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主人公の恩人になります

1話にしては長すぎる気がする。

意見や誤字脱字があったら是非ともコメントしてください!

あとハーレム要素は入れようか迷ってます

生命が息を潜め始める12月の始め、俺はとある依頼を冒険者協会から受けて学園を休み辺境の町に向かっていた。


1日後俺が向かっている町は冬眠前で気が立っているB級の魔物に襲われる。原作では主人公は依頼を受けた他の冒険者にたまたま保護されて助かるものの町は壊滅し主人公の親や友達は全員死んでしまう。


俺はここで主人公達を助けて原作では主人公を魔法学園に紹介するメルダさん(3年の先輩)のかわりに彼らを助けて先ず主人公の命の恩人になる。


たが、一番の問題は出現する魔物の正確な強さや町が壊滅する過程が描かれていないことにある。


今は12月4日の午後11時半であり、原作では町が魔物に襲われたのは5日の夜だと言っていた。


そこで俺はふと思い出した。もしかして5日の夜って午前だったりする?てっきり5日の夜10時くらいだと思っていた。でも夜って言ったら午後の方じゃね、そこで俺は原作の主人公のセリフを思い出した。


「やつが来たのはみんながまだ寝静まってる深夜でした」


あ、やばいかもしれない。向こうには今から全力で行っても6時間はかかる。


間に合わなかったら俺の17年間が無駄になると考えて俺は死ぬ気で走った。魔力も温存しておきたかったが致し方ない。


魔力を駆使しながら走ること3時間、俺の目に映ったのは多くの家が炎上し、人々が逃げ惑う主人公の町だった。


やっべぇえええ。まじでやばい主人公生きてるよな?

死ぬほど焦りながら魔力で視力を上げて町を見渡すと主人公をかばいながら戦う父親と血を流している母親の姿が見えた。


主人公の父親はかろうじて魔物の攻撃を剣で受け止めてはいるが、魔物には傷すらつけられていない。


原作で言及されていなかった魔物の姿は全長8メートル程あるクマ型の魔物だった。

パット見で分かったがあれはB級程度じゃない間違いなくA級はある。


原作でも推定されていた等級よりも実際等級が高かったことなんていくらでもあったので予想自体はしていた。


冒険者と魔物はどちらもSからF級まで分けられ基本的に同じ級だと勝てるようにはなっている。


しかし、同じ級の中でもさらに上位、中位、下位に魔物は分かれて判断される。

見た感じだとやつは上級の下位、今の俺は一応A級であるため相手できなくはないが思っていたほど簡単には倒させてくれないだろう。


だが、そんなことをちんたら考えていたら主人公の父親が死んでしまう。俺は急いで自分の腰に掛けてある2つの片手斧を取り出し魔力出力を上げて魔物に向かって駆け出した。








――――――――――――――――――――――――



「アカネ!逃げろ、俺がこいつを引きつけている間に早く母さんを連れて逃げるんだ!」


私の目の前にはいつも母親と買い物をしたあとに通る大通りの真ん中で血を流しながら戦うお父さんがいた。


ついさっきまで寝てる最中に起こされて何が起きているかわからなかった私は嫌でも現実を認識した。


魔物だ。しかも今まで見てきたものとは比べものにならないほど大きい。さっきまでお父さんと一緒に戦っていた大人たちはもう誰も立ち上がろうとしなかったいや、できないのだろう。


お母さんはいきなり壁を突き破って飛び出してきた魔物から私を守るために立ちふさがり腹部に大きな傷を負ってしまった。


「アカネ、私のことはいいから早く逃げなさい」


お父さんもお母さんも何言ってるの?そんな言い方じゃみんな死んじゃうみたいじゃん。嫌だよ、誰か助けてよ。そんなこと神に祈っていても状況が良くなることはなく、遂に父親の剣が魔物の攻撃によってへし折られた。


この町には兵隊も冒険者も大した数はいない。お父さんが残っていた最後の戦える大人だった。私とお母さんの後ろには火に囲まれて逃げ遅れた顔見知りの大人や子どもたちも多くいた。


