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第91話 神(作者)の囁き。

 普通にどうにかやめてほしくて、何度か訴えてみた。けれど。


「千代ちゃん、ボクが無理をしていると思って、心配してくれているんだね……! 嬉しいけど、本当に大丈夫だよ。ボク今、楽しいんだ。こんな風に、人と深く関わるなんてこと、今までなかなかなかったことだから」


 と微笑まれて爆死した。


 柊木悠真の周囲から人を奪っていたのは私なので、罪悪感に負けたともいう。


 どうしようもなくなった私は、もう彼らは好きにさせることにして、柊木梓馬を洗脳……もとい、そそのかし、世界を滅亡に導く手伝いをする方に注力することにした。


 そもそも、柊木悠真がご飯をちゃんと食べなければ、世界を滅ぼす気力が失われるかもしれない、と思って、ご飯を作りに来るようになったんだしね。


 意気揚々と上がり込んだ柊木邸で、私ははたと首を傾げる。


 柊木邸、なんか異様に暗くて料理とか諸々しづらいんだけどなんで? あ、カーテン閉めっぱなしだからか、開けとこう。


 ご飯を作る為に必要だったので、カーテンを開けた。ついでに他の部屋のも開けた。これでばっちりである。


 日光が苦手なのはわかるけど、やっぱり人体には多少必要ですしね。健康的に世界を滅ぼそうな。


 そんな感じで柊木邸に入り浸っていると、時折柊木梓馬が一人で歩いているのを見かけることがあった。狙っていた瞬間を捉えられて、気分が高揚する。


 柊木梓馬今一人じゃん、そそのかしチャンス! ヨッ! 意志が強くて最高~! 絶対に世界滅ぼしてほしい~!


 ヨイショをしてみると、凍てつく視線を向けられた。しかし、悪役然とした視線を向けられても、今の私は安心するだけである。何なら、笑みがこぼれるのを止められない。


 冷たい目を向けられたのに、なぜか笑みを浮かべる不審者=私なので、当然睨まれたよね。


 え、媚びてんのかって? 違う、違う。これはね、世界を壊してくれる私の最後の希望を大切してるわけ。わかるかな?


 わからないか~そりゃそうだ。でもあんたがやりたいことと、私がやってほしいことが、見事に一致しているんです! やったね! だからサポート任せてやりたいことやってね!


 ……? なんか、柊木梓馬、顔色悪くない?


 数日後、いい感じで進めていると思ったのに、何故か柊木梓馬が倒れてしまった。風邪っておい!


 しかし思い返してみると、私が作った飯を、柊木梓馬は食べてくれていなかったような気がする。


 おいおい、いいかげんにしてくれ。お前がもしこれでだめになったら、誰が柊木悠真に世界を滅ぼさせるんだよ。


 その一心で、柊木梓馬の看病をしようとしたが、当然拒否られた。まあそうだよね。


 ちょうどよく柊木悠真が私を探しに柊木梓馬の部屋までやって来たので、ヨイショして看病を代わってもらうことにした。


 ついでに刷り込みもしておくか! キミは父親の影響を受ける生き物だよ……。父親を大切にしてよく言うことを聞くんだよ……。そう、父親が望むとおりに世界を滅ぼすのだ……。


 昨日の看病が効いたようで、翌日には柊木梓馬の体調がよくなったようで安心した。


 お前には柊木悠真を世界の滅びに誘導するという大切な役割があるからね。


 そう思ってニコニコしていたら、柊木悠真に飯が上手いと世辞を言われて困惑する。


 いやそれ流石に無理あるよ。ベーコンエッグとか誰が作っても大した違いはないよ。


 突っ込みを入れているうちに、柊木梓馬がなぜか泣いていた。なんで泣いてるんだ、この人。全然わからん。全然わからんが、チャンスである。


 悲しいの? ならさ、おっさんの本当の望みを叶えよう! 世界、滅ぼそう!


 私は期待に満ちた目を柊木梓馬に向け、語りかけたのだった。


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