモチーフにしたピンク色のヒーロースーツ。信じられない……。私が戦隊ヒーローになれたなんて!


 私が感動している中、怪人は呆気に取られている。私の思わぬ登場に困惑しているようだな!

 怪人は私の方を見て、驚きの声を漏らす。


「は? こんな戦士がいるなんて聞いてないよ! 私はハシレンジャーは3人だって……」


「それはそうだろうな! 何故なら私はたった今この瞬間、初めてハシレンジャーになったからだ! これが初体験か……!」


「語弊のある表現はやめてください部長!」


「よし、行くぞ!」


 私は怪人と改めて向かい合う。確か司令は、このハシレチェンジャーで変身したら武器は爆弾に固定されると言ってたな。

 爆弾はどうやって出せばいいんだ? あ、これか?


 私がヘルメットの右側面にあるタイヤを押すと、私の両手には大きな爆弾が出現した。なるほど、これが私の武器か! 流石に2発ということは無さそうだから、無限に爆弾を出せるのか? だとしたらめちゃくちゃ強いじゃないか! よし!


「これをめちゃくちゃ投げる!」


「雑な戦法だった! 強そうではありますけど!」


 私は思い切り手を振り上げ、怪人に向かって次々に爆弾を放り投げる。逃げ惑う怪人だが、私の戦法は数打ちゃ当たる! 逃げられるものか! ……いや、今初めて戦ってるんだけどな?


「ゲホッゴホッゴホッ! え、えげつない爆弾攻撃……! このままじゃ私がやられてしまうよ……!」


 お、煙幕で怪人に隙ができたぞ! これは好機だ!


「さあみんな、敵が弱っている今がチャンスだ! 早く言葉責めを!」


「精神ダメージを負わせてどうするんですか!」


「しゃー! 行くぜおめーら!」


「ハシレチェンジ!」


 橋田たちはいつものようにハシレチェンジャーのアクセルを回し、ハシレンジャーへと変身する。いや、彼らは変身のことをチェンジと言ってたな! なら私もこれからそう言おうじゃないか!


 チェンジしたハシレンジャーたちの横に並び、全員で怪人の方に向かって立つ。この流れは……名乗りだ! 戦隊と言えばの名乗りだ! こんな時のために、私もオリジナルの名乗りを考えておいたんだ! ついにそれをお披露目できるんだな……!


「赤い暴走! ハシレッド!」


「青い突風! ハシレブルー!」


「黄色い光! ハシレイエロー!」


「ピンクに突撃! ハシレピンク!」


「ピンクに突撃って何に突撃するんですか!」


「そりゃあれだ、教育委員会とか」


「モンスターペアレントじゃないですか! 子どもができてから言ってください!」


「エンジン全開、突っ走れ! 暴走戦隊!」


「ハシレンジャー!」


 うん、なんか締まらなかったな。橋田が細かいことを気にするせいだ! まあいいか。とりあえず今は怪人を倒してしまおう!


 ハシレンジャーたちが武器を取り出すと、レッドが声を上げる。


「おめーら! 武器を合体だ!」


 おお……! 合体武器! 戦隊と言えばの合体武器じゃないか! ハシレンジャーにも合体武器があったのか!


 レッドの鉄パイプに、ブルーの銃とイエローのツインダガーが組み合わされていく。私の爆弾はどこに置けばいいんだ? でも爆弾だから先端か。とりあえずそうしよう。

 私は爆弾を1つ取り出し、合体武器の先端に取り付ける。


「ピンク、これどうなるんですか!?」


「私にも分からないが、もしかしたらハトとかが飛び出すかもな」


「そんなマジシャンみたいな爆弾なんですかこれ!?」


「うるさいにもほどがあるわね。いいから早く敵を倒してナイジェリアに帰るわよ」


「お前の故郷はナイジェリアだったのか!?」


「行くぜー! 暴走バスター! ハシレボンバー!」


 赤、青、黄色、ピンクの4色のタイヤが勢い良く飛び出し、私の爆弾を押し出していく。怪人に爆弾がぶつかったと思ったら、タイヤが怪人ごと爆弾を押し上げ、上に向かった。そのまま天井を突き破った怪人は、上空で大爆発。久しぶりに見た空には、大きな花火が上がることになった。


 レッドが花火を見て叫ぶ。


「さーかやー!」


「たーまやーだろう! 何花火に託けて酒を売ってるんだ!」


「最悪の怪人の割には綺麗な花火ね。IHコンロみたいだわ」


「IHコンロを綺麗だと思ってたのか!?」


「いやー危なかったな君たち! これからは私が来たから安心だ! いつでも走りやすいヒールで駆けつけるぞ!」


「何ですか走りやすいヒールとは!? ヒールをやめる発想は無いんですか!?」


「ああ! コーナーで差をつけるぞ!」


「それは運動靴のキャッチフレーズです! ああもう、ボケが増えた……」


 ブルーこと橋田は何故か今の状況を嘆いてるようだが、私のテンションはマックスだ! なんて言ったってハシレンジャーにチェンジした上、名乗りと合体武器という子どもの頃からの憧れを叶えられたんだからな!

 これで私もハシレンジャーの一員。そして、仲間として橋田の側にいられるんだ。こんなに嬉しいことは無い。


 私はマックスのテンションのまま、ハシレンジャーの面々と一緒に基地への帰り道を歩いていた。

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