お父さんの剣が折れたことでこの場にいるみんなの顔が青ざめたのが分かった。魔物は手を大きく振りかぶって父へと振り下ろそうとする。


受け入れたくない現実が嫌でも目に入ってくる。

やめて、見たくない。そう思い体が勝手に目を閉じてしまう。


しかし、その瞬間聞こえてきたのは魔物の苦痛に染った雄叫びだった。


何が起きたのかと思い目を開くと。私の目には信じられない光景が浮かんでいた。


数瞬後にはお父さんへと振り下ろされるはずだった魔物の右腕はひじから先が切り落とされクマの足元には2つの斧を持った金髪の男の人がいた。


魔物が驚き常人なら反応できない速度で男の人から数メートル距離を取る。


その瞬間男の人は顔を上げた。カッコよかった、立ち姿、容姿、その他すべてが様になっていた。


「俺の名前はヘレミス・カルディア。冒険者協会から調査依頼を受けたA級冒険者だ。俺が来たからにはここにいるものは誰も死なせない」


私はこの人はきっと王子様なのだろうと思った。






――――――――――――――――――――――――


あっぶねぇぇえー


まじで危なかった。あと1秒遅れてたら主人公の父親が叩き潰されるところだった。


まぁ、間に合ったしいっか。魔物が俺から距離を取ったため周りを見る。


いや全然間に合ってなかったわ。主人公を助けるために散っていった兵士や冒険者たちに申し訳なく思う。


しかし、そこで原作の設定を思い出した。確か主人公は魔物が他の人を襲っている間に運良く炎の抜け道を見つけて火傷や怪我を負いながらも脱出しそのあとこの町から数キロ離れたところで先輩に保護されたはずだ。


原作よりは間に合ってる方だから許してほしい。しかし、この襲撃があることとさらに日時の大体を知っていたため正直死んだ人たちが死後俺を囲んで足蹴りにするような暴行事件が起こってもしょうがない。


そんな事を現実換算で約1秒程で終わらせたあと俺は主人公達を安心させるため宣言する。


「俺の名前はヘレミス・カルディア。冒険者協会から調査依頼依頼を受けたA級冒険者だ。俺が来たからにはここにいるものは誰も死なせない」


言ったあとに気づいたがなんか無限がつく列車編でカッコよく散りそうな人の言葉になってしまった。


そんなことを思っていると魔物が動きを見せた。どうやら逃げる気はないらしく一瞬で10メートル程あった距離を爆速四足歩行で縮めてくる。あ、俺が3足にしたんだった。


俺は右に持っていた斧に魔力を込めて魔物の顔に向かって投擲した。しかし魔物は獣由来の反射神経で身を屈めて躱しそのまま俺に飛びかかって来た。


伸びる左手を左の斧に衝撃の魔法を込めて跳ね返す。


予想よりも大きな衝撃が来たことに驚いた魔物はそれでも諦めず再び左手を上げ大きく振りかぶろうとした瞬間先ほど投げたはずの斧が魔物の左手を跳ね飛ばしながら俺の右手に飛んできた。


それを軽々とキャッチした俺はそのまま何が起きたかわからない魔物の首元を2つの斧で挟んで切り落とそうとしたがそこで魔物の切り落とされた腕の傷口が燃え上がり、俺が首を切り落とす寸前でその炎は魔物の全身を覆うように燃え上がり俺は一旦飛び退いた。


町が炎上していたことから炎系の魔法を使えることは予想していたが中々特殊な使い方だ。


恐らく普段は大きく振りかぶった隙を見て懐に入ってきた敵をあのまま手で掴むかどうにかして焼き殺していたのだろう。


魔力の量や体格からみて間違いなくA級なのだが動きがぎこちなくやたらと隙が大きいと思ったのはそのせいか。


魔物は自分の策が通じなかったことに驚愕はしているもののそのまま全身を炎で纏いながら再び爆速四足歩行で突進してくる。いつの間にか腕が2本とも治っているため今度はちゃんと四足歩行である。


俺は魔物の体格と動きからして足が弱点だと予測した俺は両手の斧に魔力を込めて右の斧を斜め右の壁に向かって投擲し、左の斧を魔物が右に避けるように若干左寄りに投擲した。


魔物が左の斧を警戒して右にステップした瞬間右の手から投擲された斧は壁にぶつかったものの俺が斧に込めた魔力を緻密に操作することで壁を破壊せずそのまま反射し避けたくまの左足を吹き飛ばした。


魔物が支点を失い姿勢を崩した瞬間左から投げた斧が魔物の首の後ろから突き刺さったが切り落とされず魔物が逃走を始めようと方向転換した瞬間再び首の位置に右から投げられた斧が飛んできて今度はしっかりと首を切り落として俺の手元に両方の斧が帰ってきた。


