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戦隊ピンクは素直でいたい〜頼むから私に振り向いてくれ〜  作者: 仮面大将G


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第13話 見送る背中

 橋田の表情は、スマホを見ながらだんだんと呆れたものに変わっていった。そしてスマホを一旦しまった橋田は、一呼吸置いてから声を発した。


「こんなものを一気に送ってくるな! トイレに肉を干すのは不衛生すぎるからやめろ! 既読が食えるわけがあるか! 生肉は調理したら生じゃないのは当たり前だ! そしてGSはガソリンスタンドだ!」


「おお!? どうしたんだ橋田、いきなりツッコミを連発して」


「すみません部長。紅希のバカが変なチャットを送ってきていて……」


 ああ、紅希くんだったのか。でも彼も変身道具のハシレチェンジャーを持ってるんじゃないのか? ならそれで通信すればいいのに、なんでわざわざスマホで送るんだろう?


 不思議に思っていると、今度は橋田のハシレチェンジャーに通信が入る。お、今度は何だ?


「碧! ワシや! お前が放課後友達と遊んでる時に一緒に混じってたお兄さんや!」


「お前か! あれは誰だろうとみんな不思議がってたぞ! ……いやそんなわけあるか! ハシレイ、何があった?」


「なんやもうバレたんか、おもろないなあ。次に通信入れる時は何て名乗ったろかな」


「それはどうでもいい! 緊急事態じゃないのか?」


「ああすまんすまん、そやったな。緊急事態や! 韓国語で言うと비상사태や!」


「ハングルで言われても分からないんだが!? 早く何があったか言え!」


 一旦乗ってあげる橋田は優しいな……。クールを気取っているくせに、こうやってボケに乗っかってくれる優しさも好き……いや、そんなことはいいんだ! 司令から通信が入ったということは、また怪人か?


「紅希の干し肉が盗まれたって連絡来たやろ? あれの犯人が分かったんや!」


「なんだ、そのことか……。どうせ自分で食べたとかそんなオチじゃないのか?」


「それがな、なんとホーテーソク団の仕業やったんや。ワシも最初は紅希が7時間くらい反芻して食べたんちゃうかと思ってたんやけどな」


「牛か! 紅希がそんなにゆっくり食べているのは見たことが無いぞ! ……それで、怪人が出たんだな?」


「せや。今すぐ向かえるか?」


 干し肉が盗まれた……? なんか事件としてはものすごく小さくないか? いや確かに窃盗事件ではあるが、ハシレンジャーが出動するほどか?


 でも橋田の表情はやけにキリッとしてるし、ハシレンジャーにとっては一大事なのかもしれない。部外者の私が口を出すことではないか。

 ……部外者。何とも寂しい響きだ。


 橋田は司令のすく問いに対し、即座に答えを出した。


「了解。すぐに向かう! 場所を送ってくれ!」


「助かる! 今牛の体の断面図を送ったから、ちゃんと胃袋が4つあるか確認してくれ!」


「牛はもういい! 場所を送れと言っている!」


「お? 牛だけに『もう』ってか? いいダジャレやなあ。そのセンス、買うで! 『cow』だけに」


「今日は一段とうるさいなお前! いいから怪人の場所を送れ!」


「おおすまんすまん。ほい、送っといたで!」


「やっとか……。すぐに向かう!」


 橋田は通信を切ると、私の方に向き直る。


「すみません部長、怪人が出たみたいなので行ってきます!」


「ああ、今日も頼んだぞ! ハシレブルー!」


「ありがとうございます! 行ってきます!」


 オフィスから駆け出して行く橋田。その背中を見送りながら、私はデスクに肘を着き、手を組んだ上に顔を乗せる。


 私はいつまでもこうやって橋田の背中を見送るだけなのか……? 一応今はハシレンジャーの協力者ポジションにいるが、このままで良いんだろうか……。

 ハシレンジャーにはイエローこと黄花くんという女性もいる。橋田が黄花くんと仲を深めたら、私が入り込む隙は無くなってしまうんじゃないか? そうなってしまったら私はもう泣くしかない。なんとかして、私もハシレンジャーに入れないだろうか……。


 考えごとをしていると、社長が後ろから歩いて来た。


「鳥羽くん、少し話があるんだがね」


「なんですかミスシャー、要件があるならパッと言ってください!」


「おお、今日は何か機嫌でも悪いのかね?」


「そんなことはありませんよミスシャー、いつも通りです」


「そのミスシャーという呼び方をやめてくれないかね……? 意味が分からなくて周りも困惑してるんだが」


「分かりました、ミスシャー伯爵」


「ミスシャー伯爵!?」


「それで、ミスシャー公爵は私に何の用です?」


「伯爵か公爵かハッキリしてもらえるかね!?」


 社長とのやり取りはいつもまどろっこしくて困るな。橋田ぐらいテンポ良く話せないものだろうか。……いや、私も社長がツッコミを入れてくれてるのは分かってる。ただ橋田の方が心地良いだけだ。それは、私が橋田のことを好きだから。そんなこと、分かってるんだ。


「それでミスシャー男爵、話というのは?」


「今度は男爵なのかね!? 爵位がコロコロ変わって対応に困るね!? いやそんなことは良いんだが、この間のエナジードリンクの誤発注、あの値段分鳥羽くんの給料から天引きしておいたから、また確認しておいてくれたまえ」


「なんだ、そんなことですか。エナジードリンクの分を私の給料から天引き……え!? 私の給料から天引き!? あの値段を!?」


「じゃ、そういうことだからよろしく」


「待ってくださいミスシャー! あ、ミスシャー伯爵!」


「言い直さなくて良いが!? なんでいちいち爵位を付けるんだね君は!?」


 なんてことだ……。私の給料が……。

 そう言えば橋田はハシレンジャーの活動にも給与が出ると言っていた気がするな。やっぱり私もハシレンジャーに入らなければ! 給料のためにも! よし、そのためにはとりあえずこの協力者ポジションから抜け出すきっかけを見つけないとな!

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