大体の魔物は首を失ったり心臓あたりにある魔核を失うとそのまま息絶えるのだが今回はどうだろうか、A級のなかには魔核を破壊しないと死なない個体もいるので警戒したが、そういうやつは大体上位のため今回はないだろうと踏んだため主人公達を安心させるため声を掛ける。


「魔物はあれだけか?」


主人公の父親に声を掛けると未だ目の前で何が起こったのかを理解していないのか何度も瞬きをしながら返答してくる。


「は、はい。ヘレミス様、あの魔物は討伐されたのですか?」


「ああ、間違いなくやつは死んでいる。魔物があいつだけなら既に脅威は去った」


そう宣言した瞬間主人公や主人公の後方で身を屈めていた人たちは歓声を上げながらお互い抱き合い泣いていた。


だがよく見てみると主人公の母親は怪我としておりかなり元気がない。それに気付いた主人公と父親は急いで駆け寄り声をかけている。


「お母さん、死なないで。私たち助かったんだよ、お父さんも私も生きてるよ。だからお願い死なないで」


「頼むシユ、俺とアカネを置いていかないでくれ」


2人は泣きながら母親に声をかけているが母親は既にかなりの血を流している。


俺は大量に持ってきていた上級の回復薬を魔法ポーチから取り出して主人公達に駆け寄る。


「俺が遅れたばかりにすまない、これを使えば助かるはずだ。」


「これは、上級回復薬やく?!、こんな高価なもの本当に使ってもよろしいのですか」


大丈夫、大丈夫それ実家から無理やり持たされてたやつだから。


ちなみに俺は貴族である。しかもかなり爵位は高い方だ。主人公の父親であるアゼルも俺の名前にヘレミスがあることから察して様付けになってたし。


俺の生まれはこの国で四公とも呼ばれているヘレミス公爵家であり、俺はそこの次男だ。ちなみに弟が一人と姉と妹が一人ずついるかなりの大所帯だ。貴族では割と普通らしい。


そんな大家族だが俺が幼い頃から訓練して17歳という若さでA級冒険者になっていることから父親と母親はかなり過保護だ。


現に一本あれば農民が10年は働かずに暮らしていける程の価値がある上級回復薬だってプラモデルの週間号レベルで頻繁に送られてくる。


親が俺のことを気にかけているため兄は俺に当主の座を取られると警戒するものと思っていたが案外兄も俺に対してはかなり甘々である。


とまぁ一旦俺の出自はここまでにしておこう。


「問題ない、もとより俺が遅れたせいで怪我をしたんだ。俺は救援に駆けつけたものとして、何より貴族として君たち全員を助ける義務がある。何より回復薬などまだまだ大量に持ってきている。他の者たちも使うといい。」


そういった後俺は魔法ポーチから回復薬やそれ以外にも水や食料など取り出して置いていく。


魔物が死んだことにより町を囲っていた炎も消えたので光源を魔法で出したり、そのあと動ける大人たちと一緒にテントを張ったりなんだりして今日は眠りにつくことにした。




――――――――――――――――――――――――


ここにいるものは誰も死なせない


そう宣言したヘレミス様は魔物と戦い始めた。私はお父さんや大人達が束になっても全く歯が立たなかった魔物に対して憧れの人が向かっていくことに不安を覚えたが何故かあの人が負ける想像は全くできなかった。


戦いは終始ヘレミス様が圧倒していた。見たこともない武器さばきで魔物はヘレミス様に触れることすらできずに地に伏せた。


そのあとヘレミス様が討伐を宣言した後私や町の人たちは歓喜に震えた。当然だ、さっきまで死すら覚悟していたのだ。


でも私の喜びはそんなに長く続かなかった。お母さんから返事がなかったからだ。


気がついたお父さんと一緒に声を掛けるが反応がほとんどない。せっかく生き残ったのにと思っていた時、ヘレミス様が声をかけてきた。


そのあとヘレミス様は上級回復薬を渡してきた。魔法が好きで勉強していた私はそれがどれほどの価値があるのか知っていた。


その後の町の人たちへの対応もすさまじかった。


私はもうヘレミス様の虜だった、ヘレミス様と肩を並べて戦いたい。


気づけばそんな思いで頭がいっぱいになりその日はあまり寝れなかった。












主人公はアホです。しかし学園でもカッコつけており見た目も相まって様になっているため誰もアホだと思ってません。

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